金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は新型肺炎で米国の強制隔離などが支援

2020/2/3
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は連休明けの中国市場を確認

1月27日の週のニューヨーク金市場は、中国の新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避の動きを受けて堅調となり、期近4月限が1月8日以来の高値1,595.5ドルを付けた。中国当局によると、2月1日時点の新型肺炎の感染者数は1万4,380人、死者は304人となった。世界保健機関(WHO)は1月30日、新型コロナウイルスの中国や他国での感染拡大について、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、移動や貿易を制限する措置は必要ないとの見方を示した。ただ感染拡大が続いていることから米政府は31日、公衆衛生上の緊急事態を宣言し、感染源となった中国の湖北省に渡航した米国民を強制的に隔離するほか、中国に滞在した外国人の入国を拒否する措置を講じると発表した。中国武漢の男性が1日にフィリピンで死亡し、フィリピンとニュージーランドも中国からの渡航者の入国を禁止した。渡航制限でリスク回避の動きが続くと、株安が金の支援要因になりそうだ。目先は春節明けの中国市場の動向を確認したい。中国人民銀行は声明で、春節明けの3日にリバースレポの公開市場操作を通じて1兆2,000億元を金融市場に供給すると発表した。ただホンダが武漢の四輪車工場の操業停止を13日まで延長することを明らかにしており、湖北省の企業活動の停止が続くと、第1四半期の中国経済は深刻な影響を受けるとみられる。

2019年の米実質国内総生産(GDP)速報値は前年比2.3%増と3年ぶりの弱い伸びとなった。2.9%増だった2018年に続き、トランプ米政権の成長率目標である3%を2年連続で下回った。米国の景気減速懸念が高まっており、CMEのフェドウォッチによると、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は7月に1.25~1.50%への利下げの確率が42.2%(前週31.8%)に上昇した。29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、FF金利の誘導目標を1.50~1.75%に据え置くことを全会一致で決定した。米FOMC声明で、雇用の伸びは堅調で、失業率は低水準にとどまったとの見方を表明したが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は会見で、「コロナウイルスの感染拡大は非常に深刻な問題」とし、中国や世界で混乱を引き起こす恐れがあると警戒を示した。

英国は1月31日、欧州連合(EU)を正式に離脱した。ジョンソン英首相はビデオ演説で「これは終わりでなく始まりだということだ。今まさに夜が明け、新たな幕が開く瞬間だ」と述べた。ただ年末までにEUと包括的な貿易協定で合意する必要があり、合意成立まで先行き不透明感が強い。英国の「合意なき離脱」に対する懸念が再び高まる可能性があり、今後の協議の行方を確認したい。

1月31日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.63トン増の903.21トンとなった。中国の新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避の動きから投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月28日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは33万0,092枚となり、前週の31万7,695枚から拡大し、過去最高を更新した。今回は新規買いが1,608枚、買い戻しが1万0,789枚入り、1万2,397枚買い越し幅を拡大した。

【プラチナはリスク回避で調整局面】

ニューヨーク・プラチナ期近4月限は、中国の新型肺炎によるリスク回避の動きやパラジウム軟調を受けて調整局面を迎え、1月9日以来の安値959.2ドルを付けた。米国が新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態を宣言し、強制隔離や入国禁止を実施するとしており、リスク回避の動きが続くと、プラチナの圧迫要因になるとみられる。一方、パラジウムは利食い売り一巡後に安値を買い拾われたが、中国の自動車産業が深刻な影響を受けるとの見方も出ており、戻りを売られる可能性が出ている。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、1月30日のロンドンで17.64トン(前週末18.09トン)、ニューヨークで23.72トン(同23.87トン)、31日の南アで31.48トン(同31.73トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、1月28日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは6万7,596枚となり、前週の6万7,391枚から拡大し、過去最高を更新した。買い戻しが手じまい売りを上回った。

ニューヨーク金はリスク回避で堅調

ニューヨーク金4月限は、中国の新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避の動きを受けて堅調となり、1月8日以来の高値1,595.5ドルを付けた。世界保健機関(WHO)が移動や貿易を制限する措置は必要ないとの見方を示したが、米国が緊急事態を宣言し、強制隔離や入国禁止措置を実施することを発表しており、リスク回避の動きが続くと、金の支援要因になるとみられる。1月8日の高値1,619.6ドルが抵抗線であり、ここを突破できるかどうかがテクニカル面の焦点である。

2月3日からの週の注目ポイント

3日 中国財新製造業購買担当者景況指数(1月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(1月確報) ☆☆
米ISM製造業景況指数(1月) ☆☆☆
米建設支出(12月)
4日 豪準備銀行政策金利発表 ☆☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(12月) ☆☆
米製造業新規受注(12月)  ☆☆
5日 中国財新サービス業購買担当者景況指数(1月) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(1月確報) ☆☆
ユーロ圏小売売上高(12月) ☆☆☆
全米雇用報告(1月)  ☆☆☆
米貿易収支(12月)  ☆☆
米ISM非製造業景況指数(1月) ☆☆☆
6日 ニュージーランド休場 
独製造業受注(12月) ☆☆
7日 中国貿易収支(1月) ☆☆
独鉱工業生産指数(12月) ☆☆
米雇用統計(1月) ☆☆☆
米卸売在庫(12月)
米消費者信用残高(12月)

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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