新興株ウィークリー

≪総裁選関連17銘柄≫主要政策と関連する投資テーマとは

2021/9/8
投資情報部 鈴木 英之

8/31(火)~9/7(火)の新興市場は堅調に推移。菅首相の退陣表明を受けた政治不安の後退が大きいとみられます。
株式市場では自民党総裁選をにらみ、新首相候補者の政策を織り込む流れが本格化しています。
そこで今回は、新興市場で動き始めた総裁選関連銘柄や、投資テーマについてご紹介します。

なお、当ページにつきましてはSBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。

新興株ウィークリー※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール

SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロ(牧野真莉愛推し)の応援と旅行(のりテツ)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん
・好きな場所 秋葉原
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。

今回のポイント

1.ジャスダック平均株価がおよそ3年半ぶりの高値

8/31(火)~9/7(火)の主要株価指数騰落率は、日経平均株価+6.5%、TOPIX+5.2%、日経ジャスダック平均+1.4%、東証マザーズ指数+1.2%でした。
9/3(金)に菅首相が自民党総裁選挙に立候補しないことを表明。総選挙での自民党大敗リスクが後退したことが上昇要因の1つとみられます。
ただし、鉄鋼や海運などの大型株が物色の中心となる中、新興市場のパフォーマンスは相対的に見劣る結果となりました。

こうした中、新興市場の時価総額トップのメルカリ(4385)が上昇。
フリーマーケットアプリの米国事業で後払い決済サービスの開始が発表され、業績改善に期待が高まる展開となりました。
また、日経ジャスダック平均が9/3(金)の上昇で上値抵抗ラインの4,000円を上抜け、およそ3年半ぶりの高値水準に。中でも東映アニメーション(4816)の上昇が顕著で、ジャスダック市場の時価総額トップに躍り出ました。海外版権事業の好調を評価し、アナリストが投資評価を引き上げたことが好材料となりました。

週間(8/31~9/7)で株価上昇が大きかった銘柄の値上がり率トップはビザスク(4490)でした。(図表3)
同社には業界・業務経験を積んだ有識者15万人超が登録し、企業とマッチングさせる事業を行っています。8/18(水)に米国の同業社を112億円で買収すると発表。「小が大を飲み込む買収」として注目が集まり、その後も堅調に推移しました。

ENECHANGE(4169)は8月に入り、上昇基調となっています。
消費者向けに電力・ガスの最適な選択をサポートする事業を行っています。8/24(火)には脱炭素エネルギーファンドを通じて、再生可能エネルギー発電所および大規模需要家向けの定置用液体金属電池の研究開発・販売を行う米アンブリ社に投資すると発表し、株価が急騰しました。

図表1 日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数の推移

※SBI証券チャートツールを用いてSBI証券が作成。 ※2020/12/30終値を1として指数化。 期間:2020/12/30~2021/9/7(日足)

図表2 主な新興市場銘柄の値動き

コード 銘柄名 市場 株価(9/7) 週間 年初来
4385 メルカリ マザーズ 5,850 7.5% 29.2%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 20,540 22.9% 153.9%
2702 日本マクドナルドホールディングス ジャスダックS 5,270 0.4% 5.4%
6324 ハーモニック・ドライブ・システムズ ジャスダックS 6,480 6.4% -29.7%
7564 ワークマン ジャスダックS 6,860 -2.6% -22.0%
4478 フリー マザーズ 8,550 -4.1% -4.5%
4483 JMDC マザーズ 7,650 1.5% 34.1%
2782 セリア ジャスダックS 4,195 4.4% 10.7%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 5,450 11.1% 49.3%
7716 ナカニシ ジャスダックS 2,409 -3.2% 6.4%
【ご参考】 日経平均株価 - 29,916.14 6.5% 9.0%
TOPIX - 2,063.38 5.2% 14.3%
日経ジャスダック平均 - 4,039.96 1.4% 8.6%
東証マザーズ指数 - 1,148.86 1.2% -4.0%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場)の前月末時価総額上位10銘柄について、9/7時点での各種騰落率を掲載しています。
※「週間」は8/31~9/7の騰落率です。
※個別銘柄の「年初来」は昨年末時価総額と9/7時点の時価総額の比較で、配当再投資や株式分割を反映しています。「-」は、昨年末時点で上場していない銘柄。指数の「年初来」は株価による単純計算です。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

図表3 8/31(火)~9/7(火)で株価上昇が大きかった新興市場銘柄

コード 銘柄名 市場 株価(9/7) 週間 年初来
4490 ビザスク マザーズ 5,700 25.7% 29.1%
4816 東映アニメーション ジャスダックS 20,540 22.9% 153.9%
4169 ENECHANGE マザーズ 2,889 21.1% 39.1%
3628 データホライゾン マザーズ 5,670 20.6% 50.4%
7089 フォースタートアップス マザーズ 3,950 19.5% 224.8%
4970 東洋合成工業 ジャスダックS 17,500 15.1% 48.3%
4056 ニューラルポケット マザーズ 3,455 12.5% -40.7%
5381 Mipox ジャスダックS 1,138 12.3% 198.7%
7748 ホロン ジャスダックS 3,645 11.1% -23.6%
1407 ウエストホールディングス ジャスダックS 5,450 11.1% 49.3%

