日本株投資戦略

≪「バイデン大統領」ならさらに?≫「国策化」で再注目の「環境・EV」関連銘柄はコチラ!?

2020/10/30
投資情報部 鈴木英之

いよいよ、米大統領選挙直前です。10月末現在、全米世論調査の平均支持率をみるとバイデン氏51.1%、トランプ氏43.7%になっており、その差は7.4ポイント開き、バイデン氏が優勢との見方がメインシナリオになっています。

バイデン氏は環境政策を重視すると予想されていますが、我が国でも、菅首相が「温室ガス実質ゼロ」を打ち出してきたため、環境重視やEV(電気自動車)普及は「国策化」してきたと考えられます。仮にトランプ氏が勝利した場合、「環境・EV」関連銘柄はいったん売られる可能性がありますが、株式市場での注目は続くと考えられます。今回はそんな「環境・EV」関連銘柄をご紹介したいと思います。

今回のポイント

1.今なぜ「環境・EV」なのか?

いよいよ、米大統領選挙直前です。次期大統領が正式に決まるまで「ひと波乱」あり得るとの見方も根強い上、足元では新型コロナウイルスの新規感染者数が欧米を中心に再び増え始めており、経済活動を制限する国も増えてきました。当面は株式市場が波乱に巻き込まれる可能性に注意したいところです。

10月末現在、全米世論調査の平均支持率をみるとバイデン氏51.1%、トランプ氏43.7%になっており、その差は7.4ポイント開き、クリントン氏の優位が3.2ポイントにとどまっていた前回選挙時と比べても差が大きく、バイデン氏が優勢との見方がメインシナリオになっています。バイデン氏が仮に大統領になった場合、4年間で2兆ドルの環境・インフラ投資を実施するとみられるなど、環境政策を重視すると予想され、「バイデン強気銘柄」の組み入れ銘柄も、その関連銘柄が多いようです。その他、TPP(環太平洋経済連携協定)などの国際協調の枠組みにも徐々に復活してくる可能性がありそうです。

我が国でも、菅首相が「2050年までに温室ガス実質ゼロ」という方針を打ち出してきたため、環境重視やEV普及は「国策化」してきたと考えられます。仮にトランプ氏が勝利した場合、「環境・EV」関連銘柄はいったん売られる可能性がありますが、中国や欧州では環境重視やEV普及が継続されるとみられ、株式市場での注目は続くと考えられます。

株式市場では、バイデン氏が大統領になった場合に好パフォーマンスが期待される「バイデン強気指数」が上昇基調をたどってきました。株式市場における「環境・EV」関連銘柄の物色はすでにスタートしていると考えられます。ただ、少し細かく見ると「バイデン強気指数」は10月上旬をピークに上昇一服の状態であり、逆転に向けたトランプ氏の追い込みを織り込んでいるようにも見受けられます。

図 過去半年で大きく上昇した「バイデン強気指数」

BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

2.「国策化」で再注目の「環境・EV」関連銘柄はコチラ!?

我が国では、菅首相が「2050年までに温室ガス実質ゼロ」という方針を打ち出してきたため、環境重視やEV普及は「国策化」してきたと考えられます。中国や欧州では環境重視やEV普及が継続されるとみられ、株式市場での注目は続くと考えられます。トランプ氏が勝利し、「環境・EV」関連銘柄はいったん売られる可能性がありますが、かといって、環境重視やEV普及の政策を後退させてしまうと、世界市場で大きなシェアを失う可能性があります。これらを重視する太い流れは続くと考えるのが妥当ではないでしょうか。

ただ、ひとたび「環境関連」として関連銘柄の抽出をこころみると、膨大な数の銘柄が導き出され、絞り込みが困難になると考えられます。そこで今回は、日本経済新聞が特集を連載していることもあり、おもに二酸化炭素削減とEV(電気自動車)に関連する銘柄を「例」としてご紹介することにしました。市場にかかわらず抽出し、決算発表が終了した銘柄をなるべく優先的にご紹介することにしました。なお、表の掲載順はコード番号順としています。

二酸化炭素削減について興味深い存在の1社として広栄化学(4367)があげられます。イオン液体の酸性ガス吸収現象を利用し、地球温暖化対策に寄与することができるようです。「環境」とは直接関係ありませんが、新型コロナウイルス治療薬の「アビガン」や「レムデシビル」向けに原料を生産していることも心強い材料とみられます。10/29(木)に四半期決算を発表していますが、2020/7~9期だけみれば、前年同期比35%の営業増益と計算されます。

なお、電気自動車専業で業績が拡大している米国テスラ社ですが、同社への納入企業はEV関連企業として注目されます。表2ではパナソニック(6752・電池)、ファナック(6954・生産ロボット)、エフテック(7212・フロントサブフレーム)、小田原エンジニアリング(6149・コイル製造装置)などを紹介していますが、Bloombergの販売・仕入先データより検索しています。

電気自動車では主要部品がエンジンからモータにかわります。そうした中、EVの車輪を駆動するトラクションモータでは日本電産(6594)のシェアが拡大中で、同社はこの分野で2030年にシェア35%を目指すとされています。その他、明電舎(6508)や三井ハイテック(6966)も重要な部品を供給しています。

業績面では日本電産(6594)は2020/7~9期に営業増益が加速するなど好調で、ファナック(6954)は利益見通しの大幅上方修正を発表。また、パナソニック(6752)も事前の市場予想を上回る営業利益を確保するなど好調な銘柄が目立ちました。このうち、電池の供給でテスラと密接な関係にあるパナソニックは、テスラからの要請で新型電池を開発していることや、テスラ向け電池事業の黒字化見通しなどが報じられ、10/30(金)の株式市場で逆行高となりました。

表 「国策化」で再注目の「環境・EV」関連銘柄(例)

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(10/30) 投資のポイント
4367 4367 4367 4367 広栄化学工業 3,170 二酸化炭素を吸収するイオン液体
6149 6149 6149 6149 小田原エンジニアリング(11/12) 2,338 コイル製造装置で大手
6506 6506 6506 6506 安川電機 4,035 EV向けにモータドライブシステム
6508 6508 6508 6508 明電舎 1,592 EV・HEV駆動用モータ・インバータ
6594 6594 6594 6594 日本電産 10,500 トラクションモータでシェア35%目標
6752 6752 6752 6752 パナソニック 960.7 テスラの要請で新型電池開発へ
6954 6954 6954 6954 ファナック 22,050 EV生産用ロボット
6966 6966 6966 6966 三井ハイテック 2,117 EV向けにモータコア
6996 6996 6996 6996 ニチコン(11/10) 841 EVと家庭をつなぐV2Hシステム
7212 7212 7212 7212 エフテック(11/5) 505 テスラ車のフロントサブフレーム

各種報道等をもとにSBI証券が作成。「投資のポイント」は各社事業のうち、EVや環境に関連する部分を説明しているもので、必ずしも各社の代表的な事業を示している訳ではありません。銘柄名右横のカッコ内日付は決算発表予定日で、それがない銘柄は四半期決算が終了している銘柄です。まお、「モータ」と「モーター」の表記について、ここでは前者に統一しました。

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