金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金は米インフレ鈍化によるドル安が支援
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米利上げペース減速も4%まで引き上げの見方で投資資金流出
8月8日の週のニューヨーク金市場は、米消費者物価指数(CPI)などでインフレ鈍化が示され、ドル安に振れたことを受けて堅調となった。中心限月となる12月限は7月5日以来の高値1,824.60ドルを付けた。7月の米CPIは前年同月比8.5%上昇と、約40年ぶりの伸びとなった前月の9.1%から鈍化した。ガソリン価格が約20%下落したことが背景にある。事前予想は8.7%上昇だった。また米生産者物価指数(PPI)は前月比0.5%低下した。低下は2020年4月以降で初めて。前月は1.0%上昇していた。一方、8月の米ミシガン大消費者信頼感指数(速報値)は55.1と7月の51.1から上昇し、事前予想の52.5を上回った。6月には過去最低の50を付けていた。また1年先のインフレ期待は5.2%から5.0%に低下し、6カ月ぶりの低水準を記録した。CMEのフェドウォッチによると、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)利上げの確率が55.0%、75bp利上げは45.0%となった。
ただ米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース減速も最終地点に変わりはない。米シカゴ地区連銀のエバンス総裁は、インフレ率はなお「受け入れがたいほど」高水準とし、米FRBには引き続き利上げが必要で、政策金利を年末までに3.25~3.50%、来年末までに3.75~4.00%に引き上げる可能性があるとした。米ミネアポリス地区連銀のカシュカリ総裁は、米FRBがインフレに対応するために政策金利を年末までに3.9%、2023年末までに4.4%に引き上げる必要があると引き続き確信していると述べた。今後発表される経済指標と景気見通しを確認したい。今週は17日に7月の米小売売上高などの発表がある。
中国人民解放軍は8日、台湾周辺の空域と海域で新たに軍事演習を行うと発表した。ペロシ米下院議長の台湾訪問への対抗措置の軍事演習が継続され、米中間の緊張感が引き続き残った。台湾のジョセフ・ウー外交部長(外相)は9日、中国が米下院議長の訪問に抗議して開始した軍事演習について、台湾侵攻を準備する作戦の一環だと非難した。ただ中国人民解放軍の東部戦区司令部は10日、約1週間に及んだ軍事演習で台湾周辺でのさまざまな任務を「成功裏に完了した」と発表した。一方、マーキー米上院議員(民主党)率いる米議員団が14日に台湾に到着し、2日間の日程で滞在する。今後の中国の動向と米中間の緊張感が高まるかどうかを引き続き確認したい。
8月12日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比3.19トン減の995.97トンとなった。米消費者物価指数(CPI)でインフレ鈍化が示されたが、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しに変わりはなく、戻り場面で投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月9日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは14万2,851枚となり、前週の12万4,326枚から拡大した。今回は新規買いが778枚、買い戻しが1万7,747枚入り、1万8,525枚買い越し幅を拡大した。
NYプラチナはドル安で大口投機家が買い方に転じる
ニューヨーク・プラチナ10月限は、ドル安や金堅調を受けて買い戻され、6月13日以来の高値974.6ドルを付けた。米消費者物価指数(CPI)などでインフレ鈍化が示され、ドル安に振れた。米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース減速の見方を受けて株高に振れたことも支援要因である。ただ米金融当局者は政策金利を4%まで引き上げるとしており、今後発表される経済指標と景気見通しを確認したい。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで14.37トン(前週末14.41トン)、ニューヨークで34.74トン(同35.03トン)、南アで10.49トン(同10.49トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、8月9日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の取組は846枚買い越しとなり、前週の2,541枚売り越しから買い方に転じた。買い戻しが手じまい売りを上回った。
ニューヨーク金は米インフレ鈍化によるドル安で買い戻される
ニューヨーク金12月限は、米消費者物価指数(CPI)などでインフレ鈍化が示され、ドル安に振れたことを受けて堅調となり、7月5日以来の高値1,824.6ドルを付けた。9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で50ベーシスポイント(bp)利上げの見方が強まった。ただ米金融当局者は政策金利を4%まで引き上げるとしており、今後発表される経済指標と景気見通しを確認したい。今週は7月の米小売売上高などの発表がある。
8月15日からの週の注目ポイント
15日 | フランス休場 | ☆ |
国内総生産(4-6月期1次速報) | ☆☆☆ | |
中国小売売上高(7月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(7月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(8月) | ☆☆ | |
対米証券投資(6月) | ☆☆ | |
16日 | 英雇用統計(7月) | ☆☆ |
ユーロ圏貿易収支(6月) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(8月) | ☆☆ | |
米住宅着工・許可件数(7月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(7月) | ☆☆ | |
17日 | 機械受注(6月) | ☆☆ |
貿易収支(7月速報) | ☆☆ | |
NZ準備銀行政策金利発表 | ☆☆☆ | |
英消費者物価指数(7月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(4-6月期改定) | ☆☆☆ | |
米小売売上高(7月) | ☆☆☆ | |
米企業在庫(6月) | ☆ | |
米FOMC議事録公表 | ☆☆☆ | |
18日 | ユーロ圏消費者物価指数(7月確報) | ☆☆☆ |
米フィラデルフィア連銀製造業景況指数(8月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米中古住宅販売統計(7月) | ☆☆ | |
19日 | 消費者物価指数(7月) | ☆☆☆ |
独生産者物価指数(7月) | ☆☆ | |
英小売売上高(7月) | ☆☆ | |
ユーロ圏国際収支(6月) | ☆☆ |
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