新興株ウィークリー

「eスポーツ」関連銘柄に注目!!

2019/10/23
投資情報部 長谷川 稔

ラグビーW杯の決勝トーナメントが10/19(土)から開始されました。日本代表は南アフリカとのベスト4進出をかけた試合で健闘及ばず敗退してしまいました。しかし1次リーグでの世界の強豪相手との見事な戦いぶりに対し、心から拍手を送りたいものです。またラグビーでは、反則を取ろうとわざと転ぶシミュレーションや時間稼ぎのプレイなどが見られないうえ、選手たちが一生懸命国歌を歌っている姿など、実にすがすがしい気分になりました。これを契機にラグビーファン層が広がるとよいですね。

さて今回の「新興株ウィークリー」は、同じスポーツでも、一風変わった「eスポーツ」関連銘柄に焦点を当ててみました。eスポーツはビデオゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉えたものです。総務省が今年1月に発表した「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」によれば、世界のeスポーツ産業の市場規模は2018年で969億円。2021年には1,765億円に急成長すると予想されています。

ゲーム開発では世界の先進国でありながら、日本ではeスポーツの認知度は決して高くはありませんが、世界の競技人口は1億人とも言われています。2022年のアジア大会(杭州)では、正式なメダル種目としてeスポーツが採用されることが決定しています。また、東京大会の次の2024年のパリ五輪でも、eスポーツは新種目として採用が検討されています。また別の観点からは、世界ではeスポーツが将来のビッグビジネスとして捉えられているようです。

eスポーツは、SBI証券のWebサイトでもロングランテーマの一つとして、人気があります。また、直近1年間のパフォーマンスも+24.0%(10月21日現在)と、良好な成果を上げています。皆様の投資のご参考になれば幸いです。

今回のポイント

1.急成長が見込まれるeスポーツ市場と関連銘柄

冒頭でも触れましたように、eスポーツは世界でもどんどん認知度を高めており、将来ビッグビジネスになる可能性を予感させています。既にアジア大会での正式種目と認定されたうえ、東京の次のパリ五輪での種目として検討されているなどの動きがあります。また既に海外を中心に高額の賞金大会(米国では優勝賞金2億円があった)が数多く開催されています。また、選手サイドでもプロ化が進展するなど、大きな変化が訪れています。

ソニー生命が今年8月に実施した、男子中学生のなりたい職業調査では、「eスポーツ・プレイヤー」が23%で2位にランクされています。ちなみに1位は30%のYouTuber(動画投稿者)、3位はゲームクリエーター、4位がITエンジニア・プログラマー、となっています。

表1 主なeスポーツの種目

主なジャンル 内容
TPS/FPS シューティングゲーム、4~5人でチーム戦が多い。
「Call of Duty」シリーズなど
MOBA チーム戦で陣地制圧を目指す。高額賞金大会が多い。
「League of Legends」、「DOTA2」など
格闘ゲーム 日本で流行しているゲーム、1人がキャラクターを操作。
「ストリートファイター」、「大乱闘スマッシュブラザーズ」など
スポーツ リアルスポーツをビデオゲーム化したもの。
「実況パワフルプロ野球」、「ウイニングイレブン」など
パズルゲーム ルールが簡単で誰でも楽しめ、eスポーツ種目採用。
「テトリス」、「ぷよぷよ」など

総務省が今年1月に発表した「eスポーツ産業に関する調査研究報告書」によれば、世界のeスポーツ産業の市場規模は2018年で969億円。2021年には1,765億円に急成長すると予想されています。今後世界での認知度が高まれば、市場規模はさらに拡大するポテンシャルがあると思われます。

それでは関連銘柄を抽出してみたいと思います。抽出条件としては、当社のWebサイトの「テーマキラー」採用銘柄および、「銘柄検索ツール」で「eスポーツ」をキーワードとして使ったほか、「新興株ウィークリー」が関連銘柄と思うものもピックアップしてみました。

また上場市場は、マザーズおよびJASDAQに限定しました。関連銘柄としてはソニー(6758)、任天堂(7974)、カプコン(9697)などが連想されますが、これらの銘柄への業績寄与は相対的に小さく、むしろ新興市場上場の銘柄の方が株価も含めたインパクトが大きいと思われます。 抽出された関連銘柄を、ジャンル別に並べたものが表2の銘柄群です。

表2 eスポーツ関連銘柄はコレ!?

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
10月21日
eスポーツ関連内容
ゲーム関連
2121 2121 2121 2121 ミクシィ 2,109 大ヒット作「モンスターストライク」を有する
3760 3760 3760 3760 ケイブ 918 シューティングゲーム「怒首領蜂一面番長」
3904 3904 3904 3904 カヤック 585 スマホ向け賞金付き大会「RANKERS」
PCなど機器関連
3020 3020 3020 3020 アプライド 1,460 ゲーム用の高機能PCなどの販売店
3375 3375 3375 3375 ZOA 805 PCの小売販売が収益源
サイト運営関連
2436 2436 2436 2436 共同ピーアール 1,539 eスポーツ大会のPR活動など
2743 2743 2743 2743 ピクセルカンパニーズ 180 「e-sportsスタジアム」を開設
3990 3990 3990 3990 UUUM 4,690 YouTuberのプラットフォーマー
3995 3995 3995 3995 SKIYAKI 605 eスポーツプロチームのサイト運営
4308 4308 4308 4308 Jストリーム 551 ソフマップのeスポーツスタジオび技術提供
チーム運営など
3664 3664 3664 3664 モブキャスト 225 プロゲーマーチーム“Team mobcast”を発足
3911 3911 3911 3911 Aiming 263 eスポーツプロチームのメインスポンサー

