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今週の5銘柄 ~連日最高値の米国市場!!4-6月期決算の注目銘柄はコレ!?~

2021/7/12
投資情報部 榮 聡

先週は世界的な新型コロナのデルタ株による感染拡大が嫌気されて下落する場面はありましたが、7/9(金)には主要3指数が揃って最高値を更新して終わっています。今週はパウエルFRB議長の議会証言、4-6月期決算発表の開始、米中の経済指標、などが注目されます。

今回は4-6月期決算で1-3月期実績から業績モメンタムが加速する見通しの銘柄から、ゼネラル モーターズ(GM)コノコフィリップス(COP)ウォルト ディズニー(DIS)ダウ(DOW)ビザ A(V)を選んでご紹介いたします。

図表1 S&P500指数の一目均衡表(日足、3ヵ月)

※当社WEBサイトを通じてSBI証券が作成

図表2 業種別指数騰落率・個別銘柄騰落率

S&P500業種指数騰落 5日 1ヵ月 3ヵ月
不動産 3.2% 1.2% 13.2%
一般消費財・サービス 2.5% 6.2% 3.9%
情報技術 2.3% 6.7% 7.2%
ヘルスケア 1.3% 3.7% 9.1%
S&P500指数 1.1% 3.6% 5.8%
公益事業 1.0% -1.6% -0.4%
生活必需品 0.7% -0.4% 1.9%
コミュニケーション・サービス 0.5% 2.7% 7.0%
資本財・サービス 0.4% 0.3% 2.6%
素材 0.3% -3.4% 3.4%
金融 -0.8% -2.0% 4.1%
エネルギー -3.6% -3.4% 10.7%
騰落率上位(5日) 騰落率
オラクル 10.3%
アマゾン・ドットコム 8.3%
アップル 5.7%
コストコホールセール 4.5%
アクセンチュア 4.2%
騰落率下位(5日) 騰落率
コノコフィリップス -4.4%
IBM -3.6%
バンク・オブ・アメリカ -3.6%
シティグループ -3.6%
ウェルズ・ファーゴ -3.3%

注:個別銘柄の騰落率上位、下位はS&P100指数が母集団です。銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

先週の米国株式市場

休場明けの7/6(火)は景気敏感株が売られて、S&P500指数は一時前日比0.9%安まであった一方、ナスダック指数は上昇しました。前日ワクチン接種で先行していたイスラエルから、ファイザー製ワクチンのデルタ変異株に対する予防効果は64%に落ちているとの発表があったことが影響したとみられます。

7/7(水)はFOMC議事要旨でFRBが金融引き締めに踏み切る用意がまだ整っていない可能性が示唆されたと捉えられて反発しました。7/8(木)は新型コロナのデルタ変異株による感染拡大に対する懸念から金融市場が幅広くリスクオフとなり、S&P500指数も0.9%の下落となりました。滴滴出行の下落や中国当局の海外上場に対する規制強化もセンチメントを悪化させたとみられます。

一方、7/9(金)は低下が続いていた米10年国債利回りが反発したことを受けて、前日の下げを否定する動きが出て主要3指数が揃って最高値を更新しました。S&P500指数は週間で0.4%、NYダウは0.2%、ナスダック指数は0.4%の上昇でした。S&P500指数は6/24(木)から7/9(金)までの11営業日のうち7/8(木)を除く10営業日で高値を更新と非常に強い動きとなっています。

業種指数では、成長銘柄を多く含む業種がアウトパフォームする一方、景気敏感業種が劣後しました。トップの「不動産」は新型コロナに対する懸念が行き過ぎているとして、見直し買いが入ったとみられます。個別銘柄では、米国防総省が昨年マイクロソフト(MSFT)と契約したクラウド構築の100億ドルの大型案件を解除したことから、オラクル(ORCL)アマゾン ドットコム(AMZN)などによる受注が期待されました。

