新興株ウィークリー

≪話題のQDレーザ他≫2021年新規上場・テンバガー期待の"14銘柄"

2021/6/23
投資情報部 鈴木 英之

新興株式市場は5/17(月)の安値以降、上昇基調が続いていたものの、6/16(水)のFOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表や、6/18(金)のセントルイス連銀のブラード総裁の発言を通じて、早期での米金融緩和の縮小が示唆され、国内外の株式市場で波乱の展開に。6/21(月)のマザーズ市場は売りに押され、2週間ぶりに安値を付けました。
一方、ジャスダック市場は6/14(月)から6/17(木)にかけて連日で年初来高値を更新し、およそ3年ぶりの高値水準となりました。
こうした中、新興株式市場のグロース銘柄に再び注目が高まっています。
依然として、FOMCメンバーからの利上げに関するコメントは方向感が定まっておらず、物価上昇の動向が気になるところですが、米長期金利の低下を受けて米ハイテク株は上昇。6/22(火)にはマイクロソフトの時価総額が初めて2兆ドルを突破しました。米ハイテク株の上昇を追い風に、新興株式市場のIT関連銘柄では、情報中心分野の主力銘柄の一角を占めるフリー(4478)や、AI(人工知能)を使った訴訟支援で知られるFRONTEO(2158)が買われました。

また、新興株式市場で欠かせない注目すべき点の1つがIPO銘柄です。
6月は“新規上場ラッシュ”や、新規上場銘柄の好パフォーマンスが話題になっています。そこで今回は次なる“テンバガー”を探るべく、2021年の新規上場銘柄(既上場)に注目しました。

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執筆者のプロフィール

SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

今回のポイント

1.波乱に巻き込まれた新興株は米金利低下が下支え材料に

6/15(火)~6/22(火)の主要株価指標の騰落率は、日経平均株価が-1.9%、TOPIX-0.8%、日経ジャスダック平均-0.3%、東証マザーズ指数-2.9%と、東証マザーズ指数の下落率は他の主要株価指標よりも大きくなりました。
こうした背景には、5/17(月)~6/15(火)までのおよそ1ヵ月、東証マザーズ指数の上昇率が15.5%にも達していたのに対し、日経平均株価+5.8%、日経ジャスダック平均+4.8%と、東証マザーズ指数以外の銘柄は限定的な戻りであったことが要因の1つとされています。

こうした中、新興市場で時価総額トップのメルカリ(4385)は6/15(火)~6/22(火)の間で6.4%の下落となりました。特に目新しい材料に欠ける中、6/15(火)取引時間中に高値形成後下落するなど、東証マザーズ指数を象徴するかのような動きになりました。
セリア(2782)は同じ期間7.6%も上昇となりました。25日移動平均の株価水準を回復し、一目均衡表などテクニカル面での改善も目立ち、特に6/21(月)と6/22(火)は大幅続伸となりました。

また、FRONTEO(2158)の上昇も目立ちました。同社はAI(人工知能)を用い、訴訟文書解析や、認知症診断、電子カルテ分析を手掛けています。4/20(火)~5/20(木)の株価は4.1%下落となりましたが、5/20(木)に2021/3期の本決算を発表以降、6/22(火)まで株価は39.3%上昇。6/8(火)~6/21(月)の株価は10営業日連続高となりました。
なお、同社の2021/3期の営業利益は事前予想(2億円)を上回り、5.07億円で着地。同時に公表された2022/3期の会社予想営業利益は6.0億円としています。さらに、5/28(金)は次世代AIシステムが国際訴訟支援で50件採用されていることも発表され、収益拡大に期待が高まっています。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。 ※日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の2020/12/22終値を1として指数化。 ※期間は2020/12/22~2021/6/22(日足)。

