日本株投資戦略

決算発表が佳境へ!~株価上昇を期待しうる出遅れ好業績株を探る

2020/8/7
投資情報部 鈴木英之

東京株式市場はやや上値の重い展開が続いています。新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることや、外為市場が円高・ドル安気味の動きになっていることが要因かと思われます。さらに、景気・企業業績への不安が強まる中、7月下旬から国内上場企業の2020年4~6月期・決算発表が佳境となり、様子見気分が強まっていることも影響しているように思われます。

そうした中、今回の「日本株投資戦略」では、8/5(水)までに実施された決算発表を分析し、株価上昇が期待できる好決算銘柄の抽出をこころみたいと思います。投資家にとって、決算発表は注意を要すべきイベントとみられる一方、投資チャンスを提供しうる重要な機会であると考えることもできます。分析の結果、いまだ株式市場から高い評価を得ていないものの、「好業績」が評価され、株価上昇が期待できる銘柄も少なくないように思われます。

今回のポイント

1.第1四半期(2020/4~6期)の大幅営業増益銘柄

株価上昇が期待できる好決算銘柄とはどのような銘柄でしょうか。そこで、とりあえずは以下のような条件のもと、銘柄を抽出し、株価の騰落を調べてみました。

(1)東証上場銘柄であること。

(2)時価総額1千億円以上の銘柄であること。

(3)広義の金融(銀行、証券・商品、保険)を除く業種に属していること。

(4)3月決算銘柄であること。

(5)第1四半期(2020/4~6期)の営業利益が以下の条件を満たし、好内容であること。

 (A)黒字であること。

 (B)事前の市場コンセンサスを上回っていること。

 (C)前年同期(2019/4~6期)と比較し、増益になっていること。

以上のすべての条件を満たした銘柄を、上記の(5)-(C)に相当する第1四半期の営業増益率(前年同期比)が高い順に並べたものが表1となっています。ここでご紹介した銘柄の「決算発表後株価騰落率」は平均で10.4%にもなります。図1としてご紹介したコーエーテクモホールディングス(3635)は決算発表後8/7(金)までに31.0%も上昇していることにもなります。

前年同期比で、本業のもうけを示す営業利益が大幅な増益になっている訳で、メディア等に前向きな内容で紹介されるケースも多いと思われます。このため、決算発表後に株価が大きく上昇するケースが多くなっても不思議ではありません。

問題は「それでは、ここから買っても、投資家は値上がり益を享受できるのか」という点です。すでに大きく株価が上昇した銘柄については特に、「好材料織り込み済み」となっているリスクにも注意すべきです。少なくとも、冒頭で述べたように「いまだ株式市場から高い評価を得ていないものの、『好業績』が評価され、株価上昇が期待できる銘柄」とは言い切れず、別途注意深い分析が必要なように思われます。

表1 今年度第1四半期の営業利益が前年同期比で大幅増益を達成した銘柄(3月決算銘柄)

コード 銘柄 株価
(8/7)
決算発表
直前株価
決算発表後
株価騰落率
4~6期営業利益
2020年 2019年 増減
2432 ディー・エヌ・エー 1,806 1,337 35.1% 12,570 2,319 442.0%
3635 コーエーテクモホールディングス 4,480 3,420 31.0% 4,387 956 358.9%
4502 武田薬品工業 3,807 3,756 1.4% 167,285 45,167 270.4%
6849 日本光電工業 3,660 3,640 0.5% 1,831 542 237.8%
3231 野村不動産ホールディングス 1,927 1,880 2.5% 17,900 6,046 196.1%
9504 中国電力 1,293 1,288 0.4% 16,002 5,605 185.5%
9715 トランス・コスモス 2,998 2,552 17.5% 3,342 1,367 144.5%
9505 北陸電力 709 651 8.9% 16,595 7,138 132.5%
8282 ケーズホールディングス 1,399 1,427 -2.0% 15,907 7,231 120.0%
2897 日清食品ホールディングス 10,580 9,750 8.5% 17,452 8,627 102.3%

※各社株価データ、各社公表データをもとにSBI証券が作成。決算発表後株価騰落率は、決算発表が取引終了後に実施された場合は決算発表日終値を、決算発表が取引時間中に実施された場合は決算発表前日終値を起点に、8/7(金)終値までの騰落率をみたもの。

図1 コーエーテクモホールディングス(3635)・日足

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。

2.株価上昇を期待しうる出遅れ好業績株は!?

