特集レポート FX
米5月雇用統計は予想外に好調!今後の注目点は!?
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
5月雇用統計結果
12月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | 18.4 | 21.4 | 23.0 | -137.3 | -2068.7 | 250.9 |
失業率(%) | 3.5 | 3.6 | 3.5 | 4.4 | 14.7 | 13.3 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.1 | 0.2 | 0.3 | 0.5 | 4.7 | -1.0 |
時間給賃金 前年比(%) | 3.0 | 3.1 | 3.0 | 3.3 | 8.0 | 6.7 |
5月雇用統計の総括
・就業者数は統計開始以来最大の減少となった4月の2,068.7万人減から250.9万人増へ
予想以上に労働市場が急回復していることを示唆
・製造業:237.3万人減⇒66.9万人増へ、 非製造業:1,735.1万人減⇒242.5万人増へ
政府部門 96.3万人減⇒58.5万人減へそれぞれ改善
レジャー・娯楽産業やヘルスケア関連業種の改善が顕著
・失業率は13.3%と市場予想(19.6%)ほど悪化せず、4月(14.7%)から改善
・パートタイム労働者や職探しをあきらめた人を含む広義の失業率も21.2%と、4月(22.8%)から改善
・低賃金労働者の労働市場への回帰により全体的な平均時給は前月から低下
時間給賃金は4月の30.04ドルから5月は29.75ドルへ低下⇒前月比-1.0%、前年比+6.7%
・トランプ政権による中小企業向けの給与保証プログラムを通じた失業給付金の拡充も支援
失業給付の対象を拡充し、自営業者やフリーランサーにもさらに週あたり600ドルの加算給付
→米4月の個人所得は前月比+10.5%と3月(-2.2%)から改善
さらに労働市場の回復が今後の米個人消費の回復につながるか期待
今後も労働市場の回復基調を維持?
今回の雇用統計に関して、就業者数の前月からの増加を予想したエコノミストは一人もおらず、ポジティブサプライズと受け止められました。
一方で、週間の新規失業保険申請件数は失業者の増加を示唆しているほか、ISM製造業、非製造業景況指数の雇用指数はいずれも悪化が続いていることを示唆する結果となりました。
新型コロナウイルス感染の影響によるデータの収集に支障が生じているところもあるほか、失業率の計算の根拠となる調査回答率は67%に留まり、ウイルス感染拡大前の82%と比べてもかなり低くなっており、6月の雇用統計で5月分のデータが下方修正される可能性には注意が必要です。
しかし、前月からの業種別就業者数の比較を見ても明らかなように、娯楽や接客業界の雇用は全体の持ち直し分のおよそ半分を占めており、レストランでのテイクアウトやデリバリーなど、従業員の職場復帰に向けた新たな動きも労働市場の回復に寄与しました。
今後、ウイルス感染拡大の第2波が発生しない限り、夏場に向けて更なる制限措置の緩和や解除が進むことで、より多くの労働者が職場復帰を果たすと思われます。トランプ大統領は、給与税減税など一段の刺激策を議会に要請していく方針を示すなど、更なる対策を講じる用意があることを表明しています。
今回の雇用統計結果を受けて、今週のFOMCでパウエルFRB議長が米国経済の先行きについて楽観的な見方を強めるのか注目されます。また、ウイルス感染前の生活パターンに戻るにはどの程度の期間を要するのか、ワクチン開発まで経済を回復基調に戻すためにどのような措置を講じるのか、様々な課題を残しつつも「ひとまず安心」の状況を維持することができるか、今後発表される5月の指標が注目されます。
雇用統計を受けて米10年債利回りが一時0.95%まで上昇したことに伴い、ドル円は一時109円85銭まで上昇し109円59銭で先週末の取引を終えました。今週のFOMCでパウエルFRB議長が米国経済の先行きについて楽観的な見通しを示すのか、ドル円の節目とされる110円台の回復が出来るか注目されます。
非農業部門雇用者数(万人)の推移
米時間給賃金(%)の推移
米失業率(%)の推移
- ※1 2019年11月末時点 矢野経済研究所調べ(有力FX企業17社の月間データランキング)
- ※2 2020年5月末時点 SBIグループのうち、約7割がSBI証券のFX口座
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