金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米FOMCで利回り上昇に対応するかどうかが焦点

2021/3/15
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米国債の利回り上昇が圧迫要因

3月8日の週のニューヨーク金市場は米国債の利回り上昇に対する懸念が圧迫要因になった。中心限月となる4月限は昨年4月以来の安値1,673.3ドルを付けたのち、米国債の利回り上昇が一服したことを受けて下げ一服となった。ただ中長期の利回り上昇に対する見方が強く、ドル高が再開すると、3日以来の高値1,738.0ドルで上げ一服となった。欧州中央銀行(ECB)理事会で債券買い入れ拡大が決定され、利回り上昇に歯止めをかける方針が示された。今週は米連邦公開市場委員会(FOMC)があり、利回り上昇に対する対策が示されるかどうかが焦点である。

最近の米国債の利回り上昇に対して行き過ぎとの見方が出るなか、米10年債や30年債の入札でそれなりの需要が示されたことから買い戻されて利回り上昇が一服した。2月の米消費者物価指数(CPI)でコア指数が前月比0.1%上昇と事前予想の0.2%上昇を下回ったことも利回り上昇を抑える要因になった。ただバイデン米大統領が11日、1兆9,000億ドル規模の新型コロナウイルスの追加経済対策法案に署名し、同法が成立すると、景気回復期待から米国債の利回りが再び上昇し、10年債利回りは1.64%と昨年2月以来の高水準となった。欧州中央銀行(ECB)が利回り上昇に歯止めをかける方針を示したが、利回り低下は一時的となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長はこれまで利回り上昇は期待の反映とし、容認する姿勢を示しており、16~17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で対応するかどうかが焦点である。またドットチャートで金利予想も確認したい。

世界経済の回復見通しや昨年からのコモディティ価格の上昇を受けてインフレ見通しが高まっている。しかし、米資産運用会社ブラックロックが金は株など他の資産の動きやインフレに対するヘッジとして効果が薄れている、としたことが伝えられた。また景気回復のペースが加速した場合に逆風に直面するとした。同社は第4四半期に金ETF(上場投信)の一部を売却し、銀ETFに乗り換えており、今回の見方からインフレが加速する兆しが見られても同社は買いを見送ることになりそうだ。金ETFからの投資資金流出が続くと、金の圧迫要因になるとみられる。

3月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比17.19トン減の1,052.07トンとなった。米国債の利回り上昇が一服したが、中長期の上昇見通しに変わりはなく、投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月9日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは17万5,163枚となり、前週の18万9,638枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万0,694枚、新規売りが3,781枚出て、1万4,475枚買い越し幅を縮小した。

プラチナはドル高一服や株高が支援

ニューヨーク・プラチナ4月限はドル高一服や株高を受けて堅調となり、2月26日以来の高値1,234.3ドルを付けた。米国で追加経済対策法が成立し、景気回復期待からリスク選好の動きとなったことが支援要因である。ただ米国債の利回り上昇に対する懸念が残っており、ドル高が再開すると、プラチナの上値を抑える要因になるとみられる。また欧州諸国のロックダウン(都市封鎖)が続き、実需筋は高値での買いを見送るとみられ、当面は値固めの動きになりそうだ。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで18.82トン(前週末18.84トン)、12日のニューヨークで39.99トン(同39.55トン)、11日の南アで16.36トン(同16.37トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万8,037枚買い越し(同3万0,533枚買い越し)に縮小した。

ニューヨーク金は安値修正局面

ニューヨーク金4月限は昨年4月以来の安値1,683.0ドルを付けたのち、米国債の利回り上昇一服やドル安を受けて下げ一服となった。ただ米国債の利回り上昇に対する懸念は残り、3日以来の高値1,738.0ドルで上値を抑えられた。米国債の入札後に利回り上昇が一服したが、一時的となり、12日のニューヨーク市場で米10年債利回りは1.64%と昨年2月以来の高水準となった。金は安値修正局面を迎えたが、ETF(上場投信)からの投資資金流出が続いており、今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で対策が採られなければ利回り上昇に対する懸念から戻りは売られる可能性が出てくる。

3月15日からの週の注目ポイント

15日 機械受注(1月) ☆☆
中国小売売上高(2月) ☆☆
中国鉱工業生産(2月) ☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(3月) ☆☆
対米証券投資(1月) ☆☆
16日 独ZEW景況感指数(3月) ☆☆
米小売売上高(2月) ☆☆☆
米輸出入物価指数(2月)
米鉱工業生産・設備稼働率(2月) ☆☆
米企業在庫(1月)
米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目 ☆☆☆
17日 貿易収支(2月速報) ☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(2月確報) ☆☆☆
米住宅着工・許可件数(2月) ☆☆
米連邦公開市場委員会(FOMC)政策金利 ☆☆☆
18日 日銀金融政策決定会合1日目 ☆☆
ユーロ圏貿易収支(1月)
英中銀政策金利発表 ☆☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

金・銀・プラチナ取引

SBI証券の金・銀・プラチナ取引の魅力

総合口座をお持ちでないお客さまはこちら

総合口座を開設する(無料)

金・銀・プラチナ取引をはじめるには

金・銀・プラチナ取引には、専用口座の開設が必要です。最短でお申し込み完了と同時に口座開設が完了し、即日で取引可能となります。
(PCからの開設を推奨しております)

金・銀・プラチナ取引関連ページ

当コラムに関してご留意頂きたい事項

  • ・当コラムは投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客さまご自身の判断でなさるようお願いいたします。
  • ・当資料に示す意見等は、特に断りのない限り当資料作成日現在の(株)ミンカブ・ジ・インフォノイドの見解です。当資料に示されたコメント等は、当資料作成日現在の見解であり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
    ・本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
  • もっと見る 閉じる

ご注意事項

  • ・買付時の手数料は、売買代金の2.2%(税込)、売却時の手数料は無料です。
  • ・本取引は金・銀・プラチナの価格変動により、投資元本を割り込むことがあります。
    ・本取引は、政治・経済情勢の変化および各国政府の貴金属地金取引への規制等による影響を受けるリスクがあります。
    また、かかるリスクが顕在化した場合、当社の提供するサービスの全部、または一部が変更、停止されるリスクがあります。
    ・本取引は為替相場の変動により損失を被ることがあります。
    ・本取引は、システム機器、通信機器等の故障等、不測の事態による取引の制限が生じるリスクがあります。
    ・本取引は売値(Bid:お客さまが売ることの出来る値段)と買値(Ask:お客さまの買うことのできる値段)の差(スプレッド)があります。
    ・スプレッドは固定されるものではなく、需給バランスや、政治・経済情勢の変化にともない、当社の任意で変更いたします。
  • もっと見る 閉じる
page top