図表2 おもな新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(6/22) 6/15比 20/12末比
4385 メルカリ 東証マザーズ 5,150 -6.4% +12.6%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 4,950 -0.8% -1.0%
7564 ワークマン ジャスダックS 7,500 -1.8% -14.8%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 5,790 +1.8% -37.2%
4478 フリー 東証マザーズ 9,800 +5.7% -3.0%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 12,450 +0.0% +53.9%
2782 セリア ジャスダックS 4,130 +7.6% +9.0%
4483 JMDC 東証マザーズ 5,110 +2.0% -12.5%
4194 ビジョナル 東証マザーズ 6,330 -6.1% -
7716 ナカニシ ジャスダックS 2,403 +1.6% +6.1%
【ご参考】 日経平均株価 - 28,884.13 -1.9% +5.2%
TOPIX - 1,959.53 -0.8% +8.6%
日経ジャスダック平均 - 3,949.13 -0.3% +6.2%
東証マザーズ指数 - 1,170.13 -2.9% -2.2%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の時価総額上位10銘柄について、6/22時点での各種騰落率を掲載。なお、変化率は株式分割等も加味した時価総額ベースの変化率です。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 6/15(火)~6/22(火)の株価上昇が大きかったおもな新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(6/22) 6/15比 20/12末比
2158 FRONTEO 東証マザーズ 1,026 9.6% 66.3%
4659 エイジス ジャスダックS 3,600 7.6% 5.3%
2782 セリア ジャスダックS 4,130 7.6% 9.0%
4435 カオナビ 東証マザーズ 3,875 7.5% -14.3%
6521 オキサイド 東証マザーズ 8,160 7.4% -
7177 GMOフィナンシャルホールディングス ジャスダックS 902 6.1% 26.5%
4936 アクシージア 東証マザーズ 1,706 5.8% -
4478 フリー 東証マザーズ 9,800 5.7% -3.0%
6629 テクノホライゾン ジャスダックS 1,861 5.7% 144.2%
7806 MTG 東証マザーズ 1,741 5.3% 53.8%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の時価総額300億円以上の銘柄のうち、6/22時点での6/15比値上がり率の高かった上位10銘柄を掲載。なお、変化率は株式分割等も加味した時価総額ベースの変化率です。
※「20/12末比」騰落率が「-」の銘柄は、昨年末時点で上場していない銘柄です。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2.2021年に新規上場の活躍期待の銘柄

新興市場が新規上場ラッシュを迎えています。
今年の6月は新規上場会社数が23社になる見込みですが、6月としては、多い社数です。過去5年、新規上場社数の多い月の順番は、12月100社、3月98社、9月50社、10月49社に次ぎ、6月は48社となっています。通常は特に上場社数が突出して多い月でもない2021年6月の上場ラッシュは異例と言えそうです。

新規上場銘柄の初値は、公募・売出価格を上回ることが多いのですが、例年下回る銘柄も散見される傾向にあります。しかし、本年は6/18(金)上場分まで、新規上場銘柄36社すべての初値が公募・売出価格を上回る“連勝記録”を更新。残念ながら記録は途切れてしまいましたが、今後も新規上場銘柄への注目は続きそうです。

もっとも、新規上場銘柄の“魅力”は、公募株を抽選で当てて、初値で利益を確定するだけではありません。最近は初値天井を避けるべく、公募・売出価格が考慮されている面もあるようで、新規上場後の株価も堅調に推移しやすくなっています。
初値やその後の安い場面で新規上場銘柄に投資し、しばらく保有するという“作戦”も有効な手段の1つとなりそうです。

では、2021年に新規上場(既上場)の活躍期待の銘柄をご紹介します。
以下の条件を全て満たした銘柄について、新規上場年月日が新しい順に表にしたのが図表4です。
■スクリーニング条件
(1)東証マザーズ銘柄またはジャスダック銘柄であること。
(2)2021年1月~4月末に新規上場した銘柄であること。
(3)前期営業損益が増益または赤字縮小であること。
(4)今期予想営業損益(会社または市場予想)が増益または赤字縮小であること

