金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金はドル安進行で上値を試す
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は新型コロナウイルスの感染拡大で米経済に対する見方を確認
7月20日の週のニューヨーク金市場はドル安を受けて堅調となり、期近8月限が一代高値1,904.6ドルを付けた。欧米の景気刺激策に対する期待感を受けてリスク選好の動きとなった。その後は、米国の労働市場の回復に対する懸念からドル安が進んだことが金の支援要因になった。欧州連合(EU)の7,500億ユーロの復興基金案は補助金部分が当初の5,000億ユーロから3,900億ユーロに引き下げることでまとまった。倹約4カ国が反対したことで協議が難航したが、EU大統領が引き下げを提案した。復興基金の稼働開始には欧州議会の承認と全加盟国の批准が必要になる。また米国では1兆ドル規模の追加経済対策が協議された。民主党幹部と協議したムニューシン米財務長官は対策について、今週末までの合意を目指すと述べた。一方、新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、米新規失業保険申請件数が約4カ月ぶりに増加に転じたことを受けて労働市場の回復が失速するとの懸念が出た。株高が一服し、リスク選好のドル安から米国売りのドル安に転じつつあり、今後の米経済に対する反応に注意が必要だ。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、景気見通しを確認したい。
欧米諸国と中国の対立が激化していることも金の支援要因である。米国は中国が香港に国家安全維持法を施行したことに対し、制裁を科すなか、英国も中国に対する強硬姿勢を明らかにした。中国が軍事的覇権を拡大していることもあり、英国は空母「クイーン・エリザベス」を極東に派遣する計画を進めている。また米国は中国がスパイ活動など悪意ある行動に従事しているとし、テキサス州ヒューストンにある中国総領事館の閉鎖を命じた。中国は報復措置として、四川省成都市にある米総領事館の閉鎖を通知した。一方、オーストラリアは、南シナ海の大部分を占める中国側の主張には「法的根拠がない」とした。中国は南シナ海の南沙諸島で人工島に基地を建設しており、ポンペオ米国務長官が中国の一部行動は「完全に不法」だと述べ、中立的な立場から東南アジア諸国への支持を示していた。世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続いていることも中国への圧力を高まる要因となっている。
新型コロナウイルスのワクチンは年末までに利用可能となる見通しとなった。独バイオ医薬のビオンテックと米製薬ファイザーは、開発中の新型コロナウイルスワクチンに関する臨床試験(治験)で得られた追加データを公表し、安全性や被験者の免疫反応が確認されたと明らかにした。また英オックスフォード大学が同国製薬大手アストラゼネカと共同で開発を進めている新型コロナウイルスのワクチン候補が、ヒトを対象とした初期の治験で有望な結果を出した。
7月24日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比21.92トン増の1,228.81トンとなった。リスク選好のドル安や、新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念を受けて投資資金が流入した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月21日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは26万6,436枚となり、前週の26万2,428枚から拡大した。今回は新規買いが4,032枚、新規売りが24枚出て4,008枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは金堅調やドル安で戻り高値を突破
ニューヨーク・プラチナ期近10月限は金堅調やドル安を受けて堅調となり、2月25日以来の高値974.9ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大による景気の先行き不透明感からレンジ相場が続いていたが、米国の労働市場の回復に対する懸念からドル安が進んだことを受けて戻り高値を更新した。実需筋は高値での買いを見送っているが、米連邦公開市場委員会(FOMC)で新たな措置が発表されると、ドル安を受けて引き続き上値を試す可能性もある。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、22日のロンドンで16.79トン(前週末16.64トン)、24日のニューヨークで30.51トン(同29.05トン)、23日の南アで19.28トン(同19.28トン)となった。テクニカル面で改善し、欧米で増加した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月21日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万0,412枚となり、前週の1万6,304枚から拡大した。新規買いが新規売りを上回った
ニューヨーク金はドル安で1,900ドル台に上昇
ニューヨーク金8月限はドル安を受けて堅調となり、一代高値1,904.6ドルを付けた。欧米の景気刺激策に対する期待感からリスク選好の動きとなったのち、米新規失業保険申請件数の増加で米国の労働市場の回復に対する懸念が出てドル安が進んだ。金ETF(上場投信)に投資資金が流入し、金価格を押し上げており、引き続き買われると、上値を試すことになりそうだ。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、景気見通しを確認したい。
7月27日からの週の注目ポイント
27日 | 独ifo景況感指数(7月) | ☆☆ |
米耐久財受注(6月) | ☆☆ | |
28日 | 米S&Pケース・シラー住宅価格指数(5月) | ☆☆ |
米消費者信頼感指数(7月) | ☆☆ | |
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 | ☆☆ | |
29日 | 米中古住宅販売仮契約指数(6月) | ☆☆ |
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利発表 | ☆☆☆ | |
30日 | 独国内総生産(4-6月期速報) | ☆☆☆ |
独消費者物価指数(7月速報) | ☆☆ | |
米国内総生産(4-6月期速報) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
31日 | 失業率(6月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(6月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(7月) | ☆☆ | |
ユーロ圏国内総生産(4-6月期速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(7月速報) | ☆☆☆ | |
米個人所得・支出(6月) | ☆☆ | |
米雇用コスト指数(4-6月期) | ☆☆☆ | |
シカゴ購買部協会景気指数(7月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(7月確報) | ☆☆ |
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
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