経済指標では、米国の6月ISM非製造業景気指数が前月の64.0から60.1へ、市場予想の63.5を大きく下回って低下しました。先々週のISM製造業景気指数も前月の61.2から60.6へ低下して、企業景況感はピークアウトしつつあることが確認されました。同指標は50が景気拡大・縮小の分かれ目ですので水準は高いと言えます。経済再開による急激な回復からの反動という面があると考えられます。

今週の米国株式市場

パウエルFRB議長の議会証言、4-6月期決算発表の開始、米中の経済指標、などが注目されます。

パウエルFRB議長は、7/14(水)に下院金融委員会、7/15(木)に上院銀行委員会で証言を行います。下半期の米国経済見通し、インフレに対する見方、金融引き締めに転じる時期、などが焦点になりそうです。

4-6月期の決算発表は7/13(火)のJPモルガンチェース、ゴールドマンサックスなど大手銀行から本格的に始まります。銀行の決算に関しては、市場関連収入が見通しを下回っているとのウォーニングが出ていますので、今回は必ずしも好調ではないかもしれません。

ただ、銀行の市場関連収入が原因で決算が悪くても、市場全体の収益動向を代表するわけではない点には注意が必要でしょう。S&P500指数採用銘柄のEPSは前年同期比63.6%増で、1-3月期の同52.5%増から加速が予想されています。前年同期の利益がパンデミックで落ち込んでいるため、大幅な増益が続く見通しです。

米中の経済指標では、米国の6月小売売上高は現金給付によって拡大した3月から低下傾向が続く一方、米国の6月消費者・生産者物価指数は引き続き高い伸びとなる見通しです。中国の経済指標はベース効果による高い伸びが徐々に剥落する局面とみられます。

経済指標では、7/13(火)に中国の6月貿易統計(輸出は前年比22.9%増、輸入は同27.9%増の予想)、米国の6月消費者物価指数(前月比0.5%増、前年比4.9%増の予想)、7/14(水)に米国の6月生産者物価指数(前月比0.5%増、前年比6.7%増の予想)。

7/15(木)に中国の4-6月期実質GDP(前年比8.0%増の予想)、中国の6月鉱工業生産(前年比7.8%増の予想)・小売売上高(前年比10.8%増の予想)・固定資産投資(前年比12.0%増の予想)、7/16(金)に米国の6月小売売上高(前月比0.4減%の予想)、米国の7月ミシガン大学消費者マインド(前月の85.5から86.5に改善の予想)、などの発表が予定されています。

今週の5銘柄

今回は4-6月期決算で1-3月期実績から業績モメンタムが加速する見通しの銘柄をご紹介いたします。

S&P100指数の採用銘柄について、以下の条件でスクリーニングしました。

【スクリーニング条件】
(1)4-6月期の予想売上・EPS増加率が1-3月期実績に比べて5%ポイント以上高い(黒字転換への変化を含む)
(2)過去4週のEPS修正率がプラス
(3)目標株価乖離率が10%以上

ここから、ゼネラル モーターズ(GM)、コノコフィリップス(COP)、ウォルト ディズニー(DIS)、ダウ(DOW)、ビザ A(V)を選んでご紹介いたします。

図表3 4-6月期の好決算期待銘柄(S&P100指数採用銘柄が対象)

コード 銘柄 4-6月期
売上増加率
(%)
4-6月期
EPS増加率
(%)
1-3月期
売上増加率
(%)
1-3月期
EPS増加率
(%)
EPS修正率
(4週)
(%)
目標株価
乖離率
(%)
GM ゼネラル・モーターズ(GM) 83.7 黒字転換 -0.7 262.9 14.0 27.1
COP コノコフィリップス 256.8 黒字転換 59.6 53.3 13.3 22.0
DD デュポン・ド・ヌムール -17.5 35.0 -23.9 8.3 0.1 18.0
DIS ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー 42.8 593.8 -13.3 31.7 5.0 17.3
CVX シェブロン 173.7 黒字転換 1.7 -30.2 6.7 16.9
DOW Dow Inc 53.8 黒字転換 21.6 130.5 5.5 14.6
BMY ブリストルマイヤーズ スクイブ 11.7 17.4 2.7 1.2 0.2 13.3
V ビザ 20.5 25.9 -2.1 -0.7 0.1 12.2
GE