図表4 2021年に新規上場の活躍期待の銘柄

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 新規上場日 公募売出価格 初値 上場後高値 株価(2021/6/22)
4196 4196 4196 4196 ネオマーケティング(J) 4/22(木) 1,800 3,805 4,665 2,652
4498 4498 4498 4498 サイバートラスト〇 4/15(木) 1,660 6,900 11,220 6,690
4193 4193 4193 4193 ファブリカコミュニケーション(J) 4/7(水) 6,000 6,900 8,670 8,990
6521 6521 6521 6521 オキサイド 4/5(月) 2,800 6,540 9,800 8,160
9327 9327 9327 9327 イー・ロジット(J) 3/26(金) 1,500 1,995 2,145 1,622
7363 7363 7363 7363 ベビーカレンダー 3/25(木) 4,200 9,400 13,050 7,130
4178 4178 4178 4178 Sharing Innovations 3/24(水) 2,850 4,650 4,990 3,240
4176 4176 4176 4176 ココナラ 3/19(金) 1,200 2,300 2,899 1,975
4177 4177 4177 4177 i-plug〇 3/18(木) 2,620 6,000 6,370 5,660
4885 4885 4885 4885 室町ケミカル(J) 2/26(金) 820 1,424 2,045 1,292
4175 4175 4175 4175 coly 2/26(金) 4,130 8,450 9,890 4,620
4174 4174 4174 4174 アピリッツ〇(J) 2/25(木) 1,180 5,600 7,680 3,155
4173 4173 4173 4173 WACUL〇 2/19(金) 1,050 4,645 4,780 2,696
6613 6613 6613 6613 QDレーザ 2/5(金) 340 797 2,070 1,557

※Bloombergデータ、報道等をもとにSBI証券が作成。 ※銘柄名右に〇印のある銘柄は、新規上場日に寄り付かず、翌営業日に初値を形成した銘柄。 ※銘柄名右に(J)とある銘柄はジャスダック銘柄で、無印は東証マザーズ銘柄。

ココナラ(4176) “サービスのアマゾン・ドット・コム”を目指す

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間は2021/3/19~2021/6/22(日足)。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■個人の知識・技術をマーケットで売る
同社は個人の知識や技術を、それを必要とする人や企業に売却するというユニークな事業を展開しています。問い合わせから代金決算まで、当社システム上ワンストップで完結することができます。
目指すは“サービス(分野)のアマゾン・ドット・コム”と、会社側では考えています。同社に問い合わせれば、あらゆる種類のサービス提供が可能となる姿を想定してるようです。事実、出品者のスキルや企業の購入規模もグレードアップする傾向にあるようです。例えば、世界的コンテストで入賞したデザイナーや、オリコン第1位の作曲家のスキルも販売されているようです。
ユニークな業態である上、副業に光が当たりやすい時代であることも手伝い、大きく成長することも可能な企業とみられます。市場規模を拡大させることが重要と、経営陣は認識しており、今後はネットやテレビを通じて広告宣伝活動を積極化していく方針とみられます。
2021/8期・上半期の営業利益は1.27億円で、すでに通期会社計画(0.74億円)を上回っています。しかし、広告宣伝を増やす可能性があり、短期的には利益が圧縮される可能性もあるので、そこは注意したいところです。

■当面は広告宣伝活動に注力か
3/19(金)の新規上場日に2,300円で初値を付け、3/22(月)に2,899円まで急騰しましたが、その後は5/18(火)の安値1,584円まで45.4%下落しました。その後は2,000円前後の株価水準まで戻っています。
株価上昇本格化に期待したい所ですが、広告宣伝本格化の可能性を考慮すると、長めの投資スタンスが報われる可能性もありそうです。

coly(4175) 女性向けエンタメ市場をリード

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間は2021/3/19~2021/6/22(日足)。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■800億円市場のけん引役
主にスマートフォン向け、オンラインゲームを提供しています。
経営者(社長・副社長)が女性で、社員比率も7割超が女性という「女性による女性向けゲームの展開」で、エンタメ市場をリードしています。
オンラインゲームの市場規模が1.2兆円程度と推測される中、女性向け市場は2020年に約800億円(前年比15%増)と伸びています。
そうした中、同社の業績も、2021年1月期は売上高63.3億円(前期比88%増)、営業利益20.7億円前期比(7.5倍)と急拡大。会社側資料によると、2022年1月期・第1四半期は営業利益が1.68億円と前年同期比98.3%増加。通期では6.4%の営業増益を予想する中、順調なスタートになった模様です。

