金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金は押し目買いで戻り高値を試す動き
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米FOMCで追加策発表なら一段高の可能性
4月20日の週のニューヨーク金市場は、原油が納会を控えて暴落したことが圧迫要因になったが、米国で第4弾の新型コロナウイルス対策法案が可決したことや原油安一服を受けて押し目を買われた。期近6月限は6日以来の安値1,666.2ドルを付けたのち、1,764.2ドルまで戻した。各国中銀の量的緩和(QE)や経済対策が続く見通しであり、一代高値1,788.8ドルを試す可能性が出てきた。
米下院は23日、4,840億ドル規模の新型コロナウイルス対策法案を可決した。上院は21日に可決しており、トランプ米大統領が24日に署名し、成立した。新型コロナウイルス対策で第4弾となり、中小企業の給与支払いを支援する給与保証プログラムの増額に加え、ウイルス検査と医療機関への手当てが含まれている。これまでの対策の合計額は約3兆ドルと、国内総生産(GDP)比で14%、年間歳出の6割という巨額の臨時支出となる。ただ米国の労働市場の悪化は続いており、米議会で第5弾の対策が協議される見通しである。米新規失業保険申請件数は442万7,000件と前週から81万件減少したが、高水準を維持し、過去5週間の申請件数は約2,650万件となった。一方、米連邦準備理事会(FRB)のバランスシートは過去最高の6兆6,200億ドルに拡大した。無制限の量的緩和(QE)が背景にあり、3月第1週の4兆2,900億ドルから1.5倍となった。FRBは23日、中小企業向け融資を担保にした資金供給制度について、銀行以外に対象を広げるための新たなルールを「近く」発表すると明らかにした。ニューヨーク連銀が国債購入ペースを減速させたが、米FRBに資金の余力はあり、追加策が見込まれている。今週は28~29日に米連邦公開市場委員会(FOMC)がある。金ETF(上場投信)への投資資金流入が続くかどうかを確認したい。
米南部ジョージア州のロックダウン(都市封鎖)が24日、一部緩和され、店舗の営業が再開された。サウスカロライナ州知事も、経済活動を一部再開する方針を示している。またイタリアは5月4日からロックダウンを段階的に解除、南アはロックダウンを5月1日に緩和し、制限措置の段階を最も厳しいレベル5から4に引き下げるとした。インドのロックダウンは5月3日までとなっている。各国が来月からロックダウンを段階的に解除する見通しとなり、経済活動再開に対する期待感が出てきた。ムニューシン米財務長官は、米経済の大半が夏終盤までに再開するとの見通しを示している。金市場では中国やインドで大幅なディスカウント、米国でプレミアムが付いており、経済活動再開で現物が動き出した後の動きも確認したい。ニューヨーク市場では22日に指定倉庫在庫が約1カ月ぶりに減少した。航空便の減少や南アの鉱山会社の操業縮小で供給がひっ迫し、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が400オンスの地金でも受け渡し可能とし、在庫が急増していた。
4月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比26.62トン増の1,048.31トンとなった。米国で第4弾の新型コロナウイルス対策法案が可決されたことや原油安一服を受けて押し目を買われた。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万9,571枚となり、前週の25万2,501枚から縮小した。今回は手じまい売りが4,354枚、買い戻しが1,424枚入り、2,930枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは南アのロックダウン緩和後の動きなどを確認
ニューヨーク・プラチナ期近7月限は原油や金次第の値動きとなった。3日以来の安値716.8ドルを付けた後、814.3ドルまで戻した。各国のロックダウン(都市封鎖)で鉱山会社の操業縮小による供給ひっ迫と、自動車メーカーの工場閉鎖による需要減少で強弱材料が交錯している状況に変わりはない。ただ南アはロックダウンを5月1日に緩和し、制限措置の段階を最も厳しいレベル5から4に引き下げるとした。鉱山会社の操業再開の行方を確認したい。一方、欧州連合(EU)当局者は経済対策を巡り、具体的な財源で合意するのは今夏かそれ以降になる可能性があるとした。今週は欧州中央銀行(ECB)理事会があり、欧州の金融政策や経済対策の行方も確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、21日のロンドンで16.42トン(前週末16.29トン)、23日のニューヨークで22.95トン(同22.95トン)、24日の南アで23.98トン(同25.53トン)となった。強弱材料が交錯するなか、まちまちの動きとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、4月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万5,287枚となり、前週の1万7,796枚から縮小した。原油暴落で手じまい売りが出て買い戻しを上回った。
ニューヨーク金は原油暴落で調整も押し目は買われる
ニューヨーク金6月限は原油暴落を受けて6日以来の安値1,666.2ドルを付けたが、米国で第4弾の新型コロナウイルス対策法案が可決されたことや原油安一服を受けて押し目を買われた。先物市場で利食い売りが出たが、金ETF(上場投信)に押し目買いが入った。米議会で第5弾の対策法案が協議される見通しであり、債務拡大に対する懸念が出ている。14日に付けた一代高値1,788.8ドルを突破すれば1,800ドルの節目を試す可能性が出てくる。
4月27日からの週の注目ポイント
27日 | ニュージーランド、南ア休場 | ☆ |
日銀金融政策決定会合 | ☆☆☆ | |
28日 | 失業率(3月) | ☆☆ |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(2月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(4月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
29日 | 日本休場 | ☆ |
米国内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
米中古住宅販売仮契約指数(3月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表 | ☆☆☆ | |
30日 | 鉱工業生産指数(3月速報) | ☆☆ |
中国製造業購買担当者景況指数(4月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(1-3月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(4月速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(3月) | ☆☆ | |
欧州中央銀行(ECB)政策金利発表 | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米個人所得・支出(3月) | ☆☆ | |
米雇用コスト指数(1-3月期) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(4月) | ☆☆ | |
1日 | 中国、独、仏、スイス、南ア休場 | ☆ |
米ISM製造業景況指数(4月) | ☆☆☆ |
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