新興株ウィークリー

株主優待・配当実施&好業績の銘柄を抽出(2)!!

2020/2/26
投資情報部 長谷川 稔

関東地方はこれまで記憶にないほどの暖冬で、桜の開花予想は3月15日(東京)と、平年より11日も早くなりそうです。例年なら上野公園など花見スポットには、中国人を中心とする外国人観光客がたくさん来日するのですが、今年は期待できそうもありませんね。早く暖かくなって、新型コロナウイルスの感染拡大が収束に向かうことを願ってやみません。

さて今回の「新興株ウィークリー」は、2/12(水)に取り上げた、3月決算銘柄で、株主優待、配当の権利が取れ、なおかつ好業績が期待できそうなトリプルメリット銘柄をピックアップする企画の続編です。新興株の場合、決算発表が相対的に遅く、前回のレポート以降にも多くの銘柄が第3四半期の決算発表を行っているため、それらの銘柄を対象としてみました。

なお、最近投資家の間で流行しているリスク回避手法として「つなぎ売り」があります。これは、株主優待および配当の権利を取得したい銘柄の現物買いと一般信用売りを同時に行うことにより、株価変動リスクを最小限に抑えながら、権利を取得するやり方です。その後は信用の売りに対し現物の現渡しにより取引を終了するものです。現在のような相場の不安定な時期には、有力な投資方法といえるかもしれません。詳しくは当社WEBサイトの「初めてのつなぎ売り」において、動画でも解説を行っていますので、ぜひご参考になさってください。

今回のポイント

1.株主優待・配当を実施&好業績銘柄を抽出!!

それでは早速銘柄をピックアップしてみます。冒頭でご説明したように、今回の「新興株ウィークリー」は、3月決算銘柄に焦点を当てて、株主優待および配当の権利が取れる銘柄ピックアップする企画の続編です。また、ここでの大事なポイントは、株主優待や配当の権利を取れても、株価が下落しキャピタルロスを被っては元も子もないという点です。そこで業績の裏付けがありそうな銘柄をピックアップしてみました。なお、優待銘柄の権利付最終日は今年の場合、3/27(金)となっていますのでご注意ください。(※2020年3月権利確定銘柄の中には権利確定日3/31とは異なる銘柄もございます。その場合の権利付最終日は3/27とは異なりますのでご注意ください。)

今回のスクリーニング条件は以下の4点です。
(1)東証マザーズまたはJASDAQの上場銘柄であること
(2)3月決算銘柄で、3/27(金)の権利付き最終日までに株式を購入すれば、株主優待および配当の権利が得られるもの
(3)2/12(水)から2/14(金)に第3四半期の決算を発表しており、時価総額が50億円以上であること
(4)第3四半期までの累計の経常利益が、会社予想の通期経常利益の75%を超えていること(進捗率75%以上)

これらの条件を満たす銘柄を、経常利益の進捗率が高い順に掲載したものが以下の表1です。

表1 株主優待、配当、好業績銘柄はコチラ!!

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
2月25日
会社予想
配当金
(3月末)
(円)
3月末に権利が確定する
株主への優待内容概要
2179 2179 2179 2179 成学社 901 5.5 100株以上で1,000円相当のクオカード
3069 3069 3069 3069 JFLAホールディングス 415 4.0 500株以上で3,000円相当の商品(食事券、酒類、商品等)
4304 4304 4304 4304 Eストアー 1,025 29.0 100株以上で1,000円相当のクオカード
5939 5939 5939 5939 大谷工業 10,160 30.0 100株以上で地域名産品(アイスクリーム、地酒等)
8147 8147 8147 8147 トミタ 1,123 25.0 100株以上で1,000円相当のクオカード
3096 3096 3096 3096 オーシャンシステム 922 6.0 200株以上で株主優待券×10枚またはコシヒカリ3kg
3020 3020 3020 3020 アプライド 1,924 25.0 100株以上で株主優待ポイント1,000(自社店舗、通販)
2916 2916 2916 2916 仙波糖化工業 646 15.0 500株以上で3,000円相当の自社製品(粉末茶等)
9060 9060 9060 9060 日本ロジテム 4,090 40.0 100株以上で3,000円相当の自社取引先商品
6424 6424 6424 6424 高見沢サイバネティックス 1,132 10.0 200株以上で1,000円相当のクオカード

※当社株主優待検索機能、各社資料等をもとにSBI証券が作成。株主優待は権利付最終日(すべての掲載銘柄が3/27)の株主に対する優待内容について、その概要を記載したものです。詳細は各社の公式発表をご覧ください。なお、配当金は3月末株主に対する配当金で、年間の配当金とは異なる場合があります。なお、オーシャンシステムの株主優待券(1枚200円)は新潟県内在住株主が対象で、コシヒカリは新潟県外在住株主が対象です。

2.抽出銘柄のポイント

それでは表1で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介いたします。

JFLAホールディングス(3069);「牛角」のエリアフランチャイズ本部として205店舗を有するほか、「とり鉄」、「どさん子」など幅広い分野の外食チェーンを運営しています。また、M&Aにより日本酒の製造販売、牛乳の生産、高級食材やワインの流通事業などにも進出しています。今期業績は牛乳の値上げ効果や新規出店のタピオカ店の寄与により好調です。優待制度は500株以上所有の株主に対して3,000円相当の商品(食事券、酒類、食品等から選択)が贈呈されます。

