金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金はドル高一服で下げ一服に

2021/8/16
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米FRBのテーパリング見通しが圧迫要因

8月9日の週のニューヨーク金市場は、中心限月となる12月限が昨年4月以来の安値1,675.9ドルを付けたのち、ドル高一服を受けて急反発した。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しが圧迫要因になったが、米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化を受けてドル高が一服すると、米ミシガン大消費者信頼感指数の悪化をきっかけにドル安に転じ、金の支援要因になった。7月の米CPIは前月比0.5%上昇と前月の0.9%上昇から鈍化し、インフレはピークを迎えたとの見方が強まった。事前予想は0.5%上昇。前年同月比は5.4%上昇と13年ぶりの高水準にとどまった。一方、8月の米ミシガン大消費者信頼感指数速報値は70.2と約10年ぶりの低水準となった。7月の確報値である81.2から大幅に低下し、ここ50年で3番目に大きな落ち込みとなった。事前予想は横ばいの81.2だった。新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けて消費者心理が悪化した。米アトランタ地区連銀のボスティック総裁があと1~2カ月間、雇用の力強い伸びが続けば、米連邦準備理事会(FRB)は量的緩和の縮小(テーパリング)を開始できるという見方を示すなど、タカ派意見が多いが、感染拡大で景気の先行き懸念も出ている。今週は17日に7月の米小売売上高などの発表がある。

米上院は気候変動などに対応する3兆5,000億ドル規模の予算決議を50対49の賛成多数で可決した。民主党が結束して賛成票を投じた一方、共和党は反対した。ただ米上院のジョー・マンチン議員(民主党)は、3兆5,000億ドル規模の歳出計画について「深刻な懸念がある」とし、バイデン米大統領の最優先事項を進める上で障害になる可能性があるとの見方を示した。米上院では超党派による1兆ドル規模のインフラ投資法案を賛成69、反対30の賛成多数で可決している。一方、米下院では民主党穏健派9議員が1兆ドル規模のインフラ投資法案が成立するまで、3兆5,000億ドル規模の予算決議を支持しない意向を表明した。米下院では23日に予算決議を巡る審議が開始される予定となっている。

中国は新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)を再導入し、全市民を対象としたPCR検査を実施している。7月10日に南京国際空港に到着したロシアからの旅客機で7人の陽性者が確認されると、各地に飛び火し、20都市で200人以上に感染が広がった。感染者数は少ないが、中国は「ゼロ感染」を目指し、徹底した管理を行っている。ただワクチンでウイルスを完全に制御できないことから、コロナとの共存を準備すべきとの意見も出ている。中国の感染拡大の行方と景気見通しも確認したい。
8月13日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.50トン減の1,021.79トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月10日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは16万8,406枚となり、前週の19万6,335枚から縮小した。今回は新規売りが3万2,046枚、新規買いが4,117枚入り、2万7,929枚買い越し幅を縮小した。

プラチナはドル高一服などで買い戻される

ニューヨーク・プラチナ10月限は昨年11月以来の安値954.0ドルを付けたのち、ドル高一服などを背景に買い戻されて下げ一服となった。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しによるドル高や金急落が圧迫要因になったが、ニューヨークの指定倉庫在庫の減少で実需筋の買い戻しが入って1,000ドル台を回復した。ただ新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大で景気の先行き懸念が上値を抑える要因であり、戻り売り圧力が強まると、新たなレンジを形成し、方向性を模索することになりそうだ。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、12日のロンドンで19.51トン(前週末19.62トン)、ニューヨークで39.45トン(同39.45トン)、11日の南アで15.77トン(同15.95トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月10日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは5,819枚となり、前週の8,804枚から縮小した。新規売りが目立ち、2019年6月以来の低水準となった。

ニューヨーク金は売られ過ぎ感から急反発

ニューヨーク金12月限は、昨年4月以来の安値1,677.9ドルを付けたのち、売られ過ぎ感から買い戻しなどが入って急反発した。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しが圧迫要因になったが、米消費者物価指数(CPI)の伸び鈍化や米ミシガン大消費者信頼感指数の悪化を受けてドル高が一服し、下支えになった。今週は7月の米小売売上高などの発表がある。米経済の回復見通しに変わりがなければ戻りを売られる可能性がある。

8月16日からの週の注目ポイント

16日 国内総生産(4-6月期1次速報) ☆☆☆
中国小売売上高(7月) ☆☆
中国鉱工業生産(7月) ☆☆
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(8月) ☆☆
対米証券投資(6月) ☆☆
17日 英雇用統計(7月) ☆☆
ユーロ圏域内総生産(4-6月期改定) ☆☆☆
米小売売上高(7月) ☆☆☆
米鉱工業生産・設備稼働率(7月) ☆☆
米企業在庫(6月)
18日 NZ準備銀行政策金利公表 ☆☆☆
機械受注(6月) ☆☆
貿易収支(7月速報) ☆☆
英消費者物価指数(7月) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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