特集レポート FX
米8月雇用統計を終え、来週のFOMCに注目!
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
お知らせ
※9/15、9/22の「特集レポート」は、諸事情により休刊とさせていただきます。
8月雇用統計結果
3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | -137.3 | -2078.7 | 272.5 | 478.1 | 173.4 | 137.1 |
失業率(%) | 4.4 | 14.7 | 13.3 | 11.1 | 10.2 | 8.4 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.5 | 4.7 | -1.0 | -1.3 | 0.1 | 0.4 |
時間給賃金 前年比(%) | 3.3 | 8.0 | 6.6 | 4.9 | 4.7 | 4.7 |
米8月雇用統計の総括
失業率は4月の14.7%をピークに4ヵ月連続で改善。経済活動の再開による就業復帰する労働者の増加を反映。しかし、感染前に50年ぶりの低水準となった2月の失業率(3.5%)と比較しても依然として高水準の状況。
各州での経済活動再開による雇用の増加が続いているものの、増加ペースは鈍化。
8月の就業者数は2月時点を約1,150万人下回る状況。一時帰休扱いの従業員を部分的に呼び戻したものの、感染の影響から需要の回復が伴っておらず感染前の水準まで従業員を増やせない職種も数多く見られる状況。
8月は国勢調査に関連した臨時雇用により政府系部門の就業者数の増加が寄与。
内訳では小売関連や教育・医療関連サービスで増加。ヘルスケアは7月(19.6万)の半分以下(9.0万)となったほか、レジャー関連も7月(62.1万)の3分の1(17.4万)まで減少。また、中小企業の就業者数は4月から6月にかけて順調に回復したものの、7月以降上昇が鈍化し、8月末時点では1月の水準の約77%に留まる状況。
時間給賃金は前月比+0.37%の29.47ドル、週平均労働時間は0.1時間増の34.6時間と改善が見られること、株式市場の上昇により個人消費の減少は回避されるか今後の指標に注目。
ドル円は失業率や時間給賃金の改善を好感し、106円51銭まで上昇したものの、前日高値(106円55銭)を上抜けすることが出来ず、あらためて上値の重さを確認。クドローNEC委員長が追加景気対策に否定的な発言を行った影響もあり、NYダウが247ドル高から628ドル安まで下落したこともドル円の上値を抑制し106円18銭へ反落し106円24銭で取引を終了。
来週のFOMCに向けて
雇用統計を受けてパウエルFRB議長は雇用統計は良い結果であり、雇用の伸びは予想を上回ったと評価。一方、回復は夏の始めと同じペースに留まっており、FRBは活動を支援するために長期に渡る低金利が必要との考えを明らかにしました。
27日のジャクソンホールでの講演でパウエル議長は2.0%の物価目標を上回る場合でも直ぐに引締めに転じないアベレージ・インフレの導入を決定したと発言。その上で27日に臨時のFOMCを開催していたことが明らかになりました。アベレージ・インフレの導入は想定されていた範囲内と捉えられたほか、9月の会合で政策方針の修正を発表したとしても市場の反応は限られるとして、敢えてFRBの積極的な姿勢をアピールする必要があったとされます。こうしたFRBの長期に渡るゼロ近辺に据え置くことを明確に示したことで長期的なインフレ期待を高めることにつながるとの指摘も聞かれました。さらに、議長は「政策の変更」に既に取り組んでいると発言したことで、9月FOMCでの新たな緩和策が示される可能性が後退したとの見方も聞かれています。
一方でこれまで慎重な構えを見せてきた長期金利の上昇を抑え込むためにイールドカーブコントロールの検討に踏み込むか注目する必要があるという見方も根強くあります。追加景気対策が遅れていることもあり、事前に策を講じたと見られる27日の臨時会合。
果たして、来週のFOMCで更なる緩和策に踏み込むのか、現状維持となるか。米債券市場で10年債利回りが0.7%を下に上昇基調を明らかにすることになればドル円は思わ上昇を見せる可能性もあり注目されます。
非農業部門雇用者数(万人)の推移
米時間給賃金(%)の推移
米失業率(%)の推移
- ※1 2019年11月末時点 矢野経済研究所調べ(有力FX企業17社の月間データランキング)
- ※2 2020年5月末時点 SBIグループのうち、約7割がSBI証券のFX口座
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