金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米中の通商協議の進展期待が圧迫

2019/11/11
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米FRB議長の議会証言も確認

11月4日の週のニューヨーク金市場は、米中の通商協議の進展期待を受けて急落し、期近12月限が8月5日以来の安値1,457.0ドルを付けた。米中が追加関税の段階的な撤廃で合意したと伝えられたことを受けてリスク選好の動きとなった。米主要株価指数が最高値を更新し、米10年債利回りは1.97%と8月1日以来の高水準となった。CMEのフェドウォッチによると、来年12月のフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準の確率は1.50~1.75%への据え置きが54.8%(前週27.5%)となった。利下げ休止の見方が強まっており、ドル高や株高が続くと、金は軟調に推移することになりそうだ。今週はパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が13~14日に米議会の公聴会で証言する予定であり、金融政策の見通しを確認したい。

米中の通商協議で米国は9月発動分の中国製品に対する追加関税の撤回を検討していることが明らかになった。また中国商務省は7日、中国と米国が過去2週間で、双方が貿易戦争の過程で発動した追加関税を段階的に廃止することで合意したと明らかにした。「第1段階」の通商合意には、米国が12月に予定している中国製品に対する追加関税を見送ることも盛り込まれるとみられている。ただ段階的な撤廃には米政権内で強い反対論があると伝えられるなか、トランプ米大統領は8日、対中関税の撤回で合意していないと明らかにした。一方、合意文書署名で米中首脳会談の開催地が決まらず、12月にずれ込む可能性も伝えられており、12月15日の追加関税発動までに間に合うかどうかも当面の焦点である。米中の関税撤廃が協議されたことは世界経済に対する楽観的な見方を強める要因である。ただ第1段階後の知的財産権や構造問題の協議には触れられていない。第1段階の合意署名となったとしても、その後の協議が難航するようなら、先行きに対する楽観的な見方が後退する可能性が出てくる。

国際通貨基金(IMF)は、ユーロ圏19カ国の今年の経済成長率見通しを1.2%と、4月時点の1.3%から下方修正した。製造業の不振が非製造業にも波及する可能性があるという。ドイツの成長率見通しが0.5%と昨年の1.5%から成長率は3分の1にとどまる見通し。従来の見通しは0.8%。ドイツ政府の経済諮問委員会(5賢人委員会)も成長見通しを引き下げたが、独経済の減速に対応するための景気支援型の包括的な歳出プログラムは必要ないとの見解を示した。欧州連合(EU)の欧州委員会もユーロ圏の成長率見通しを下方修正しており、景気の先行き懸念が残ると金の下支え要因になるとみられる。

11月8日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比13.48トン減の901.19トンとなった。米中の通商協議の進展期待を受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月5日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは27万9,828枚となり、前週の27万6,515枚から拡大した。今回は新規買いが9,168枚、新規売りが5,855枚入り、3,313枚買い越し幅を拡大した。

プラチナは再び900ドル割れ

ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、金急落やドル高を受けて軟調となり、10月22日以来の安値889.6ドルを付けた。10月29日の安値912.7ドルや900ドルの節目を割り込み、テクニカル面で中立に戻った。10月の米自動車販売が持ち直したが、ユーロ圏の成長率見通しが下方修正されており、プラチナの上値を抑える要因である。米中の通商協議の進展期待が続くと、米国債の利回り上昇やドル高が圧迫要因になるが、長期的な合意に対する懸念が出ると、ドル高が一服し、安値拾いの買いが入るとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11月7日のロンドンで17.75トン(前週末17.84トン)、ニューヨークで24.04トン(同24.34トン)、8日の南アで31.94トン(同31.67トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月5日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは4万5,695枚(前週4万2,297枚)に拡大した。新規買いが新規売りを上回った。

ニューヨーク金はレンジ下限を割り込む

ニューヨーク金12月限は米中の通商協議の進展期待を受けて急落し、8月5日以来の安値1,457.0ドルを付けた。米中が追加関税の段階的撤廃で合意したと伝えられたことを受けてドル高・株高に振れた。金ETF(上場投信)から投資資金が流出するなか、レンジ下限を割り込み、テクニカル面で悪化した。トランプ米大統領は対中関税の撤回で合意していないとしているが、第1段階の部分合意に向けて協議が進むと、1,450ドルの節目を試すことになりそうだ。

11月11日からの週の注目ポイント

11日 米国(銀行・政府機関)、カナダ休場
機械受注(9月) ☆☆
国際収支・経常収支(9月) ☆☆
英国内総生産(7-9月期速報) ☆☆☆
英貿易収支(9月)
英鉱工業生産指数(9月) ☆☆
英製造業生産指数(9月) ☆☆
12日 英雇用統計(10月) ☆☆
独ZEW景況感指数(11月) ☆☆
13日 NZ準備銀行政策金利 ☆☆☆
企業物価指数(10月)
ユーロ圏鉱工業生産(9月) ☆☆
独消費者物価指数(10月確報) ☆☆
英消費者物価指数(10月)  ☆☆
米消費者物価指数(10月) ☆☆☆
米財政収支(10月) ☆☆
14日 国内総生産(7-9月期1次速報) ☆☆☆
中国小売売上高(10月) ☆☆
中国鉱工業生産(10月) ☆☆
ユーロ圏国内総生産(7-9月期改定)  ☆☆
15日 ユーロ圏消費者物価指数(10月確報) ☆☆☆
米小売売上高(10月) ☆☆☆
米輸出入物価指数(10月) 
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(11月) ☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(10月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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