金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米FRB議長の講演を確認

2021/8/23
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金はリスク回避のドル高が圧迫要因

8月16日の週のニューヨーク金市場は、中心限月となる12月限が6日以来の高値1,797.6ドルを付けたのち、ドル高を受けて上げ一服となった。売られ過ぎ感から買い戻し主導で上昇したが、米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しや、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大に対する懸念を背景としたドル高に上値を抑えられた。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録で、金融政策当局者がテーパリングに着手する雇用面での条件は現時点では達成されていないものの、「年内に達成される可能性がある」との見方を示していたことが明らかになった。発表直後はドル安となったが、年内のテーパリング見通しを受けてドル高に転じた。パウエル米FRB議長は27日にジャクソンホールの年次経済シンポジウムで経済見通しについて講演する。テーパリングの具体的な内容が示されるとみられている。ただデルタ株の感染拡大の経済に対する影響について依然として不明との見方を示しており、どのような見通しが示されるかを確認したい。米ダラス地区連銀のカプラン総裁はデルタ株が経済に与える影響を注視しており、経済成長が大幅に鈍化するようであれば、金融政策に関する自身の見解を「多少」調整することもあり得るとの見方を示した。

米政府は感染力の強い新型コロナウイルスのデルタ株のまん延を受け、9月20日からファイザー・モデルナ製ワクチンの追加接種(ブースター接種)を開始すると発表した。欧州各国もブースター接種を検討している。欧米でワクチン接種が進み、集団免疫を獲得し、感染拡大が収束するとの見方が出ていたが、デルタ株の感染拡大が続き、見通しが悪化している。

7月の中国の小売売上高や鉱工業生産が鈍化したことや、アフガン情勢に対する懸念もリスク回避の動きを促す要因となった。小売売上高は前年比8.5%増と前月の12.1%増や事前予想の11.5%増を下回った。鉱工業生産も同6.4%増と前月の8.3%増から伸びが鈍化した。輸出の減速に加え、新型コロナウイルスの感染拡大や洪水で景気の下振れ圧力が強まりつつある。一方、オーストラリアやニュージーランドは感染拡大を受けてロックダウン(都市封鎖)を延長した。オーストラリアは州都シドニーのロックダウンを9月末、ニュージーランドは全土のロックダウンを今月24日まで延長した。またトヨタは半導体不足に加え、東南アジアでの感染拡大で部品調達に支障が出ていることから、9月の世界生産を4割減らすとした。

8月20日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比10.18トン減の1,011.61トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万1,542枚となり、前週の16万8,406枚から拡大した。今回は新規買いが7,177枚、買い戻しが1万5,959枚入り、2万3,136枚買い越し幅を拡大した。

プラチナはリスク回避で戻りを売られる

ニューヨーク・プラチナ10月限は4日以来の高値1,029.2ドルを付けたのち、リスク回避の動きを受けて戻りを売られた。米連邦準備理事会(FRB)の量的緩和の縮小(テーパリング)見通しや、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大を受けてリスク回避の動きとなった。一方、ニューヨークの指定倉庫在庫の減少で実需筋の買い戻しが続いており、1,000ドル割れの下値は限られた。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、19日のロンドンで19.55トン(前週末19.50トン)、ニューヨークで39.16トン(同39.45トン)、南アで14.89トン(同14.96トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは8,358枚となり、前週の5,819枚から拡大した。

ニューヨーク金は安値修正局面が一服

ニューヨーク金12月限は、6日以来の高値1,797.6ドルを付けたのち、ドル高を受けて上げ一服となった。堅調な米雇用統計を受けて急落したのち、売られ過ぎ感から買い戻しなどが入って安値修正局面を迎えたが、買い戻しが一巡すると、上げ一服となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では現時点で量的緩和の縮小(テーパリング)に着手する条件が達成されていないとされたが、年内に達成する可能性が示された。今週は27日のジャクソンフォールのシンポジウムでパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演があり、テーパリングの具体的な見通しが示されるかどうかが焦点である。

8月23日からの週の注目ポイント

23日 ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(8月速報) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(8月速報) ☆☆
米中古住宅販売統計(7月) ☆☆
24日 独国内総生産(4-6月期確報) ☆☆☆
米新築住宅販売(7月) ☆☆☆
25日 独ifo景況感指数(8月) ☆☆
米耐久財受注(7月) ☆☆
26日 米国内総生産(4-6月期改定値) ☆☆☆
米新規失業保険申請件数 ☆☆
27日 米個人所得・支出(7月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(8月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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