新興株ウィークリー

逆境にめげない抵抗力ある新興市場銘柄をピックアップ(2)!!

2020/5/27
投資情報部 長谷川 稔

日本での新型コロナウイルスの新規感染者数は明確に減少傾向に転じ、5/25(月)には政府から緊急事態宣言が解除され経済活動再開の道筋が示されました。これを受けて株式市場も回復トレンドに転換しています。ただし、今後の展開を考えた時に、警戒しなければならないのは先行きの企業業績ではないでしょうか。

3月期決算の業績発表が行われていますが、新型コロナウイルスの感染拡大による悪影響から、大半の企業で2020年1~3月期の業績悪化が観測されました。また今回の決算発表では、6割程度の企業が今期業績見通しを公表していません。2020年4~6月期決算が発表される7月下旬以降には、決算発表時に業績予想を公表する企業が増加するものと考えられます。

しかし、同4~6月期の業績は、そのうち2ヵ月弱の期間が緊急事態宣言で外出等の自粛が要請されたことにより、経済活動が萎縮している時期に相当しているので、多くの企業で1-3月期に比べ、より悪化する懸念が強いのではないでしょうか。また当面の我々の生活態度も、感染再拡大の恐れが払拭できないため、早期に新型コロナウイルス感染拡大以前の状態には戻らないと考えられます。このため4~6月期の決算が注目される7月下旬以降は、新たな企業側の業績予想も含め、ネガティブサプライズが発生するリスクがあるのではないでしょうか。

そこで今回の「新興株ウィークリー」では、先週に引き続き、企業業績が逆境にもめげない抵抗力のある企業を抽出してみることにしました。もちろん、先週ご紹介した銘柄以外から選んでいます。皆さまの投資のご参考になれば幸いです。

今回のポイント

1.逆境にめげない抵抗力ある新興市場銘柄をピックアップ!!

それでは早速銘柄をピックアップしてみましょう。今回も当社Webサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」機能を使って抽出してみます。条件は以下のとおりです。

(1)東証マザーズまたはJASDAQの上場銘柄で、3月期決算で、時価総額が100億円以上の銘柄であること

(2)今期の会社予想が公表されており、増益見通しであること

(3)2020年3月期の経常利益が黒字であること

(4)先週(5/20付レポート)のスクリーニングで抽出された銘柄でないこと

前回との違いは、今回はコンセンサス予想ではなく、会社側が増益予想を公表している点です。現在のような不透明な収益環境にあっても、会社側が増益予想を公表するのは、収益確保に自信を持っている可能性が高いと思われます。もちろん、会社によっては努力目標的な予想を公表するケースもあり、信頼性にかけるケースも存在する点に注意を要します。

前述の条件をクリアしたのが表1の銘柄群になります。掲載の順番は、今期の経常増益率が高い順番です。なお各々の企業の決算発表後の株価上昇率も掲載しています。会社側の決算発表で増益予想を受けてその後の株価上昇が大きければ、業績予想がある程度現在の株価に織り込まれたことになるため、今後の妙味は相対的に小さくなると見られます。

表1 逆境にめげず今期経常増益予想を公表している新興市場銘柄はこちら!!

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄名 株価(円)
5月26日
今期経常
増益率
(%)
決算発表日以降の株価上昇率(%)
3542 3542 3542 3542 ベガコーポレーション 1,380 241.0 33.3
6568 6568 6568 6568 神戸天然物化学 1,541 55.1 5.2
4390 4390 4390 4390 アイ・ピー・エス 2,219 52.2 74.7
4436 4436 4436 4436 ミンカブ・ジ・インフォノイド 1,393 34.9 -1.9
4557 4557 4557 4557 医学生物学研究所 3,630 16.8 -14.2
9467 9467 9467 9467 アルファポリス 2,434 16.3 2.5
6556 6556 6556 6556 ウェルビー 1,486 11.0 -0.3
6096 6096 6096 6096 レアジョブ 2,401 8.2 -9.4
6918 6918 6918 6918 アバールデータ 2,724 7.3 6.2
4800 4800 4800 4800 オリコン 970 3.3 3.9
6629 6629 6629 6629 テクノホライゾン・ホールディングス 818 1.1 21.0

