金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米国債の利回り急伸で一段安

2021/3/1
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はリスク回避一服なら買い戻し主導で戻す

2月22日の週のニューヨーク金市場は米国債の利回り急伸を受けて一段安となり、中心限月となる4月限は昨年6月以来の安値1,714.9ドルを付けた。米国債の利回りは7年債の入札不調をきっかけに急伸し、10年債利回りは昨年1月以来となる1.614%を付けた。株価が急落し、リスク回避のドル高に転じた。米債券市場ではここ1週間で手じまい売りが進み、10年債利回りは19日の1.34%から急伸した。ただ25日のまとまった売りで投げが一巡したとみられており、利回り上昇が一服するようならリスク回避の動きも一服し、金は買い戻し主導で上昇することになる。しかし、米下院で27日、1兆9,000億ドル規模の追加経済対策が可決され、米上院に送付された。最低時給の引き上げを巡る審議が難航するとみられており、米民主党は3月中旬までの成立を目指している。巨額の財政支出に対する懸念から長期金利の上昇が続く見通しである。金ETF(上場投信)からの投資資金流出が続くと上値は抑えられるとみられる。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は議会証言で、現在の市場の動きについては景気回復への期待を反映していると指摘し、景気支援の継続が必要とした。また他の米金融当局者も利回り上昇に対応する必要はないとの見方を示した。米カンザスシティー地区連銀のジョージ総裁は、長期金利のこのところの上昇は景気回復に対する楽観的な見方が強まっていることを反映したもので、米FRBが対応する必要はないとの考えを示した。ただ市場では米10年債利回りが1.6%を超えると、新興国市場の脅威になるとみられている。一方、ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁は「ECBは長期債の動向を注意深く見ている」と述べ、長期金利上昇に対する警戒感を示した。ECBが近いうちに債券購入を強化する可能性があるとの見方も出ており、ECBの反応も確認したい。

JPモルガンは2020年をボトムに今後、コモディティ(商品)価格の長期的な上昇トレンドが始まった可能性があると指摘した。各国中銀の量的緩和に加え、各国政府の景気刺激策で大量の資金が投入されるなか、ワクチン接種の普及により、世界経済は正常化に向かうとみられている。英国は3月8日に学校の対面授業を再開したのち、ロックダウン(都市封鎖)措置を段階的に緩和し、早くて6月21日までに全ての規制を解除するという。ただ欧州諸国ではワクチン接種のペースの遅れや変異株による大規模感染のリスクを受け、制限措置の解除は遅れる見通しである。各国の経済指標でインフレが確認され、金がインフレ・ヘッジとして買われるかどうかも今後の焦点である。

2月26日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比34.10トン減の1,127.64トンとなった。米国債の利回り上昇などを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月23日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万5,733枚となり、前週の23万4,969枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万9,502枚、買い戻しが266入り、1万9,236枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは調整局面を継続

ニューヨーク・プラチナ4月限は米国債の利回り急伸やリスク回避の動きを受けて調整局面を継続し、2月8日以来の安値1,170.4ドルを付けた。ただ米債券市場での手じまい売りが一巡したとみられている。また米下院で1兆9,000億ドル規模の追加経済対策が可決され、景気回復期待が高まると、プラチナの安値は買い拾われるとみられる。英国で段階的にロックダウン(都市封鎖)措置が解除される見通しであり、リスク選好の動きが戻ると、プラチナの支援要因になる。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、25日のロンドンで19.11トン(前週末19.31トン)、ニューヨークで39.57トン(同40.01トン)、南アで16.37トン(同16.40トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月23日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万4,967枚買い越し(同3万6,577枚買い越し)に縮小した。

ニューヨーク金は米国債の利回り急伸で昨年6月以来の安値

ニューヨーク金4月限は米国債の利回り急伸を受けて一段安となり、昨年6月以来の安値1,714.9ドルを付けた。米10年債利回りが一時1.6%を超え、リスク回避の動きが出た。米債券市場での手じまい売りが一巡したことでリスク回避の動きが一服すると、金は買い戻し主導で値を戻すとみられる。しかし、巨額の財政支出から長期金利の上昇は続く見通しであり、金ETF(上場投信)から投資資金の流出が続くと、上値を抑える要因になるとみられる。一方、最近では景気回復期待からコモディティ(商品)の上昇が目立っており、インフレ懸念が高まるかどうかも焦点である。テクニカル面では1,700ドルの節目が次の支持線になる。

3月1日からの週の注目ポイント

1日 中国財新製造業購買担当者景況指数(2月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(2月確報) ☆☆
独消費者物価指数(2月速報) ☆☆
米ISM製造業景況指数(2月) ☆☆☆
2日 失業率(1月) ☆☆
豪準備銀行政策金利発表 ☆☆☆
独雇用統計(2月) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(2月速報) ☆☆☆
3日 中国財新サービス業購買担当者景況指数(2月) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(2月確報) ☆☆
全米雇用報告(2月) ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(2月) ☆☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
4日 ユーロ圏小売売上高(1月) ☆☆
ユーロ圏雇用統計(1月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米製造業新規受注(1月) ☆☆
5日 独製造業受注(1月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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