※当社Webの銘柄検索機能、各社の公表資料等をもとにSBI証券が作成。

2.抽出銘柄のポイント

それでは表2で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートと注目ポイントを簡単にご紹介したいと思います。

ミクシィ(2121)は、2006年にマザーズに上場しています。SNSの「mixi」で経営基盤を築きましたが、2013年にスタートしたスマホゲームの「モンスターストライク」が大ヒットしました。今後はM&Aなどで新分野への進出を検討しています。業績面ではスマホゲームのピークアウトから減益傾向が続いていますが、キャッシュリッチ企業でもあり、現行水準での安定的な配当が期待できそうです。高配当銘柄(直近の株価水準なら年率5%以上の利回り)としても注目しています。

カヤック (3904)は、2014年にマザーズに上場しています。自ら「面白法人カヤック」と名乗るユニークな会社です。ネット広告などの受託制作とソーシャルゲームが主体の会社です。新事業としてeスポーツ(プロゲーマーのマネジメントやゲーム大会のプロデュースなど)ビジネスに乗り出しています。市場開拓を進めています。新規事業の投資負担で前期決算は赤字に転落してしまいましたが、会社側では今期復調し収支均衡を目指しています。

共同ピーアール(2436)は、2005年にJASDAQに上場しています。企業などが行うパブリシティ活動(広報・PR)の支援およびコンサルティングを行っている企業です。新規契約の好調に加え、あらたに海外クライアントの獲得などが奏功し好調な決算となっています。 今期はペイドパブリシティ分野(新聞雑誌の特定ページを購入し顧客の意図する内容を記事形式で掲載する)が好調です。ゲームのPR代行会社として注目されます。

UUUM(3990)はYouTuberの製作サポート事業を展開しています。動画視聴数連動のアドセンス、広告収入が柱です。同社の特徴は、「はじめしゃちょー」、「HIKAKIN」などの人気専属YouTuberを多数揃えていること。新領域としては人気インスタグラマーによる動画広告の製作サービスも手がけています。日本の動画広告市場はTV市場に比べ10%未満程度と小さく、成長余地は高いと見られます。ゲーム世代はTVからYouTubeへシフトしており、eスポーツとの馴染みも良好と思われます。前5月期決算は会社側の見通しを大幅に上回る好決算でした。今期は11%経常増益を目標としていますが、やや控えめな感触です。

図1:ミクシィ(2121)・日足

図2:カヤック (3904)・日足

図3:共同ピーアール(2436)・日足

図4:UUUM(3990)・日足

※図1から図4は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

3.【新興市場Now】マザーズ指数は横ばい、JASDAQは小幅続伸

東証マザーズ指数の10/21(火)終値は845.21と、10/15(火)終値845.24から横ばいとなりました。JASDAQ平均は0.7%の小幅続伸でした。日経平均は1.5%の続伸でしたから、マザーズ指数、JASDAQ平均ともに日経平均に対して、前回に引き続き劣位な値動きとなりました。

マザーズ市場の時価総額の大きい銘柄では、前回下落が目立ったメルカリ(4385)そーせいグループ(4565)は反発しましたが、サンバイオ(4592)ティーケーピー(3479)などが下落しました。前回に引き続き、利がのっている一部小型株から、大型株への資金シフトが影響したのではないかと思われます。その他の銘柄では、前回、業績増額修正で上昇したエルテス(3967)の下落が目立ちました。

JASDAQ市場の時価総額が大きい銘柄では、月次売上高が好調なワークマン(7564)の大幅下落が目立ちました。9月月次の既存店増収率が8月に比べ伸び率鈍化となりましたが、約2ヶ月で株価倍増となったため、利食い売りが膨らんだことが背景と思われます。この他では、前回大きく上昇したハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)が、11月半ばに予定されている決算発表での上方修正期待を背景にしてか続伸となりました。

※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに9月末のマザーズ市場の時価総額に占めるそーせいグループ(4565)およびメルカリ(4385)のシェアがそれぞれ7.4%づつ、サンバイオ(4592)が5.4%、ミクシィ(2121)が4.5%、ジーエヌアイグループ(2160)が3.5%、などとなっています。

図5:東証マザーズ指数(日足)

図6:JASDAQ平均(日足)

※図5、図6ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表3:主要株式指標の騰落率(10/15~10/21)

指数 終値(10/21) 騰落率
日経平均株価 22,548.90 1.5%
東証マザーズ指数 845.21 0.0%
JASDAQ平均株価 3,438.11 0.7%

表4:主要新興市場銘柄の騰落率(10/15~10/21)

コード 銘柄 終値(10/21) 騰落率
マザーズ市場の時価総額上位銘柄
4385 メルカリ 2,322 2.9%
4592 サンバイオ 3,805 -5.5%
4565 そーせいグループ 2,350 7.3%
2121 ミクシィ 2,109 -0.8%
3479 ティーケーピー 4,810 -1.7%
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄
2702 日本マクドナルドホールディングス 5,310 -1.1%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ 5,080 6.7%
7564 ワークマン 7,440 -19.5%
6425 ユニバーサルエンターテインメント 3,695 3.9%
4816 東映アニメーション 5,430 5.8%
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄
3967 エルテス 1,855 -2.8%
4593 ヘリオス 1,242 -0.5%
7676 グッドスピード 3,105 -7.2%
3923 ラクス 1,555 -0.6%
7806 MTG 1,001 -1.8%

※表3・表4はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は10/15(火)終値と10/21(月)終値の比較による。時価総額は9月末基準。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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