※SBI証券Webサイトの「スクリーニング(銘柄条件検索)」、会社資料等より作成。今期経常増益率は会社予想。

2.抽出銘柄のポイント

それでは(1)で抽出された銘柄群のうち数銘柄について、チャートとポイントを簡単にご紹介します。

ミンカブ・ジ・インフォノイド (4436);2019年3月にマザーズに上場しています。2007年に開始したソーシャルメディアサービスの「みんなの株式」、「株探」などが事業基盤となっています。株価診断にいち早くAIを活用するなどの新しい試みが注目されます。株式だけではなく保険、外国為替、仮想通貨などへのサービスエリアの拡大に加え、金融機関向けソリューションサービス提供など、事業分野の拡大が見込まれます。業績はエリア拡大によるユーザー数の増大から、広告収入が拡大しており好調です。前期の経常利益は2.4倍増(ただし前々期は単体、前期は連結との比較)、今期も34.9%増益を会社側は想定しています。

医学生物学研究所(4557);1996年にJASDAQ市場に上場しています。臨床検査薬・研究試験用試薬のメーカーですが、2013年にJSR(4185)との資本提携により、同社の子会社となっています。癌や自己免疫疾患等の臨床検査薬の伸長が業績を牽引しています。また新たに発売した遺伝子検査薬や中国事業も好調で、前期の経常利益は2.4倍増益を達成しました。今期の会社側予想は16.8%経常増益の見通しです。新型コロナウイルス関連では、同社の得意とする検査試薬の研究開発に着手しています。

アルファポリス (9467);2014年にマザーズ市場に上場しています。同社が運営するWEBサイトに投稿された小説(中高校生や若者向けのライトノベル)や漫画などのコンテンツから、サイト内でのユーザー評価を参考に、書籍として出版して収益化するビジネスモデルです。2020年3月期の業績は、漫画の好調とライトノベルの刊行点数増加などにより、7.7%経常増益となりました。今期は漫画を中心に電子書籍販売の強化で16.3%経常増益を会社側は想定しています。

ウェルビー(6556);2017年にマザーズに上場しています。就労を希望する障害者に対して、職業訓練・求職活動・職場定着支援を行っている会社です。これまでは首都圏周辺の比重が高くなっていましたが、全国展開を進めており、就労移行支援事業所の「ウェルビー」は、2020年3月末で71事業拠点を有しています。障害者の就労は政府の重要な施策となっているうえ、同社独自の要因として全国展開の進展により、高い成長が期待できそうです。拠点拡大を背景に、業績は前期が19.4%経常増益(前々期は単体決算、前期は連結決算との比較)、今期の会社側予想は11.0%経常増益と堅調な拡大を見込んでいます。

テクノホライゾン・ホールディングス(6629);2010年にそれぞれJASDAQ市場に上場していたエルモ社とタイテックが経営統合して誕生した会社です。光学事業と電子事業が両輪です。光学事業は書画カメラ(実物投影機)、多目的フィールドカメラ、レンズユニット等のニッチ分野において多彩な映像関連商品を手がけています。電子事業はロボット制御や高速画像インターフェースを得意とする各種FA関連機器、ドライブレコーダー、決済端末機器ならびに各種医療関連機器の開発・製販を行っています。オンライン授業などに使われる書画カメラや教室用の電子黒板が好調で、前期は24.7%経常増益を達成、今期も1.1%の経常増益を会社側は予想しています。自社株を36%も保有している点にも注目です。

図1 ミンカブ・ジ・インフォノイド (4436)・日足

図2 医学生物学研究所(4557)・日足

図3 アルファポリス (9467)・日足

図4 ウェルビー(6556)・日足

図5 テクノホライゾン・ホールディングス(6629)・日足

※図1から図5は、当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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