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マーケットレポート
金は香港人権法案の行方を確認
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は投資資金の動向も焦点
11月18日の週のニューヨーク金市場は、米議会で香港人権法案が可決され、米中の対するに対する懸念が出たが、米中の通商協議の進展期待を受けて戻りを売られた。期近2月限は7日以来の高値1,486.0ドルで上げ一服となった。米議会で香港人権法案が可決され、トランプ米大統領に送付された。米大統領は署名見通しと伝えられたが、米大統領は22日、中国の習国家主席に香港の抗議活動を弾圧すれば米中の通商協議に「著しいマイナスの影響が及ぶ」と伝えたと述べたことを明らかにした。中国は同法案が成立すれば報復措置を採るとしている。米大統領が拒否権を発動しても議会で覆されるとみられており、同法案の行方と中国の反応を確認したい。
米議会で香港人権法案が可決されたが、中国の当局者が米中の通商協議に対する楽観的な見方を示し、先行き懸念が後退した。中国の劉副首相は米中の通商協議で第1段階の合意に自信を持っている、と述べた。また第1段階の合意が来年にずれ込む可能性が出ていたが、米国が12月に予定している中国製品への追加関税の発動を延期するとの見方が伝えられた。さらに中国の習国家主席は22日、米国と第1段階の合意をまとめたい考えで、貿易戦争を起こさないよう取り組んでいるとした。ただ必要であれば報復措置を講じることを恐れていない、と述べた。中国政府は24日、知的財産権侵害で刑罰を科すボーダーラインの引き下げも検討するとの指針を発表した。知的財産権は通商協議の争点のひとつであり、今回の発表は協議が進んでいることの裏付けとなる。
経済協力開発機構(OECD)は経済見通しを発表し、世界の経済成長率予想を2019年、20年ともに2.9%とし、20年の予想を9月時点の3.0%から下方修正した。各国政府が政策や投資方法を改革しない限り、世界経済は改善されないとした。構造的な問題を指摘し、貿易戦争は世界秩序の大きなシフトの一環だとし、目先の財政・金融政策で対処できないとした。一方、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は22日、ユーロ圏経済の繁栄を確保するため、欧州の新しいポリシーミックスが必要だと述べた。公共投資を増やすべきだとしており、市場で金融政策から財政政策へのシフトが見込まれていたことと一致する。ただユーロ圏では加盟国に財政赤字の上限を定めており、ECBがこの問題にどう対処するかも焦点である。
11月22日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比4.98トン減の891.79トンとなった。米中の通商協議に対する不透明感が出たが、戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月19日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは28万5,859枚となり、前週の26万7,066枚から拡大した。今回は新規買いが1万4,107枚、買い戻しが4,686枚入り、1万8,793枚買い越し幅を拡大した。
【プラチナはドル安一服で戻りを売られる】
ニューヨーク・プラチナ期近1月限は、金堅調やドル安を受けて7日以来の高値929.7ドルを付けたのち、上げ一服となった。米議会で香港人権法案が可決され、リスク回避の動きが出ると、米国債の利回りが低下し、ドル安などがプラチナの支援要因になった。ただ米中の通商協議に対する懸念が後退すると、リスク回避の動きが一服し、ドル安が一服し、プラチナの上値を抑える要因になった。一方、プラチナの独自材料では、ワールド・プラチナ・インベストメント・カウンシル(WPIC)が四半期報告で今年のプラチナは1トンの供給不足に転じるとの見通しを示した。投資需要の急増が背景にある。ただ来年は20.8トンの供給過剰見通しとしており、プラチナの上値の重い状況が続きそうだ。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11月21日のロンドンで17.74トン(前週末17.81トン)、ニューヨークで23.74トン(同24.04トン)、22日の南アで31.20トン(同31.93トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月19日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは4万2,085枚(前週3万8,459枚)に拡大した。買い戻しが手じまい売りを上回った。
ニューヨーク金はレンジ下放れも安値拾いの買い意欲が強い
ニューヨーク金2月限は、7日以来の高値1,486.0ドルを付けたのち、米中の通商協議に対する懸念が後退したことを受けて上げ一服となった。7日のレンジ下放れでテクニカル面で悪化したが、米議会で香港人権法案が可決され、米中の対立に対する懸念が下支え要因になった。金ETF(上場投信)から投資資金が流出したが、先物市場で大口投機家の買い越しが拡大し、安値拾いの買い意欲が強い。引き続き買われると、下支え要因になるとみられる。
11月25日からの週の注目ポイント
25日 | 独ifo景況感指数(11月) | ☆☆ |
26日 | 米S&Pケース・シラー住宅価格指数(9月) | ☆☆ |
米新築住宅販売(10月) | ☆☆☆ | |
米消費者信頼感指数(11月) | ☆☆ | |
27日 | 米国内総生産(7-9月期改定値) | ☆☆☆ |
米耐久財受注(10月) | ☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(11月) | ☆☆ | |
米個人所得・支出(10月) | ☆☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(10月) | ☆☆ | |
米地区連銀経済報告(ベージュブック) | ☆☆ | |
28日 | 米国休場 | ☆ |
独消費者物価指数(11月速報) | ☆☆ | |
29日 | 失業率(10月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(10月速報) | ☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(11月速報) | ☆☆☆ |
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