日本株投資戦略

【物色対象変化で意外な銘柄が?】株価乱高下・緊急事態宣言解除で今後どうなる日本株・前編

2021/3/19
投資情報部 鈴木英之

米長期金利の上昇懸念が後退し、米国株が再び最高値を更新する中、日本株も落ち着きを取り戻してきました。
経済活動の再開や景気・企業業績の回復が意識されるようになってきた中、今後物色の流れに変化は生じるのでしょうか。
そこで改めて、今後の銘柄選別についての戦略を、短期と中期「2つの視点」に分け、2週にわたって特集します。
前半の今回は短期的な視点から銘柄の抽出を行っていますが、中期的にも好パフォーマンスが期待できそうな銘柄も多く含まれています。
※後半の“中期的な視点”からみた銘柄戦略につきましては、次回3/26(金)の日本株投資戦略にて掲載予定です。

なお、当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。ぜひ、ご視聴ください。
日本株投資戦略
※YouTubeに遷移します。

執筆者のプロフィール

SBI証券 投資情報部長 鈴木 英之
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的寄稿も多数。
・出身 東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味 ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技 どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物 サイゼリヤのごはん

今回のポイント

1.日経平均株価は再び3万円を回復

3/18(木)の日経平均株価は反発し、およそ2週間ぶりに終値で3万円を回復しました。3/19(金)は日銀金融政策決定会合の結果を受け、日経平均高寄与度の銘柄の下げが目立ちましたが、全体的には落ち着きを取り戻しています。FRB(連邦準備制度理事会)が、3/17(水)まで開催されていたFOMC(米連邦公開市場委員会)において、2023年までゼロ金利政策を続ける方針を改めて表明したことで安心感が広まり、米国株が上昇したことが追い風になりました。

国内では、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて2021/1/7(木)に再び発令されていた1都3県への緊急事態宣言が、3/21(日)に全面解除されることが3/18(木)に正式決定されました。経済活動の再開に向けた重要な節目を迎え、景気・企業業績の回復が本格的に意識される局面になってきたと考えられます。

そうした中、日経平均株価は2020/3/19(木)に昨年来安値(16,358円19銭)をつけてから1年が経過しました。図表1ではその間の時価総額増加率が大きかった主要銘柄をご紹介します。企業のデジタル化を後押しする銘柄や、再生エネルギーに関連する銘柄が上位となりました。

図表1 「コロナ1年」でもっとも時価総額を増やした銘柄(東証1部・時価総額300億円以上)

コード 銘柄 株価(2021/3/17) 騰落率 時価総額(百万円)
2021/3/17 2020/3/19
6532 ベイカレント・コンサルティング 23,850 521.9% 370,656 59,600
9468 KADOKAWA 4,345 313.4% 308,026 74,508
9519 レノバ 3,400 314.3% 265,023 63,969
8698 マネックスグループ 894 457.3% 231,545 41,546
2427 アウトソーシング 1,816 400.5% 228,651 45,680
3962 チェンジ 3,320 369.5% 222,865 47,466
6966 三井ハイテック 4,130 322.7% 162,998 38,559
2146 UTグループ 3,885 344.5% 156,811 35,277
6095 メドピア 6,310 446.4% 135,919 24,877
3788 GMOグローバルサイン・ホールディングス 7,760 450.7% 90,738 16,475
3902 メディカル・データ・ビジョン 2,111 376.5% 84,498 17,732
7816 スノーピーク 3,220 434.0% 61,405 11,499
6564 ミダック 4,400 411.0% 58,902 11,526
3696 セレス 4,410 695.4% 50,988 6,410
3922 PR TIMES 3,320 307.4% 44,678 10,968

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。
※時価総額300億円以上の東証1部上場銘柄について、日経平均株価が昨年来安値をつけた2020/3/19(木)終値から、2021/3/17(水)までの時価総額増加率が大きい順に掲載。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

