シカゴIMM投機筋の円ポジションは7月2日に2007年6月以来最大となる-184,223枚の売り越しとなりました。ただ、7月末の日銀金融政策決定会合で追加利上げを決めたほか、米7月ISM製造業景気指数や雇用統計が予想以上に下振れたことを受けたFRBの9月利下げ観測の高まりとともに日米金利差縮小の思惑を背景にそれまでの円キャリートレードの巻き戻しが急速に進み8月13日には23,104枚と2021年3月以来に買い越しに転じ、直近9月3日時点で41,116枚の買い越しとなっています。

円ポジションは2021年1月12日時点の50,520枚の買い越し、さらに、それ以前に遡ると2016年9月27日の68,892枚の買い越し、さらに遡っても2016年4月19日の71,870枚の買い越しが2010年以降の最大となっています。そのため、円の買い越しのピークを目先5万枚~6万枚と想定するとドル円は心理的節目とされる140円00銭を目先の安値メドとして底入れが近い可能性もありそうです。

先週末発表の米8月雇用統計では、非農業部門就業者数が市場予想を下回ったものの、5月以来の14.2万人増となったほか、失業率も7月までの4ヵ月連続の悪化から5ヵ月ぶりに改善しました。さらに、時間給賃金も前月比、前年比で増加したほか、総労働時間の増加により総賃金も前月比+0.8％増となるなど米経済に対する減速懸念を増幅する内容とはならなかったため、来週17-18日のFOMCでは0.25％の利下げに留まるとの見方が優勢となっています。

8月消費者物価指数は総合指数が前年比+2.6％と2021年3月以来の水準まで5ヵ月連続で鈍化が見込まれる一方、エネルギーと食料品を除いたコア指数は+3.2％と7月から横這いに留まると予想されています。そのため、今回も前月同様、財やエネルギー価格以外の項目でインフレの鈍化が緩慢との結果が示されると見られます。

現状、来週のFOMCでは0.25％に留まるとの見方が優勢となっているほか、年末に向けて、11月6-7日、12月18-19日の年末までの3回のFOMCを合わせた利下げ幅予想は以下の通りとなっており、年末まで合計で1.00％もしくは1.25％の利下げが有力視されています。
さらに、6月のFOMCで示された年末、来年末にかけての政策金利やインフレ、成長率見通しなどがどのように変更されるか、年末に向けた為替市場の方向性を占う上で注目されます。

いずれにしても、11日発表の米8月消費者物価指数が大幅なサプライズとならない限り、来週のFOMCでは0.25％の利下げに留まると見られ、日銀金融政策決定会合で追加利上げが見送られれば、ドル円は心理的節目とされる140円00銭を前に下げ止まり反発に転じるか注目されます。