Eストアー(4304);Eコマース事業者向けの総合支援サービスを行っている会社です。WEBの制作はもちろんWEB店舗の運営や販売促進活動の支援など幅広い事業内容が強みです。近年では日本郵政やヤマト運輸の自宅外受け取りサービスの提供などが注目されます。またベンチャービジネス向けの電子認証事業会社を買収し今期から連結対象としています。株主優待にも前向きで、従来の年1回500円のクオカード贈呈が、今期より年2回(3月および9月末株主)1,000円のクオカード贈呈に拡充されました。

大谷工業(5939);ホテル・ニューオータニの大谷氏が大株主となっています。送電用鉄塔や通信用無線鉄塔の製造・施工、架線金物等の製造を行っているメーカーです。富山と鹿沼(栃木県)に工場を有しており、北陸電力が主たる販売先となっています。送電線鉄塔の老朽化から、更新需要が活発なため業績は好調で、3Q時点で年間予想利益を達成しています。株主優待は100株以上の株主に、富山の地酒セット、那須の牧場由来のアイスクリーム、ホテル・ニューオータニのマンゴープリンなど5つのうちから1つ選択できる内容です。

アプライド(3020);九州を地盤とし、西日本を中心に展開するパソコン小売店「アプライド」を運営しています。小売りだけにとどまらず、大学や官公庁向けのソリューション事業も行っています。パソコン以外では、化粧品や雑貨などの専門店「ハウズ」の出店や、福岡市でのタウン誌発行も行っています。Windows 7の延長サポート終了によるPCの買い替え需要が追い風となっており業績は好調です。今後も公立小中学校でのPC1人1台化などで注目されます。

仙波糖化工業(2916);天然着色料のカラメルの製造会社として設立されました。カラメルでは推定4割程度のシェアを持つニッチ・トップ企業です。この他には粉末茶の製造も行っています。カラメルのユーザでもある東洋水産が筆頭株主となっています。冷夏の影響で飲料向けカラメルは不振でしたが、下期の食品向け(麺類や菓子)の好調で3Q時点で83%の利益進捗率となっています。株主優待は、500株以上の株主に対し、3,000円相当の自社製品(粉末茶等)が贈呈されます。

図1 JFLAホールディングス(3069)・日足

図2 Eストアー(4304)・日足

図3 大谷工業(5939)・日足

図4 アプライド(3020)・日足

図5 仙波糖化工業(2916)・日足

3.【新興市場Now】マザーズ、JASDAQとも続落

東証マザーズ指数の2/25(火)終値は798.36と、2/18(火)終値808.62に対して1.3%の続落となりました。JASDAQ平均も1.5%の続落となりました。同じ期間の日経平均は2.5%の下落だったので、新興株市場は日経平均に対し優位に推移しました。新型コロナウイルスの感染拡大から世界的に株価が下落基調となっています。

マザーズ市場の時価総額上位ではティーケーピー(3479)の下げが目立ちました。引き続き新型コロナウイルスの感染拡大により今後多数の集客行事が手控えられ、業績に悪影響が出るのではないかとの観測が背景です。一方、メルカリ(4385)は大幅続伸となりました。丸井グループ(8252)および傘下のアイスタイル(3660)との業務提携の発表が好感されました。それ以外の主力銘柄では弁護士ドットコム(6027)MTG(7806)などの下落が目立ちました。

JASDAQ市場ではワークマン(7564)日本マクドナルドホールディングス(2702)ハーモニック・ドライブ・システムズ(6324)などの主力銘柄が軒並み3~4%の下落となりました。日本マクドナルドホールディングス(2702)に関してはインバウンド客の減少見通しが業績に悪影響を与えそうとの観測が背景です。

※東証マザーズ指数について:東証マザーズ市場は近い将来東証1部へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。マザーズ指数は、マザーズ市場に上場する全銘柄の時価総額加重平均型(浮動株調整後)の指数です。ただし、一部の時価総額の大きい銘柄の影響度が大きい点に注意を要します。ちなみに1月末のマザーズ市場の時価総額に占める構成比は、メルカリ(4385)が5.7%、そーせいグループ(4565)が5.5%、ミクシィ(2121)が3.3%、ジーエヌアイグループ(2160)が3.2%などとなっています。

図6:東証マザーズ指数(日足)

図7:JASDAQ平均(日足)

※図6、図7ともに当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

表2:主要株式指標の騰落率(2/18~2/25)

指数 終値(2/25) 騰落率
日経平均株価 22,605.41 -2.5%
東証マザーズ指数 798.36 -1.3%
JASDAQ平均株価 3,640.55 -1.5%

表3:主要新興市場銘柄の騰落率(2/18~2/25)

コード 銘柄 終値(2/25) 騰落率
マザーズ市場の時価総額上位銘柄
4385 メルカリ 2,441 5.6%
3923 ラクス 1,608 5.4%
3479 ティーケーピー 3,040 -11.0%
4565 そーせいグループ 1,921 -9.0%
2121 ミクシィ 1,808 -4.4%
JASDAQ市場の時価総額上位銘柄
7564 ワークマン 7,820 -4.2%
2702 日本マクドナルドホールディングス 5,100 -2.9%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ 5,020 -4.0%
6425 ユニバーサルエンターテインメント 3,180 -3.8%
4816 東映アニメーション 4,660 -4.0%
直近上場銘柄・市場で話題の銘柄
3967 エルテス 2,061 -2.2%
4593 ヘリオス 1,791 -1.6%
6027 弁護士ドットコム 4,585 -8.2%
4592 サンバイオ 1,986 -3.4%
7806 MTG 799 -11.7%

※表2・表3はBloombergデータをもとにSBI証券が作成。騰落率は2/25(火)と2/18(火)終値の比較による。時価総額は1月末基準。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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