前項では、第1四半期の営業増益率(前年同期比)が高い銘柄を抽出してみました。メディア等に前向きな内容で紹介されるケースも多いと思われ、決算発表後に株価が大きく上昇するケースが多くなっても不思議ではありません。そのため、抽出された銘柄については、すでに上値余地が縮小しているケースも多いように思われます。

そこで、今度は条件を変えてみたいと思います。すなわち、前項のスクリーニング条件にある、(5)-(C)に相当する第1四半期の営業増益率(前年同期比)については不問にするというものです。そして、(5)-(B)で条件にした「事前の市場コンセンサス」から実績値がなるべく、大きく上回っている銘柄を抽出することにしました。

第1四半期営業利益の事前予想を(A)、実績値を(B)とした場合、「事前の市場予想から実績値が上回った金額の大きさ」を計算するとした場合に(B)-(A)として計算する方法があります。しかし、この式で求められる銘柄はどうしても、時価総額上位の大型株に集中しやすくなります。そこで、(B)/(A)-1から上振れた金額を%表示する手があります。しかしこの場合は、(A)の事前の市場コンセンサスが赤字であった銘柄が除外されてしまうという欠点があります。

結果として、上記の2つの方法から上位各5銘柄を選び計10銘柄をご紹介したものが表2となります。これにより、それぞれの計算式がもつ「欠点」によって削除される銘柄が、もう一つの方法で選択され直すケースも出てくると考えられます。ただし、表1と重複する銘柄は除きました。株価が出遅れていない可能性が大きいためです。

銘柄抽出条件に第1四半期の営業増益率(前年同期比)が入っていませんので、減益となった銘柄などは新聞記事としては後ろ向きな内容が多いものになる場合があります。しかし、本業のもうけを示す営業利益の事前予想が実態よりも厳しかったということは、それだけ株価の頭を抑えていたという可能性があります。すなわち、表2の銘柄の中には、決算発表後すぐに高い評価とならなくとも、次第に前向きな評価が増えてくる銘柄があると期待されます。そうした銘柄には投資チャンスが小さくないとみられます。

表2 今年度第1四半期の営業利益が市場予想を大きく上回った銘柄(3月決算銘柄)

取引 チャート ポート
フォリオ
コード 銘柄 株価
(8/7)
2020/4~6営業利益(百万円) 上振れ金額
(B)-(A)
上振れ率
B)/(A)-1
事前予想(A) 実績(B)
6758 6758 6758 6758 ソニー 8,525 141,300 228,395 87,095 61.6%
7269 7269 7269 7269 スズキ 3,917 -35,543 1,298 36,841 -
9437 9437 9437 9437 NTTドコモ 3,009 244,498 280,536 36,039 14.7%
4188 4188 4188 4188 三菱ケミカルホールディングス 604.4 -4,733 23,534 28,267 -
3407 3407 3407 3407 旭化成工業 876.8 12,625 30,103 17,478 138.4%
4547 4547 4547 4547 キッセイ薬品工業 2,259 100 1,633 1,533 1533.0%
4005 4005 4005 4005 住友化学 343 1,825 18,760 16,935 927.9%
7988 7988 7988 7988 ニフコ 2,429 600 4,028 3,428 571.3%
6755 6755 6755 6755 富士通ゼネラル 2,563 670 3,958 3,288 490.7%
4062 4062 4062 4062 イビデン 3,370 1,804 6,536 4,732 262.3%

※各社株価データ、各社公表データをもとにSBI証券が作成。決算発表後株価騰落率は、決算発表が取引終了後に実施された場合は決算発表日終値を、決算発表が取引時間中に実施された場合は決算発表前日終値を起点に、8/7(金)終値までの騰落率をみたもの。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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