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 ~「台湾有事リスク」と見通し~

2022/8/5
投資情報部 李 燕

7/29-8/4の香港市場は調整しました。中国当局がGDP成長率目標は重要ではなく、大規模な景気支援策を打ち出す意向はないと表明し、相場の重石となりました。「台湾有事リスク」も、投資家のリスク回避を助長しました。

今回は、「台湾有事リスク」と見通しについて確認してみたいと思います。

図表1 ハンセン指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

注:8/4(木)までのチャートです。
※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成。

図表2 香港市場の業種別指数の推移(2021年12月31日=100として指数化)

注:業種別指数はハンセン総合指数のサブ指数です。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図表3 香港市場の個別銘柄の騰落率と関連ニュース等(8/4(木)までの騰落率)

ハンセン指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00175 吉利汽車 [ジーリー・オートモービル] 18.6% 6.1% 46.0% 大手自動車メーカー。傘下高級EVブランド「極度(ZEEKR)」の7月の販売台数が前年同月比17%増と、過去最高となった。
00005 HSBC (匯豊控股) 4.0% 0.7% 1.7% 英金融大手。中間決算の純利益や配当金が市場予想を上回り、買い材料となった。大手証券会社数社が目標株価を引き上げた。
01997 九龍倉置業 [ワーフ・リアルエステート] 3.2% 0.4% -5.3% 香港地場の不動産会社。中間決算で赤字転落となったが、配当金の引き上げが好感された。(SBI証券取り扱いなし)
00941 中国移動 [チャイナモバイル] 2.3% 3.1% -2.5% 中国通信キャリア最大手。台湾地政学リスクで投資家のリスク回避志向が強まるなか、ディフェンシブ銘柄として買われた。
01211 比亜迪 [BYD] 2.0% -6.6% 24.7% 中国EV最大手。7月の新エネルギー車販売台数が前年同月比222%増となり、買い材料となった。大手証券会社が目標株価を引き上げた。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00992 聯想集団 [レノボ・グループ] -8.9% -4.3% -8.4% パソコン大手。米インテル(INTC)の4-6月期決算でパソコンの需要鈍化が示され、売り材料となった。インテルが通期の売上高見通しを大幅に下方修正したことも嫌気された。
00960 龍湖集団 [ロンフォー・グループ] -10.6% -33.2% -37.8% 中国不動産大手。主要都市の不動産販売が7月も鈍化し、不動産株が総じて軟調だった。
00881 中升集団 -11.0% -25.8% -19.5% 自動車販売会社。大手証券会社が投資判断と目標株価を引き下げた。
02007 碧桂園 [カントリー・ガーデン] -15.8% -43.1% -51.0% 中国不動産大手。7月の不動産販売額が前年同月比45%減となり、売りが膨らんだ。
06098 CG SERVICES -23.7% -57.6% -57.0% 不動産大手カントリーガーデン(02007)傘下の不動産サービス会社。親会社の不動産販売の鈍化が嫌気された。(SBI証券取り扱いなし)

ハンセンテック指数

騰落率上位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
09866 蔚来汽車 [ニオ] 6.3% -4.6% 17.3% 新興EVメーカー。7月の納車台数が前年同月比27%増と、予想より堅調だったほか、10万元台の低価格EV生産をめぐる観測記事も買い材料となった。なお、低価格EVについて同社CEOは、「現時点でお伝えできる情報はない」とコメントした。
09698 万国数拠服務 4.6% -14.2% -7.3% データセンターを運営。中国ADRの上場廃止リスクの影響が後退し、買われた。香港に重複上場している銘柄はADRの上場廃止リスクによる影響は比較的小さく、今後は中国本土投資家による資金流入が期待できると、大手証券会社が指摘した。
02015 理想汽車[リーオート] 3.2% -13.2% 52.1% 新興EVメーカー。7月の納車台数が前年同月比21%増と、予想より堅調だった。中国当局が新エネルギー車取得税の免除を延長すると発表したことも好材料となった。(SBI証券取り扱いなし。リンク先は米国上場のLIとなっています。)
00285 比亜迪電子 [BYDエレクトロニック] 2.1% -10.3% 40.0% BYD(01211)傘下のスマートフォン部品・受託製造メーカー。電子タバコ生産の許可を取得し、買い材料となった。
02382 舜宇光学 [サニーオプチカル] 1.5% -6.4% -1.0% 大手光学機器メーカー。著名アナリストが同社は「iPhone14」シリーズの7Pレンズ(7枚構成のプラスティックレンズ)の最大サプライヤーになっていると指摘し、買われた。
騰落率下位
(5日)
銘柄名 騰落率
(5日)
騰落率
(1ヵ月)
騰落率
(3ヵ月)
関連ニュース等
00992 聯想集団 [レノボ・グループ] -8.9% -4.3% -8.4% パソコン大手。米インテル(INTC)の4-6月期決算でパソコンの需要鈍化が示され、売り材料となった。インテルが通期の売上高見通しを大幅に下方修正したことも嫌気された。
06690 海爾智家 [ハイアールスマートホーム] -9.4% -17.0% -20.3% 大手家電メーカー。大手証券会社が投資判断と目標株価を引き下げた。
00772 閲文集団(China Literature) -9.7% -17.7% -5.9% オンライン文学プラットフォームを運営。特段材料はなく、需給要因のもよう。
00020 SenseTime Group Inc -10.9% -13.4% -54.9% AIソフトウェア大手。発行済株数の14%相当分が香港の決算システムに移管され、大口投資家による売りが警戒された。7/29からストックコネクト(中国本土投資家が取引可能)の対象銘柄になったが、中国本土からの資金流入期待よりも売り圧力の方がより意識された。
00909 Ming Yuan Cloud Group -16.3% -47.9% -36.2% 不動産会社向けソフトウェア大手。会社側が1-6月期は大幅な赤字に転落する見通しだと発表し、売り材料となった。(SBI証券取り扱いなし)

