金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金はリスク選好で堅調
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金はドル安が続くと支援要因に
11月2日の週のニューヨーク金市場はリスク選好の動きを受けて堅調となり、期近12月限は9月21日以来の高値1,961.8ドルを付けた。米大統領選は民主党圧勝の見方が出ていたが、トランプ氏が激戦州のフロリダ州を制すると、接戦との見方に転じた。ただ米上院選で民主党が過半数を獲得できない見通しとなり、大きな政策変更はないとの見方から株価が急伸すると、リスク選好のドル安となって金が地合いを引き締めた。民主党が勝利すると、規制強化の動きが株安要因になるとみられていた。米大統領選は民主党のバイデン元副大統領が7日夜に勝利宣言を出した。ただトランプ氏は敗北を認めず、不正を理由に法廷闘争に持ち込むとしている。ただ市場ではバイデン氏の勝利を見込む向きが多く、リスク選好のドル安が続くと、金の支援要因になりそうだ。
米連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0~0.25%に据え置くことを決定した。新型コロナウイルスの感染拡大と米大統領選の結果を巡る先行き不透明感で経済が脅威にさらされるなか、景気回復の支援に向け、あらゆる手段を尽くすと改めて表明した。一方、イングランド銀行(英中央銀行)は金融政策委員会で量的緩和措置の資産購入プログラムを1,500億ポンド拡大して8,950億ポンドとすることを決定した。またスナク英財務相は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)を受け、2,000億ポンド規模の追加経済支援策を発表した。ジョンソン英首相はイングランドで11月5日から12月2日までロックダウン(都市封鎖)を再導入すると発表し、英議会が可決した。世界的に緩和的な金融政策や各国政府の景気刺激策が続くことは金の支援要因である。
11月6日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.63トン増の1,260.30トンとなった。リスク選好のドル安を受けて投資資金が戻った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月3日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは24万2,909枚となり、前週の24万8,634枚から縮小した。今回は手じまい売りが4,265枚、新規売りが1,460枚出て、5,725枚買い越し幅を縮小した。
プラチナはリスク選好や南ア・アンプラッツの生産減少見通しが支援
ニューヨーク・プラチナ1月限は、リスク選好の動きを受けて堅調となり、10月23日以来の高値917.0ドルを付けた。レンジ相場を継続し、テクニカル面で中立である。ただプラチナの独自材料で、南アの鉱山会社アングロ・アメリカン・プラチナム(アンプラッツ)が精製工場の閉鎖を理由に生産見通しを下方修正したことが伝えられた。欧州の新型コロナウイルスの感染再拡大で各国がロックダウン(都市封鎖)を再導入し、自動車販売の急減が見込まれていることが上値を抑える要因だが、アンプラッツの生産減少見通しが需要減少を相殺することになりそうだ。リスク選好の動きでプラチナETF(上場投信)に安値拾いの買いが入ると、レンジを上放れる可能性も出てくる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、5日のロンドンで18.83トン(前週末19.28トン)、6日のニューヨークで39.04トン(同38.63トン)、5日の南アで16.42トン(同17.35トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月3日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは9,763枚となり、前週の1万0,051枚から縮小した。手じまい売りが買い戻しを上回った。
ニューヨーク金はリスク選好で地合いを引き締める
ニューヨーク金12月限は米大統領選後のリスク選好の動きを受けて地合いを引き締め、9月21日以来の高値1,961.8ドルを付けた。米上院選で民主党が過半数を獲得できない見通しとなり、大きな政策変更はないとの見方から株価が急伸し、リスク選好のドル安となった。米大統領選では民主党のバイデン氏が勝利宣言を出したが、トランプ氏は法廷闘争に持ち込むとしている。テクニカル面では、戻り高値を突破し、強気に傾いた。金ETF(上場投信)に投資資金が戻っており、引き続き買われると、2,000ドルの節目を目指す可能性が出てくる。
11月9日からの週の注目ポイント
9日 | 独貿易収支(9月) | ☆ |
10日 | 国際収支・経常収支(9月) | ☆☆ |
中国消費者物価指数(10月) | ☆☆ | |
中国生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
英雇用統計(10月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(11月) | ☆☆ | |
11日 | フランス、米国、カナダ休場 | ☆ |
NZ準備銀行政策金利公表 | ☆☆☆ | |
12日 | 機械受注(9月) | ☆☆ |
英国内総生産(7-9月期速報値) | ☆☆☆ | |
英鉱工業生産指数(9月) | ☆☆ | |
独消費者物価指数(10月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏鉱工業生産(9月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(10月) | ☆☆ | |
13日 | ユーロ圏国内総生産(7-9月期改定) | ☆☆☆ |
米生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
米ミシガン大消費者信頼感指数(11月速報値) | ☆☆ |
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
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