金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米中関係の行方を確認

2020/5/11
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米労働市場悪化でETFへの投資資金流入が続く

5月4日の週のニューヨーク金市場は、各国のロックダウン(都市封鎖)緩和や精錬所再開などが圧迫要因になったが、米国の労働市場の悪化に対する懸念が出ると、押し目を買われた。期近6月限は1,683.0ドルで押し目を買われ、1,735.5ドルまで上昇した。4月の米雇用統計は、非農業部門雇用者数が2,050万人減となり、1930年代の大恐慌以降で最大の落ち込みとなった。ただ事前予想の2,200万人減は上回った。失業率は14.7%と、第2次世界対戦後に記録した1982年11月の10.8%を上回り、戦後最悪となった。事前予想は16%。事前予想を上回ったことや経済活動再開で今後の労働市場は回復するとみられているが、景気後退は第3四半期も続くとみられており、先行きに対する慎重な見方が出ている。米民主党のペロシ下院議長は、第5弾となる新型コロナウイルス対策法案の概要を発表し、景気刺激策を拡大する見通しである。ただ米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長は、経済活動再開の行方を見極めるため、今月は新たな刺激策を検討しない考えを示しており、協議の行方を確認したい。一方、中国の劉鶴副首相と米国のライトハイザー通商代表部(USTR)代表およびムニューシン財務長官が8日に電話協議し、両国が今年初めに署名した第1段階の通商合意について話し合った。ロックダウン緩和で経済活動再開に対する期待感が出ている。ただトランプ米大統領は新型コロナウイルスの感染拡大で中国に対する報復措置を検討しており、米中関係の行方も焦点である。各国で中国政府の責任を追及し、損害賠償を求める動きが出ており、先行き懸念が強まると、金に逃避買いが入る可能性が出てくる。
 スイスや南アの精錬所が再開した。スイスはロックダウン(都市封鎖)を4月27日から3段階で正常化するとし、南アは5月1日にロックダウンを緩和した。現物が出てくるとの見通しから、ニューヨーク市場のプレミアムが解消しつつある。一方、インド政府は、ロックダウンを4日から2週間延長すると発表しており、同国の実需筋の買いは先送りになりそうだ。GFMSによると、第1四半期の金の現物需要は前年同期比26%減の753トンとなり、2009年以来の低水準となった。一方、投資需要は同687%増の300トンとなり、第1四半期は81トン(前年同期49トン供給過剰)の供給過剰となった。現物需要の落ち込みを投資需要が相殺した。
 5月8日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比13.75トン増の1,081.65トンとなった。米国の労働市場悪化に対する懸念を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月5日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万0,004枚となり、前週の26万2,729枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万1,811枚、新規売りが914枚出て1万2,725枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは経済活動再開で需要回復期待

ニューヨーク・プラチナ期近7月限はおおむね金次第の値動きとなるなか、レンジ内でもみ合いとなった。南アのロックダウン(都市封鎖)緩和で鉱山会社の操業が再開したが、インパラ・プラチナム(インプラッツ)は減産見通しを示しており、正常化には時間がかかるとみられている。またアングロ・アメリカン・プラチナム(アンプラッツ)は閉鎖していた精製工場の修理が完了したと発表しており、生産の行方を確認したい。一方、中国汽車工業協会(CAAM)は、4月の自動車販売が約2年ぶりに増加に転じた可能性が高いとの見方を示した。米国でもロックダウン緩和で自動車販売の回復が見込まれており、自動車触媒需要が回復すると、プラチナの支援要因になるとみられる。
 プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで15.80トン(前週末15.81トン)、8日のニューヨークで23.82トン(同23.54トン)、南アで22.56トン(同23.62トン)となった。強弱材料が交錯するなか、まちまちの動きとなった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、5月5日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万8,246枚となり、前週の1万7,334枚から拡大した。買い戻しが手じまい売りを上回った。

ニューヨーク金は値固めの動き

ニューヨーク金6月限は各国のロックダウン(都市封鎖)緩和や精錬所再開が圧迫要因になったが、米国の労働市場悪化に対する懸念が出ると、押し目を買われた。1,687.8~1,788.8ドルのレンジ相場となっており、テクニカル面ではどちらに放れるかが焦点である。先物市場で手じまい売りが出ているが、金ETF(上場投信)に投資資金が流入しており、先行き懸念から株安に振れると、一段高となる可能性が出てくる。

5月11日からの週の注目ポイント

11日 特になし  
12日 中国消費者物価指数(4月) ☆☆
中国生産者物価指数(4月) ☆☆
米消費者物価指数(4月) ☆☆☆
米財政収支(4月) ☆☆
13日 国際収支・経常収支(3月) ☆☆
NZ準備銀行政策金利公表 ☆☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(3月) ☆☆
米生産者物価指数(4月) ☆☆
14日 米新規失業保険申請件数 ☆☆
米輸出入物価指数(4月)
15日 中国小売売上高(4月) ☆☆
中国鉱工業生産(4月) ☆☆
ユーロ圏国内総生産(1-3月期改定) ☆☆☆
米小売売上高(4月) ☆☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(5月) ☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(4月) ☆☆
米企業在庫(3月)
米ミシガン大消費者信頼感指数(5月速報) ☆☆
対米証券投資(3月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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