金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金は米利下げ見通しで最高値更新が続く
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計などを確認
3月25日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて米国債の利回りが低下したことを受けて押し目を買われ、中心限月ベースで史上最高値2,256.9ドルを付けた。CMEのフェドウォッチで、6月の米FOMCの利下げ確率は55.2%(前週66.7%)に低下したが、利下げ見通しに変わりはない。年末までの利下げ幅は75ベーシスポイント(bp)の確率が34.9%(同33.8%)となった。ウォラー米FRB理事は最近の経済データでは年内に予想される利下げを遅らせるか、利下げの回数を減らすことが裏付けられると強調し、金利引き下げを急ぐことはないとの認識を示した。一方、2月の米個人消費支出(PCE)デフレータは前年比2.5%上昇と事前予想と一致した。1月の2.4%上昇から伸びが加速した。パウエル米FRB議長は、米PCEデフレータは「私たちの期待に沿った」内容だったとの見解を示した。今週は3月の米雇用統計の発表がある。
欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのストゥルナラス・ギリシャ中銀総裁は、インフレが予想通りに推移すれば6月に利下げを行うとのコンセンサスがECB内で形成されつつあると述べた。ECB理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、ECBは今春に「緩やかな」利下げに着手する可能性が高いと述べた。利下げのタイミングは米連邦準備理事会(FRB)とは異なるという。ECBの利下げも見込まれており、欧米の中銀が利下げサイクルに転じる見通しが金価格を押し上げている。
金の独自材料として、中国の需要堅調が指摘された。1月の香港経由の中国の金輸入は76.248トンとなった。2月は春節休暇の影響で39.826トンと昨年11月以来の低水準となったが、不動産市場の先行き懸念で金の投資意欲が強い。2020年の価格上昇時に香港から金が輸出されたが、今回の価格上昇でも中国の需要が続いており、金価格を押し上げる要因になっている。ニューヨークの指定倉庫在庫が減少傾向にあり、実需筋が踏まされており、現物が出てこなければ金価格は堅調に推移することになりそうだ。ただ金ETF(上場投信)に利食い売りが出ており、投資資金の動向も確認したい。
3月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比5.18トン減の830.15トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しを受けて急伸したが、利食い売りが出た。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月26日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは19万9,294枚となり、前週の20万1,602枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万3,085枚、買い戻しが1万0,777枚入って2,308枚買い越し幅を縮小した。
プラチナは欧米の利下げ見通しが下支え
ニューヨーク・プラチナ7月限は、欧米の利下げ見通しを受けて金が急伸したことが下支えになった。3月6日以来の安値900.2ドルを付けたのち、下げ一服となった。ただ中国経済の先行き懸念が残ることや、英国や欧州の景気減速に対する懸念が上値を抑える要因である。879.8~967.0ドルのレンジ相場を継続しており、当面は欧米の利下げを待つことになりそうだ。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、18日のロンドンで12.29トン、28日のニューヨークで31.56トン(前週末31.56トン)、27日の南アで11.67トン(同11.67トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月26日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは7,195枚となり、前週の6,280枚から拡大した。
ニューヨーク金は踏み上げで史上最高値更新
ニューヨーク金6月限は、米国債の利回り低下を受けて押し目を買われると、踏み上げで一段高となり、中心限月ベースでの史上最高値2,256.9ドルを付けた。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ見通しが強い。2月の米個人消費支出(PCE)デフレータは伸びが加速したが、パウエル米FRB議長は期待に沿った内容との見方を示した。今週は3月の米雇用統計の発表がある。
4月1日からの週の注目ポイント
1日 | 豪州、香港、欧州、南ア休場 | ☆ |
日銀短観(3月調査) | ☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(3月) | ☆☆☆ | |
2日 | ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月確報) | ☆☆ |
独消費者物価指数(3月速報) | ☆☆ | |
米製造業新規受注(2月) | ☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(3月) | ☆☆ |
ユーロ圏消費者物価指数(3月速報) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏雇用統計(2月) | ☆☆ | |
ADP全米雇用報告(3月) | ☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(3月) | ☆☆☆ | |
4日 | 中国、香港休場 | ☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏購買担当者総合景況指数(3月確報) | ☆☆ | |
ユーロ圏生産者物価指数(2月) | ☆☆ | |
米貿易収支(2月) | ☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
5日 | 中国休場 | ☆ |
全世帯家計調査・消費支出(2月) | ☆☆ | |
独製造業受注(2月) | ☆☆ | |
ユーロ圏小売売上高(2月) | ☆☆ | |
米雇用統計(3月) | ☆☆☆ |
※重要度を3段階で表示
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
参照:SBI証券 > マーケットデータより
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