ゼネラル・エレクトリック(GE)

2.0 黒字転換 -16.6 -40.0 1.2 10.5
MCD マクドナルド 47.2 215.2 8.7 39.5 0.1 10.3

注:銘柄名はBloombergの表記により、当社WEBサイト・本文中の表記と異なる場合があります。
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成

今週の注目銘柄

銘柄 株価
(7/9)
予想PER
(倍)
ゼネラル モーターズ(GM)58.76ドル9.2

【半導体不足の解消で工場の稼働再開】

・フォードと並んで米国最大級、世界5位の自動車メーカーで、キャデラック、シボレー、ビュイック、GMCブランドの中・大型車、SUV、トラックを展開します。2035年までにすべての乗用車モデルをEVにするとして、大手自動車メーカーの中でEVに対する積極姿勢が注目されています。中国の格安EVで注目を集める「上汽通用五菱汽車」の44%を保有する大株主であることも注目されます。5/27(木)に半導体不足でここ数ヵ月操業を停止していた5工場の生産を再開すると発表したことが直近の業績上方修正の主因とみられます。

・1-3月期は売上が前年同期比1%減にとどまったものの、利益率が高い大型のSUV、ピックアップトラックの販売好調で、調整後EBITは前年同期の12億ドルから44億ドルへ大幅に改善しました。通年の調整後EPSは4.50~5.25ドルを維持しました。半導体不足の影響は出るものの、会社は通期のガイダンスには高い自信があるとしました。

コノコフィリップス(COP)60.13ドル15.3

【原油価格上昇に対する利益レバレッジが高い】

・石油・天然ガスの探鉱・生産の上流部門に特化するエネルギー企業の大手です。原油価格が安い局面でパーミアン盆地で操業するコンチョ・リソーシズの買収を決めて2021年1月に完了、原油価格回復の恩恵を大きく受けています。カナダのオイルサンド資産を保有するエノバス・エナジー社の保有株式を2022年にかけて売却する方針で、株主還元の拡大が期待されています。

・1-3月期決算は、原油価格回復に買収効果が加わり、売上が前年同期比60%増、調整後EPSが同53%増と大幅に伸びました。リビアを除く生産量は前年同期比16%増相当の1日当たり石油換算バレルで149万に増加、4-6月期も同150~154万に拡大する見通しです。年率15億ドルペースでの自社株買いの再開を発表しています。

ウォルト ディズニー(DIS)177.04ドル76.0

【全世界のテーマパークが再開を果たした】

・「ディズニーランド」などのテーマパークを世界各地で運営するほか、「ディズニー」や「ピクサー」、「スター・ウォーズ」ブランドの映画制作、「ABC」やスポーツ専門チャンネル「ESPN」といったテレビ番組の制作などを手がける米国の大手娯楽企業です。カリフォルニア州のテーマパークが4月末に、「ディズニーランド・パリ」も6/17(木)に営業を再開して、全世界のテーマパークが再開を果たしています。

・1-3月期の業績は、テーマパークの減収が足をひっぱって売上は前年同期比13%減の一方、部門営業利益はメディア部門の増益が貢献して同2%増としました。注目のインターネット動画「Disney+」の加入者数は104百万件と市場予想の109百万件をショートして株価下落につながりました。しかし、同加入者数は前年同期比70百万件、2020年末比9百万件増として順調に拡大していると言えるでしょう。

ダウ(DOW)63.08ドル9.0

【原油価格上昇による製品価格上昇が恩恵に】

・19年4月にダウ・デュポンからスピンオフした化学素材メーカーです。スピンオフ以来、事業の透明性が増し、コスト削減への踏み込みが強まって、株式市場からの信頼性が増しているとみられます。直近の業績上方修正は、原油価格の上昇を受けて製品価格が上昇する中、天然ガスを主な原料としていることから恩恵が大きいためと考えられます。