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergをもとにSBI証券が作成。

今週の中国株市況

7/29-8/4の香港市場は、ハンセン指数が2.2%上昇、ハンセンテック指数は3.8%下落しました。米国上場のADRで構成されるナスダック・ゴールデン・ドラゴン中国指数(HXC指数)は、0.2%上昇しました。

中国当局がGDP成長率目標は重要ではなく、大規模な景気支援策を打ち出す意向はないと表明し、相場の重石となりました。「台湾有事リスク」も、投資家のリスク回避を助長しました。「台湾有事リスク」については、今回の「トピックス」部分で取り上げます。

業種別では、不動産、工業、素材が軟調でした。不動産大手のカントリーガーデン(02007)や龍湖集団(00960)、建設機械メーカー大手の中聯重科(01157)、港湾運営を手掛ける招商局港口(00144)が大幅安となりました。建設資材の中国アルミ(02600)やコウセイコパー(00358)も下落しました。

上記3業種に共通する調整要因も、下記3点です。

1)公式統計より先に発表された民間統計によると、主要都市の不動産販売は7月も鈍化しました。

2)債務危機に陥っている中国恒大(03333)が7月末までに公表する予定だった債務再編計画について、年内の公表に先送ると発表しました。

3)中国当局がGDP成長率目標は重要ではなく、大規模な景気支援策を打ち出す意向はないと表明しました。

上記の1)と2)については、ある程度市場の想定内でしたが、3)は大方のエコノミストやアナリスト(筆者含む)の予想に反するものとなりました。不動産市場の状況からすると、これまでの支援は必ずしも十分と言えず、市場では一段の支援措置に対する期待が根強いようです。

中国当局が現時点で大規模な支援を躊躇する意図は不明(過去の失敗からの教訓として地方政府による大規模な景気支援策をけん制する狙いの可能性もある)ですが、不動産問題やゼロコロナ政策による国内景気の弱さや世界景気減速懸念を考慮すると、中国当局は何らかの支援に迫られる可能性があると考えられます。

業種別で唯一逆行高となったのは、電気通信でした。投資家のリスク回避志向の強まりで、通信キャリア大手のチャイナモバイル(00941)やチャイナユニコム(00762)がディフェンシブ銘柄として買われました。

今回のトピックス

今回は、「台湾有事リスク」と見通しについて確認してみたいと思います。

8/2、米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問する見通しだと報じられ、ハンセン指数は2.4%下落し、ハンセンテック指数は3.0%下落しました。米国の政治序列3位のペロシ下院議長による台湾訪問で、「台湾有事リスク」に対する警戒が強まりました。

しかし、今のタイミングで中国がそうするメリットはないと考えられるため、「台湾有事」の可能性は低いとみております。米中対立や台湾問題に関する中国当局のこれまでの対応を確認してみると、中国当局はいずれも長期戦を覚悟しています。つまり、米国超えや台湾問題の解決は中国当局にとって中長期的な目標であり、短期(今年)の目標ではないです。特に今年秋に共産党大会を控えていることを考えると、中国当局が「ペロシ氏の挑発」に乗り、何らかの大きな行動を取る可能性は低いと考えられます。

一方、米国に対して弱腰姿勢を示すわけにはいかないため、中国はすぐ対抗措置を発表しました。中国外務省は断固として反対すると抗議し、中国商務部は8/3から台湾からの食品輸入を禁止すると発表し、中国人民解放軍は台湾周辺で8/4-8/7に軍事演習を実施すると発表しました。

株式市場の反応を確認してみると、ペロシ氏の台湾訪問予定が報じられた8/2に、主要指数は大きく調整しましたが、同氏が台湾訪問を終了した8/4は上昇しました。最も警戒されたペロシ氏の台湾訪問期間中の「有事リスク」が後退したからです。

また、ペロシ氏の台湾訪問期間中はリスク回避でほぼ全面安となったなか、半導体関連銘柄は逆行高となりました。台湾をめぐる緊張が続く場合、中国は半導体の台湾依存軽減を図る可能性があるとの期待から、中国本土のファウンドリー大手のSMIC(00981)や華虹半導体(01347)が買われました。

短期的にみて、ペロシ氏の台湾訪問による市場への影響は限定的だったと言えます。一方、今回の件で米中対立は一段と激化する恐れがあります。少なくとも米中両国の重要な政治イベント(中国は10月か11月に共産党大会、米国は中間選挙)までは緊張感が続きそうです。一方、軍事衝突は双方にとって望ましくないため、その可能性は低いと想定されます。

他方、ペロシ氏の台湾訪問による緊張を理由に、中国EVバッテリー大手のCATLが北米工場計画発表の延期を表明したことを踏まえると、米中対立激化による企業活動や経済への影響については注視していく必要がありそうです。米中経済が分断する「デカップリング」となれば、世界経済や株式市場にとって大きなリスクです。しかしながら、米中とも足元の経済情勢が芳しくない点を考えると、今はデカップリングよりも協力が大事と言えます。2018年の米中貿易摩擦を振り返ってみると、米国の中間選挙が過ぎた後、米中関係は「小康状態」を経験しました。今年も政治イベント通過後の「小康状態」があるかどうかに注目したいです。

なお、「台湾有事リスク」については、「オンラインセミナ」の「李のチャイなび!」(8/5更新)でも取り上げる予定です。ご興味のある方は動画資料も併せてご確認ください。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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