2.3月末に向けた配当取りと投資戦略

今後どうなるのでしょうか。
新型コロナウイルスの感染拡大により逆風を受けてきた旅行や宿泊業界が選好されそうなイメージですが、3/18(木)時点では、低金利の長期化をにらんだ動きが強く、エイチ・アイ・エスが大幅安になるなど、レジャー関連銘柄を物色する動きは限定的でした。
その理由は、株価が全般的に上昇してきたことに加え、経済活動の再開を先取りしてきた銘柄が多かったことが考えられます。

では改めて、今後の銘柄選別についての戦略を、短期と中期「2つの視点」に分けて考えましょう。
前半の今回は短期的な視点から銘柄の抽出を行っていますが、中期的にも好パフォーマンスが期待できそうな銘柄も多く含まれています。

短期的な視点からは、3/29(月)に配当・株主優待の権利が確定することをにらみ、配当取りを狙う戦略があげられます。
以下、スクリーニング条件です。
(1)東証上場銘柄であること。
(2)3月決算銘柄であること。(3月決算権利付最終日接近のため)
(3)時価総額300億円以上の銘柄であること。
(4)今期予想配当利回り(市場コンセンサス)が3%超の銘柄であること。(日経平均採用銘柄の単純平均は3/17現在1.59%)
(5)過去3期連続増配で、単純平均で年10%超の増配実績があること。
(6)今期も1株配当額の現状維持か増配が予想(市場コンセンサス)される銘柄であること。

上記のすべての条件を満たす銘柄を時価総額増加率が大きい順に掲載した表が図表2になります。
3/19(金)を過ぎれば、配当取りの権利確保に残された営業日は6営業日とわずかになるため、配当取りの買いが集中して株価が跳ねやすくなり、注意が必要になります。また、3/30(火)以降のある程度の期間、配当取りを狙った買いの一巡で、株価が弱含みになる可能性があるので注意が必要です。

図表2の銘柄には広義の金融株が多く、その意味では、金利上昇が追い風になる銘柄が多いと考えられます。
配当取りに限らずキャピタルゲインの確保を狙った中期的視野でも、現在の外部環境は追い風が強いと思われます。ただ、裏を返せば、金融セクターに偏りがみられるので、景気回復期待や金利上昇が一巡した場合は、逆風が強まる可能性があります。

なお、後半の“中期的な視点”からみた銘柄戦略につきましては、次回3/26(金)の日本株投資戦略にて掲載予定です。

図表2 連続増配実績に加え、今期好配当利回りが期待される銘柄は?

取引 チャート ポートフォリオ コード 銘柄 株価(円)(3/18) 今期市場予想 過去3期平均年増配率
1株配当 利回り
8058 8058 8058 8058 三菱商事 3,215 134.00 4.17% 18.9%
1861 1861 1861 1861 熊谷組 3,195 125.00 3.91% 19.9%
8630 8630 8630 8630 SOMPOホールディングス 4,443 169.97 3.83% 18.6%
5857 5857 5857 5857 アサヒホールディングス 4,370 162.50 3.72% 34.6%
8593 8593 8593 8593 三菱UFJリース 686 25.50 3.72% 25.1%
9432 9432 9432 9432 日本電信電話 2,927.5 102.75 3.51% 16.9%
5970 5970 5970 5970 ジーテクト 1,518 52.00 3.43% 10.2%
8418 8418 8418 8418 山口フィナンシャルグループ 782 26.00 3.32% 10.1%
8750 8750 8750 8750 第一生命ホールディングス 1,993.5 62.29 3.12% 13.1%
9303 9303 9303 9303 住友倉庫 1,539 48.00 3.12% 15.9%
8795 8795 8795 8795 T&Dホールディングス 1,459 45.42 3.11% 10.7%
6670 6670 6670 6670 MCJ 1,006 31.00 3.08% 22.3%

※各社配当データ、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。各社年間の予想1株配当金や、それに基づく予想配当利回りは、中間配当等年間に支払われる予定のすべての配当を受け取ったものと仮定して表示、または計算されたものです。期末配当だけでは確保できない場合があります。
※平均増配率の計算に用いている1株配当の過去データは、株式分割や同併合を加味した実質ベースになっています。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

  • ※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。
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