金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金はQE再開が下支えも換金売りが圧迫

2020/3/23
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は新型コロナウイルスの感染拡大の行方を確認

3月16日の週のニューヨーク金市場は、株価急落による換金売りを受けて調整局面を継続し、昨年8月以来の安値1,450.9ドルを付けたのち、各国中銀の流動性供給の強化などを受けて下げ一服となった。欧米で新型コロナウイルスの感染拡大が続き、人の移動制限や生活必需品以外の店舗が閉鎖され、景気後退に対する懸念が出ている。ただ米連邦準備理事会(FRB)は15日に1.00%の緊急利下げやバランスシートを7,000億ドル拡大するとし、量的緩和(QE)再開を表明すると、17日には2008年の金融危機時に導入したコマーシャルペーパー・ファンディング・ファシリティー(CPFF)を再び導入、18日にはマーケット・ミューチュアル・ファンド(MMF)から購入した資産を担保として差し出す銀行に最大1年間の貸し出しを行うと発表した。また各国中銀と通貨スワップ協定を結び、流動性供給を強化した。欧州中央銀行(ECB)は18日に7,500億ユーロの緊急買い入れプログラムを発表し、各国中銀も協調して緊急利下げや金融緩和を実施した。また米国では大型の景気対策が23日に議会を通過する見通しであり、各国で景気刺激策も検討されている。一方、中国では感染源となった湖北省での感染拡大が落ち着いたが、海外からの帰国者の感染が報告され、先行き懸念が残っている。米カリフォルニア州や米ニューヨーク州で外出禁止令が出され、欧米での新型コロナウイルスの終息は5月との見方が出ている。ペルーで16~30日の国家緊急事態が発令され、ニューモント・マイニングがヤナコチャ鉱山の操業を停止しており、供給に与える影響も確認したい。
ダウ平均株価は1万8,917.46ドルまで下落し、トランプ米大統領の就任以降の上げ幅をすべて失った。一方、米10年債利回りは1.26%と2月28日以来の高水準となった。9日に0.34%まで低下したが、債券市場でも現金化の動きが出ると、利回りが上昇した。ドル指数は2017年1月以来の高値102.99を付けた。米企業の資金調達でドル需要が高まったことが背景にある。恐怖心理指数であるVIXは85.47まで上昇し、最高値となったリーマンショック時の89.53に迫った。31を超えると、金や米国債の安全資産が他の銘柄とともに下落する傾向があるとされている。株価急落による金の換金売りが続いており、当面はどのタイミングで換金売りが一巡するかが焦点である。
3月20日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比23.41トン減の908.19トンとなった。株価急落による換金売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは28万1,916枚となり、前週の29万9,531枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万8,885枚、買い戻しが1,270枚入り、1万7,615枚買い越し幅を縮小した。

プラチナはリスク回避で2002年以来の安値

ニューヨーク・プラチナ期近4月限は株価急落を受けて下値を試し、一代安値562.0ドルを付けた。現物相場は2002年11月以来の安値569.80ドルを付けた。欧米での新型コロナウイルスの感染拡大で株価が急落したことに加え、欧米の自動車メーカーが工場を一時閉鎖し、自動車触媒需要の減少が見込まれていることが圧迫要因である。ただ各国中銀の流動性供給の強化や景気刺激策で企業に対する支援策も出ており、安値拾いの買いが入ると下支え要因になるとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、3月19日のロンドンで16.67トン(13日17.05トン)、ニューヨークで22.53トン(同22.53トン)、20日の南アで31.22トン(同31.07トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万7,647枚となり、前週の3万3,247枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。

ニューヨーク金は株価急落による換金売りで調整局面に

ニューヨーク金4月限は一代高値1,704.3ドルを付けたのち、価急落による換金売りを受けて急落し、昨年12月24日以来の安値1,504.0ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大を受けてトランプ米大統領が欧州からの渡航制限を発表すると、株価が一段安となり、金に換金売りが出た。ただ米連邦準備理事会(FRB)が15日に緊急利下げを発表しており、株価が下げ止まるようなら金が買い直される可能性が出てくる。

3月23日からの週の注目ポイント

23日 加卸売売上高(1月)
24日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月速報) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月速報) ☆☆
米新築住宅販売(2月) ☆☆☆
25日 独ifo景況感指数(3月) ☆☆
英消費者物価指数(2月) ☆☆
米耐久財受注(2月) ☆☆
26日 英中銀政策金利公表 ☆☆☆
米国内総生産(10-12月期確報値) ☆☆☆
27日 米個人所得・支出(2月) ☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(3月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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