金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は下げ一服も1,800ドル前後でのもみ合いに

2021/7/12
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は新型コロナウイルスの感染再拡大で景気見通しを確認

7月5日の週のニューヨーク金市場は、米雇用統計で雇用不足に対する懸念が残り、買い戻し主導で堅調に推移すると、6月17日以来の高値1,819.5ドルを付けた。ただ景気回復の鈍化に対する懸念からリスク回避のドル高となったことに上値を抑えられた。6月の米ISM非製造業総合指数(NMI)は60.1と2月以来の水準に鈍化し、事前予想の63.5を下回った。また米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、金融政策担当者が米景気回復の「さらなる著しい進展」について、進展は継続する見通しではあるものの、おおむね「まだ達成されていない」との認識を示した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が年内に量的緩和の縮小(テーパリング)を開始するとみられているが、ハト派の内容と受け止められた。新型コロナウイルスの感染再拡大に対する懸念もあり、リスク回避の株安・ドル高となると、金は利食い売りが出て上げ一服となった。今週は米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高などの発表があり、インフレや景気見通しを確認したい。

欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は、ユーロ圏経済は新型コロナウイルス危機を受けた不況から回復し始めているが、その動きはなお脆弱との認識を示した。6月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)改定値は59.5と前月の57.1から上昇し、2006年6月以来の高水準となった。新型コロナウイルス規制がさらに緩和され、サービス業が上向いた。ECBは8日、1年半にわたる戦略見直しの結果、中期的なインフレ率目標を2%に変更した。これまでの「2%に近いが、それを下回る水準」を改め、物価の一時的な上振れを容認する方針を示した。刺激策の長期化につながるとみられている。またECB理事会の議事録によると、政策当局者は、経済回復が加速する中で金融緩和策を縮小することを協議したが、最終的には緩和的な政策を維持することで「大筋で合意」した。

中国人民銀行は9日、銀行の預金準備率を50ベーシスポイント(bp)引き下げると発表した。6月の財新総合購買担当者指数(PMI)は50.6と前月の53.8から低下し、14カ月ぶりの低水準となった。南部での新型コロナウイルスの感染再拡大が影響し、サービス部門が大幅に低下した。低下は一時的との見方もあり、今後発表される経済指標で景気見通しを確認したい。上海金はプレミアムで推移し、実需筋の買いが続いている。各国中銀の緩和的な金融政策を受けてリスク選好の動きが戻るかどうかも当面の焦点である。

ドイツ政府は9日、スペイン全土を正式に新型コロナウイルスの危険地域に指定した。スペインからの観光客や帰国者は隔離を回避するためにコロナ検査の陰性証明の提示が義務付けられる。一方、ジョンソン英首相は、イングランドでのマスク着用義務などの一連の新型コロナウイルス制限措置を19日にほぼ撤廃する計画を発表した。英首相は「法的な制限から脱却し、人々が十分な情報に基づき、ウイルスの対応策を自身で決定できるようにする」と述べた。ただジャビド英保健相は、国内の感染者が現在の水準から大幅に増加すると発言し、感染拡大に対する懸念は残っている。

7月9日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比2.39トン減の1,040.19トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しなどを背景に投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月6日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは18万2,821枚となり、前週の16万2,226枚から拡大した。今回は新規買いが1万6,339枚、買い戻しが4,256枚入り、2万0,595枚買い越し幅を拡大した。

プラチナはリスク回避でレンジ相場を継続

ニューヨーク・プラチナ10月限は6月17日以来の高値1,118.0ドルを付けたのち、リスク回避の株安・ドル高を受けて上げ一服となった。ただ中国人民銀行の預金準備率引き下げを受けて株安が一服すると、地合いを引き締めた。中長期の景気回復見通しに変わりはないが、新型コロナウイルスの感染再拡大に対する懸念が残り、上値を抑える要因である。当面は経済指標を確認しながら方向性を模索する動きが続くことになりそうだ。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、8日のロンドンで19.54トン(前週末19.62トン)、ニューヨークで39.62トン(同39.91トン)、南アで15.98トン(同15.93トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、7月6日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは1万3,576枚となり、前週の1万4,744枚から縮小した。

ニューヨーク金は売られ過ぎ感から堅調もドル高が圧迫

ニューヨーク金8月限は、米雇用統計で雇用不足に対する懸念が残り、買い戻し主導で堅調に推移すると、6月17日以来の高値1,819.5ドルを付けた。ただ景気回復の鈍化に対する懸念からリスク回避のドル高となったことに上値を抑えられた。1,800ドル台を回復したが、中長期の節目となる200日移動平均線(9日1,838.2ドル)が抵抗線である。また米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しを背景に金ETF(上場投信)から投資資金が流出していることも上値を抑える要因である。今後発表される米経済指標が好調な内容になると、景気回復見通しから金の戻りは売られる可能性が出てくる。

7月12日からの週の注目ポイント

12日 機械受注(5月) ☆☆
中国貿易収支(6月) ☆☆
独消費者物価指数(6月確報) ☆☆
米消費者物価指数(6月) ☆☆☆
米財政収支(6月) ☆☆
14日 NZ準備銀行政策金利公表 ☆☆☆
英消費者物価指数(6月) ☆☆
ユーロ圏鉱工業生産(5月) ☆☆
米生産者物価指数(6月) ☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
15日 日銀金融政策決定会合(1日目) ☆☆
中国国内総生産(4-6月期) ☆☆☆
中国小売売上高(6月) ☆☆
中国鉱工業生産(6月) ☆☆
英雇用統計(6月) ☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
米輸出入物価指数(6月)
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(7月) ☆☆
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(7月) ☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(6月) ☆☆
16日 日銀金融政策決定会合、政策金利発表 ☆☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(6月確報) ☆☆☆
米小売売上高(6月) ☆☆☆
米企業在庫(5月)
米ミシガン大消費者信頼感指数(7月速報値) ☆☆
対米証券投資(5月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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