■決算発表を契機に株価底入れの様相
2/26(金)に新規上場し、公募価格4,130円に対して初値8,450円、同日に高値9,890円を付けましたが、その後は5/17(月)の安値4,145円まで58.1%下げました。利益確定売りに加え、3/16(火)発表の2022年1月期業績予想が慎重とみられた可能性があります。
5/17(月)安値4,145円のあと、6/17(木)安値4,260円でダブル・ボトムの様相を呈しています。6/14(月)に発表された第1四半期の決算短信は、前年同期との業績比較の記載がなかったこともあり、6/17(木)の安値につながった可能性があります。
改めて6/21(月)に公表された決算説明資料では、前項で記載の通り、前年同期比増益が明らかになり、6/22(火)には前日比260円高と反発。同社に対する見方は好転してくる可能性もありそうです。

WACUL(4173) AI(人工知能)でWebサイトの改善提案

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間は2021/2/22~2021/6/22(日足)。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■業種・事業規模にかかわらず提供可能
社名の読みは“ワカル”です。当社はAI(人工知能)システムを用い、Webサイトの改善提案を行っています。主力商品の「AIアナリスト」は、業種や事業規模のいかんにかかわらず、幅広く提供できるのが強みとなっています。また、主力製品以外にも「クロスセル」で収益を拡大しています。
2021/2期は売上高が前期比46.8%増、営業利益は0.71億円へ黒字転換を達成。2022/2期は売上高10.5億円(前期比47.8%増)、営業利益2.29億円(前期比222%増)を目指しています。市場コンセンサスでは、2023/2期営業利益4.25億円と予想されています。

■第1四半期での営業増益が株価上昇の前提か
DX関連企業と言うこともあり、新規上場日の2/19(金)は買い気配で値が付かず、週明けの2/22(月)に4,645円で初値が付きました。その後は利益確定売りが先行し、東証マザーズ市場が当面の安値を付けた5/17(月)に同社株も安値を付けています。2/22高値4,780円から5/17安値まで、下落率は53%に達しました。
7/12(月)に第1四半期の決算発表を予定しています。今期大幅増益予想を背景に、足元の株価は落ち着いているため、増益決算が、株価上昇維持の前提になりそうです。

QDレーザ(6613) 技術革新で社会に進歩をもたらす可能性も

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。期間は2021/2/5~2021/6/22(日足)。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

■量子ドットレーザの量産化に成功
富士通研究所のスピンオフ企業として2006年に設立。伊藤忠系の東京センチュリーや、三井物産系のVC等が上位株主。ナノメートル(10億分の1メートル)サイズの微小な半導体である「量子ドットレーザ」の量産化に成功した企業です。
今後、世界規模でサーバー等のデータ量が増大する中、処理速度の壁がボトルネックになる可能性はありますが、量子ドットレーザを搭載した「シリコンフォトニクス」により、それを打破することができそうです。
光で網膜に映像を描き出す技術を用いた「アイウェア」の拡販も期待されています。短期的にはその固定費が利益を圧迫しそうですが、量産化により価格を下げ、現在は1台30万円ですが、10万円以下へ引き下げを狙います。

■初値と上場後高値の間でもみ合い
同社株価は2/5(金)に797円で初値を付け、期待先行から2/17(水)には2,070円の高値を付けましたが、現在は1,500円近辺でもみ合っています。
4/13(火)に国内大手証券がカバレッジを開始し、株価は動意付いています。今後、アナリストのカバレッジが増えるか否か、アナリスト予想通り、事業が拡大し、収益拡大が本格的に拡大するか注目されます。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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