金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は株高も先行き懸念で堅調

2019/12/30
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はETFに投資資金が戻る

トランプ米大統領は24日、中国の習近平国家主席と第1段階の米中通商合意に署名する調印式を行うと表明した。中国外務省も25日、通商合意の署名式を巡って米国と密接に連絡を取っているとした。来年1月初旬に署名される見通しであり、合意は署名30日後に発効する予定となっている。米国の中国への輸出が今後2年間で倍増するとの見通しから米主要株価指数が堅調に推移しているが、12月の米国の対中追加関税の発動見送りは想定内で関税引き下げは1,200億ドル相当の中国製品に課している15%の追加関税率を7.5%と小幅にとどまった。2,500億ドル相当に課している25%の関税率は維持しており、中国が合意を履行できるかどうか不透明感が残り、世界経済の減速見通しに変わりがなければ強材料の出尽くしとともに株安に転じ、金が一段高となる可能性が出てくる。

一部の米経済指標が悪化し、ドル安に振れたことや低調な米国債の入札が金の支援要因になった。11月の米耐久財受注は前月比2.0%減と事前予想の1.5%増から予想外に減少した。民間設備投資の先行指標とされるコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注も同0.1%増と事前予想の0.2%増を下回った。米中の貿易摩擦を受けて世界的に製造業が減速しており、第1段階の通商合意で改善するかどうかが当面の焦点である。ただ第3四半期の米実質国内総生産(GDP)確報値は年率換算で前期比2.1%増となり、事前予想と一致した。また米国の年末商戦が好調なことも伝えられ、米経済は堅調である。マスターカードの調査「スペンディングパルス」によると、11月1日から12月24日までの小売売上高(自動車除く)は前年同期比3.4%増加した。オンラインの売上高が同18.8%増加し、全体に占める割合も14.6%と、過去最高を記録した。一方、米5年債入札で最高落札利回りが1.756%と発行日前利回りの1.772%を下回った。また米7年債入札で最高落札利回りが1.835%と発行日前利回りの1.844%を下回った。米国債の利回りの低下幅は限られたが、今後の債券市場の動向を確認したい。

東京金先限は上場来高値5,331円を付けた。9月に付けた5,304円を突破し、テクニカル面で強気である。また税込小売価格は5,877円と1980年1月以来の高値となった。同月高値6,415円が史上最高値である。

12月27日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比7.32トン増の893.25トンとなった。レンジを上放れ、テクニカル面で改善し、投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは28万6,275枚(前週27万0,920枚)。24日時点の建玉明細はクリスマス休暇の影響で30日に発表される。

【プラチナは金堅調につれ高も高値での買いが続くかどうか】

ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、ドル安や金堅調を受けて買い優勢となり、9月24日以来の高値968.8ドルを付けた。11月の戻り高値を上回ったが、9月23日の高値975.5ドルや9月13日の高値976.0ドルが次の抵抗線である。米主要株価指数が最高値を更新し、リスク選好の動きとなっているが、プラチナは来年の供給過剰が見込まれており、上値を抑える要因になっている。年末を控え、高値で実需筋の買いが見送られると、上値を抑える要因になるとみられる。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12月24日のロンドンで17.82トン(前週末17.75トン)、19日のニューヨークで23.15トン、27日の南アで31.71トン(同31.71トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、12月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは5万4,276枚(前週4万9,577枚)。24日時点の建玉明細はクリスマス休暇の影響で30日に発表される。

ニューヨーク金はレンジ上放れで堅調

ニューヨーク金2月限は、レンジを上放れ、11月4日以来の高値1,519.9ドルを付けた。米耐久財受注が予想外に減少したことや低調な米国債の入札を受けてドル安に振れると、買い戻しなどが入って戻り高値を更新し、上値を伸ばした。米主要株価指数が最高値を更新したが、SKEW指数が高止まりし、株安に対する警戒感が強いことも支援要因である。金ETF(上場投信)に投資資金が戻っており、引き続き買われると上値を伸ばす可能性がある。

12月30日からの週の注目ポイント

30日 大納会(東京商品)
シカゴ購買部協会景気指数(12月) ☆☆
米中古住宅販売仮契約指数(11月) ☆☆
31日 日本休場
中国製造業購買担当者景況指数(12月) ☆☆
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(10月) ☆☆
米消費者信頼感指数(12月) ☆☆
1日 元日
2日 日本休場
中国財新製造業購買担当者景況指数(12月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(12月確報) ☆☆
3日 日本休場 ☆☆
独雇用統計(12月)
独消費者物価指数(12月速報) ☆☆
米ISM製造業景況指数(12月) ☆☆☆
米FOMC議事録公表 ☆☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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