※Bloombergデータを用いてSBI証券が作成。
※新興市場(東証マザーズ市場およびジャスダック市場・前月末時価総額100億円以上)において、株価上昇率が大きい上位10銘柄を掲載。
※「週間」は8/31~9/7の騰落率です。
※「年初来」は昨年末時価総額と9/7時点の時価総額の比較。「-」は、昨年末時点で上場していない銘柄。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2.≪自民党総裁選挙≫新興市場の関連銘柄を探る

菅首相の退陣表明を受け自民党総裁選立候補者の政策を織り込む流れが本格化しています。
図表4は、自民党総裁選立候補者として有力視されている岸田 文雄氏、河野 太郎氏、高市 早苗氏の各主要政策と、関連が深いと思われる投資テーマと関連銘柄です。
※当レポート作成時点(9/7)。

抽出条件は以下の通りです。
(1)ジャスダック市場または東証マザーズ市場に上場。
(2)岸田、河野、高市各氏の主要政策テーマに関連するとみられる銘柄を抽出。
  (各報道に加え、SBI証券の投資ツール「テーマキラー!」、SBI証券Webサイトの銘柄検索ウインドウより抽出)
(3)過去5営業日の最低売買高が1万株未満の銘柄は除外。
(4)株価が100円に満たない銘柄は除外。
(5)前期営業黒字で、今期も営業黒字予想(会社予想)。または直近四半期(3ヵ月)が営業黒字であること。

なお、前項で値上がり率が大きい銘柄としてご紹介したENECHANGE(4169)も、再生エネルギー関連株として捉えれば、自民党総裁選関連銘柄に含めることも可能かもしれません。

図表4 自民党総裁選挙関連銘柄

岸田 文雄氏関連銘柄・・・医療難民ゼロ、地方のデジタル化(デジタル田園都市構想)

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価
(9/7)
騰落
(8/20~9/7)
1447 1447 1447 1447 ITbookホールディングス 482 24.5%
2150 2150 2150 2150 ケアネット 5,900 6.7%
4480 4480 4480 4480 メドレー 4,255 8.7%
6034 6034 6034 6034 MRT 2,160 16.1%
6563 6563 6563 6563 みらいワークス 1,011 13.3%
6580 6580 6580 6580 ライトアップ 3,170 19.5%

河野 太郎氏関連銘柄・・・脱原発(再生エネルギー)・脱ハンコ

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価
(9/7)
騰落
(8/20~9/7)
1407 1407 1407 1407 ウエストホールディングス(J) 5,450 23.2%
2667 2667 2667 2667 イメージ ワン(J) 850 26.5%
4498 4498 4498 4498 サイバートラスト 4,685 13.7%
4644 4644 4644 4644 イマジニア(J) 1,049 7.5%
6027 6027 6027 6027 弁護士ドットコム 7,210 19.4%
6092 6092 6092 6092 エンバイオ・ホールディングス 596 6.6%
6297 6297 6297 6297 鉱研工業(J) 460 10.0%

高市 早苗氏関連銘柄・・・サイバーセキュリティ

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価
(9/7)
騰落
(8/20~9/7)
3042 3042 3042 3042 セキュアヴェイル(J) 296 11.7%
3857 3857 3857 3857 ラック(J) 979 4.4%
4395 4395 4395 4395 アクリート 2,351 30.6%
4493 4493 4493 4493 サイバーセキュリティクラウド 3,015 17.7%

※Bloombergデータ・会社公表データをもとにSBI証券が作成。 ※銘柄名の右側に(J)と記載された銘柄はジャスダック上場銘柄。無印は東証マザーズ銘柄。 ※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

以下、図表4でご紹介した銘柄から一部の銘柄について、その投資ポイントをご紹介します。

弁護士ドットコム(6027) 電子契約サービスで「脱ハンコ」を実現へ

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
期間:2021/3/16~2021/9/7(日足)

■弁護士へのマーケティング支援サービスを中心に提供
インターネットを通じた弁護士へのマーケティング支援サービスを中心に提供しています。主力サイト「弁護士ドットコム」は2.1万人の弁護士が登録し、有料でプロフィールや得意分野の登録を行うことができます。

株価は2020年10月の15,880円が高値でした。しかし、結果的に2021/3期は増収・減益に終わり、株価も下落傾向に。2022/3期・第1四半期の営業利益は改善。しかし、サイト訪問者数や有料会員数、登録弁護士数などの伸び悩みもあり、株価は8/17(火)に5,500円の安値を付けました。

