金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は雇用改善で調整局面も押し目は買われる

2021/6/7
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米CPIを確認

5月31日の週のニューヨーク金市場は、好調な全米雇用報告を受けて調整局面を迎えた。中心限月となる8月限は5月19日以来の安値1,855.6ドルを付けたのち、押し目を買われた。5月の全米雇用報告で民間部門雇用者数は97万8,000人増と2020年6月以来の大幅な伸びとなり、事前予想の65万人増を上回った。一方、米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比55万9,000人増と底堅い伸びを示したが、事前予想の65万人増に届かなかった。失業率は6.1%から5.8%に改善した。米10年債利回りは好調な全米雇用報告を受けて1.623%に上昇したのち、予想以下の米雇用統計を受けて上昇が一服した。長期金利の落ち着きからドル安が続くと、金は再び1,900ドル台を試すとみられる。今週は10日に米消費者物価指数(CPI)の発表があり、インフレに対する見方を確認したい。

米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事は、米国はFRBが掲げる完全雇用と2%の物価目標に向けて進展しているが、依然として根深い問題があり、米FRBは早まって金融引き締めを開始すべきではないとの見方を示した。量的緩和の縮小(テーパリング)の協議を開始すべきとの見方も出ているが、予想以下の米雇用統計を受けて慎重な見方が優勢である。5月の米ISM非製造業総合指数(NMI)は64.0と前月の62.7から上昇し、過去最高を記録した。また米ISM製造業景気指数は61.2と前月の60.7から上昇した。新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことを受けて経済活動が再開し、需要が増加した。ただ企業は原材料と労働力の不足によるコスト増加に直面している。

今週は10日の欧州中央銀行(ECB)理事会も焦点である。ラガルドECB総裁は、ECBは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による景気二番底からの回復を「十分」支援すると述べた。一方、クノット・オランダ中銀総裁は欧州を含め世界経済が新型コロナウイルス禍による落ち込みから予想以上に早く回復しているという見方を示した。ユーロ圏経済の改善を受けてECB理事会でパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)による債券購入ペースの減速を検討するとの見方が出ている。

6月4日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.05トン減の1,043.16トンとなった。1,900ドル台で利食い売りが出たが、調整局面の安値は買い拾われた。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月1日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは21万3,701枚となり、前週の21万4,642枚から縮小した。今回は新規買いが560枚、新規売りが1,501枚出て、941枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは約3カ月ぶりの安値

ニューヨーク・プラチナ7月限はドル高や金急落を受けて3月9日以来の安値1,142.0ドルを付けた。レンジ内の動きであるが、南アジアでの新型コロナウイルスの感染拡大で先行き懸念が残るなか、南アのプラチナETF(上場投信)からの投資資金流出が目立った。南アのプラチナETF残高は5月10日の16.90トンから16.02トンまで減少した。ただ欧米の経済指標で改善が示されており、安値拾いの買いが入るようならレンジ内で地合いを引き締めるとみられる。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、3日のロンドンで19.39トン(前週末19.37トン)、ニューヨークで39.35トン(同39.37トン)、南アで16.02トン(同16.05トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、6月1日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万4,045枚(前週2万2,987枚)に拡大した。

ニューヨーク金は調整局面

ニューヨーク金8月限は好調な全米雇用報告を受けて調整局面を迎え、5月19日以来の安値1,855.6ドルを付けた。労働市場の改善を受けて米国債の利回りが上昇した。ただ米雇用統計が事前予想を下回り、米連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めの見方が後退し、金の押し目は買われた。今週は米消費者物価指数(CPI)の発表があり、インフレに対する見方が焦点である。

6月7日からの週の注目ポイント

7日 ニュージーランド休場
中国貿易収支(5月) ☆☆
独製造業受注(4月) ☆☆
米消費者信用残高(4月)
8日 国内総生産(年1-3月期2次速報) ☆☆☆
国際収支・経常収支(4月) ☆☆
独鉱工業生産指数(4月) ☆☆
独ZEW景況感指数(6月) ☆☆
ユーロ圏域内総生産(1-3月期確報) ☆☆☆
米貿易収支(4月) ☆☆
9日 中国消費者物価指数(5月) ☆☆
中国生産者物価指数(5月) ☆☆
独貿易収支(4月)
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
米卸売在庫(4月)
10日 欧州中央銀行(ECB)政策金利発表 ☆☆☆
米消費者物価指数(5月) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数  ☆☆
米財政収支(5月) ☆☆
11日 英貿易収支(4月)
英鉱工業生産指数(4月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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