・1-3月期決算は、平均販売価格の上昇により売上が前年同期比22%増、EPSが同2.3倍となり、市場予想も上回りました。平均販売価格は前年同期比19%増、前四半期比でも11%増でした。一方、平均販売数量は前年同期比横ばいにとどまりましたが、建設、通信機器、民生電子機器、消費者向け耐久財などは増加したものの、寒波による供給制約の影響が相殺しています。

ビザ A(V)238.47ドル42.4

【海外旅行再開なら恩恵】

・クレジット・デビットカードによる電子決済のインフラを提供しています。新型コロナのパンデミックでは、ネット通販の増加でカード利用が伸びた一方、海外旅行の大幅な落ち込みから減収・減益が続いてきましたが、4-6月期は前年同期の落ち込みが大きかったため、業績の伸びが加速する形です。

・4-6月期の予想売上は1-3月期比2%増と緩やかな回復にとどまる見通しです。ただ、ワクチン接種の進展から海外旅行が徐々に回復すると見込まれることから、2021年後半には業績回復のモメンタムが強まると期待されます。1-3月期のクロス・ボーダー決済額は、為替の影響を除いたベースで前年同期比11%減、欧州域内の取引を除くと同21%減となっていました。

注:予想PERはBloomberg集計のコンセンサス予想EPSによります。使用した予想EPSの決算期は、ウォルトディズニー、ビザが2021年9月期、その他は2021年12月期です。
※会社資料、BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

主要イベントの予定

  経済指標・イベント 企業決算・イベント
12(月) ・日本機械受注(5月)
・日本工作機械受注(6月)
 
13(火) ・中国貿易統計(6月)
・米NFIB中小企業楽観指数(6月)
・米消費者物価指数(6月)
JPモルガンチェース、ゴールドマンサックス、ペプシコ
14(水) ・ユーロ圏鉱工業生産(5月)
・パウエルFRB議長議会証言(下院金融委員会)
・米生産者物価指数(6月)

・米地区連銀経済報告(ベージュブック)
ウェルズファーゴ、バンクオブアメリカ、シティグループ
ブラックロック、デルタ航空
15(木) ・中国実質GDP(4-6月期)
・中国鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資(6月)
・パウエルFRB議長議会証言(上院銀行委員会)

・ニューヨーク連銀製造業景気指数(7月)
・フィラデルフィア連銀製造業景気指数(7月)
・米新規失業保険申請件数(7月10日に終わる週)
・米鉱工業生産(6月)
TSMC、モルガンスタンレー、ユナイテッドヘルスグループ
16(金) ・EU27ヵ国新車登録台数(6月)
・米小売売上高(6月)
・米ミシガン大学消費者マインド(7月)

・日本政策金利
 
19(月) ・米NAHB住宅市場指数(7月) IBM
20(火) ・米住宅着工・建設許可件数(6月) フィリップモリスインターナショナル、インチュイティブサージカル
21(水)   ジョンソン&ジョンソンコカ・コーラ
ベライゾンコミュニケーションズネットフリックス
テキサスインスツルメンツ
22(木) ・ECB主要政策金利
・米シカゴ連銀全米活動指数(6月)
・米新規失業保険申請件数(7月17日に終わる週)
・米中古住宅販売件数(6月)
マイクロソフトAT&Tテスラインテル、バイオジェン
ツイッター(E)
23(金) ・マークイットユーロ圏製造業PMI(7月)
・マークイット米国製造業PMI(7月)
アメリカンエキスプレス、ニューコア、シュルンベルジェ

注:日付は現地時間によります。(E)はBloombergによる予想を示します。企業決算の赤字でのハイライトは、当社顧客保有人数の1~30位、青字のハイライトは31~50位を示します。
※Bloombergデータ、各種報道をもとにSBI証券が作成

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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