■電子契約サービスの成長に期待
2022/3期・第1四半期は基本的計数が伸び悩んだものの、広告宣伝費の売上等で、四半期単位での営業利益は過去最高となりました。 弁護士が監修した電子契約サービスであるクラウドサインも着実に成長。同四半期の売上高は前年同期の2.2倍となる5.8億円まで拡大しました。

8/30(月)に富士キメラ総研が発表したレポートでは、同社の電子契約サービス(有償プラン)が導入企業数において、市場占有率トップとなりました。 紙と印鑑をクラウドに置き換える同サービスは、DX事業の中核であり、同社の魅力の1つと言えるでしょう。

自民党総裁選関連銘柄としては、「脱ハンコ」にこだわってきた河野 太郎氏の関連銘柄であると考えられます。

メドレー(4480) 遠隔医療は「地方のデジタル化」の核的存在か?

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
期間:2021/3/16~2021/9/7(日足)

■日本最大級の人材採用システム
日本最大級の人材採用システム、ジョブメドレー(人材プラットフォーム事業・2021/12期第2四半期累計売上高構成比は74.8%)が主力事業です。
この他、日本最大級のオンライン診療システムであるCLINICSオンライン診療を中核として、患者のための医療情報サービス、市民のための介護情報サービスなどの医療プラットフォーム事業(2021/12期第2四半期累計売上高構成比は23.1%)を手掛けています。
医療機関は患者をオンラインで診察する際に同社システムを活用すれば、スムーズな業務が可能に。PC上で患者の予約状況を一元管理し、ビデオカメラなどでの診察中にはチャットでのやり取りが可能となり、必要な画像ファイルも送受信できます。
同社は当面、ある程度損益を犠牲にしても、投資や買収を積極的に行っていく方針です。

■NTTドコモと業務資本提携。早くもその効果か。
同社は4/22(木)にNTTドコモとの業務資本提携を発表。
51億円の資本注入を得て、NTTドコモの約8千万人の顧客基盤を活かし、オンライン診療システムの普及を図ります。
こうした中、8/13(金)に2021/12期・上半期決算を発表。売上高55.4億円(前年同期比55.4%増)と高成長を維持し、営業利益8.24億円(同81.9%増)を確保。
2021/12期・会社予想営業利益は1.6~6.6億円(中心は4.1億円)ですが、市場では6.5億円を予想。また、2022/12期は11.6億円、2023/12期は16.8億円が市場コンセンサスです。
8/23(月)には、NTTドコモと共同で、患者と医師を予約なしでつなぐオンライン診療システムの提供を発表。これら一連の前向きな動きを背景に、株価の底値固めが進みつつあるようです。

8/30(月)に富士キメラ総研が発表したレポートでは、同社の電子契約サービス(有償プラン)が導入企業数において、市場占有率トップとなりました。 紙と印鑑をクラウドに置き換える同サービスは、DX事業の中核であり、同社の魅力の1つと言えるでしょう。

同社の遠隔医療システムは、地方のデジタル化の核になる技術かもしれません。
自民党総裁選関連銘柄としては、「地方のデジタル化」をめざす岸田 文雄氏の関連銘柄であると考えられます。

サイバーセキュリティクラウド (4493) 不正アクセスや攻撃などからウェブサイトを守る

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
期間:2021/3/16~2021/9/7(日足)

■積極的な業務展開を行う
不正アクセスや攻撃からウェブサイトなどを守るサービスを提供。主力サービスである「攻撃遮断くん」については、約12,000サイトが導入。デジタル化が進み、サイバー攻撃の脅威は高まる一方で、需要増を見込み、地方都市や海外での展開も進める方針です。
2020/12には、サイトのセキュリティ上の欠陥を診断するソフテック(東京都世田谷区)を買収。2021/6には、米国でサイバーセキュリティ関連サービスを開始するなど、積極的な業務展開を行っています。

2021/12期第2四半期累計(1~6月)の連結業績は、売上高が8.5億円、営業利益は1.9億円(比較はなし)。主力サービスであるクラウド型WAF(Webアプリケーションの脆弱性を突いた攻撃に対するセキュリティ対策)「攻撃遮断くん」と「WafCharm(ワフチャーム)」は継続課金ユーザーが順調に増加したことにより、売上高が拡大しました。
上記ソフテックも業績が第1四半期から寄与しています。
通期の連結業績予想は、売上高17.9億円(前期比50.0%増)、営業利益2.5億円(同32.8%増)を据え置いています。

■米国でもサイバーセキュリティが「国策」に
サイバーセキュリティの強化は高市早苗氏の注力政策課題であると見受けられます。
8/25(水)には、バイデン米大統領がホワイトハウスにグーグルやアップルなど米国を代表するIT企業のCEOを招き、サイバーセキュリティ強化のための会議を開催しました。
高市 早苗氏の出馬に関わらず、サイバーセキュリティはグローバルな投資テーマに昇華しそうです。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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