金・銀・プラチナ
マーケットレポート
金は米大統領選後のドル高が圧迫要因
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は中東やウクライナ情勢の行方も焦点
11月4日の週のニューヨーク金市場は、米大統領選後のドル高を受けて調整局面を継続した。中心限月の12月限は10月11日以来の安値2,650.3ドルを付けた。米大統領選で共和党候補のトランプ前大統領が勝利した。追加関税や減税、移民抑制を公約に掲げており、インフレ懸念から米国債の利回りが上昇し、ドル高に振れた。トランプトレードが進行し、米主要株価3指数が最高値を更新した。また米上院で過半数を獲得しており、下院でも過半数を獲得できれば共和党の政策が進めやすくなる。新政権人事で、大統領首席補佐官に選挙戦で選対本部長を務めたスージー・ワイルズ氏を充てると発表した。バイデン米大統領は13日にトランプ次期大統領をホワイトハウスに迎え、選挙後初の会談を行う。
米連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き下げ、4.50~4.75%とした。12月の米FOMCでも利下げが見込まれている。ただ声明で、インフレが持続的に2%に向かいつつあることに関して「自信を深めている」との文言が削除された。米ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は好調な経済と生産性上昇により、米連邦準備理事会(FRB)は利下げ幅を従来予想より縮小する可能性があると述べた。ただ米FRBは新政権の政策を分析に織り込む前にどの政策が実行されるかを見極める必要があると述べた。米FRBの利下げ継続は金の支援要因だが、インフレ懸念から米国債の利回りが高水準で推移すると、上値を抑える要因になる。今週は10月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表がある。
カタール外務省はイスラム組織ハマスとイスラエルに対し、双方が協議を再開する「意思と真剣さ」を示すまで、パレスチナ自治区ガザでの停戦交渉の仲介を中断すると伝えたと明らかにした。イスラエルのネタニヤフ首相は、ガラント国防相を解任した。進行中の軍事作戦の管理を巡り両氏の間に隔たりが生じ、戦争の正常な遂行が不可能になったためとした。後任にはカッツ外相を任命した。外相の後任にはギデオン・サール氏を充てた。米司法省はイランがトランプ前大統領が再選を果たす前に暗殺計画を企てていたことを発表した。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプ次期大統領の会談実現に向け、予備的な計画が進んでいると、ウクライナのシビハ外相が明らかにした。ロシアは10日、ウクライナ軍の大規模なドローン(無人機)攻撃がロシア各地であり、モスクワ郊外では34機を撃墜したと発表した。米国の今後のウクライナ支援の行方を確認したい。
11月8日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比11.78トン減の876.85トンとなった。米大統領選でトランプ前大統領が勝利し、インフレ懸念からドル高に振れたことを受けて投資資金が流出した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、11月5日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは25万5,329枚となり、前週の27万8,653枚から縮小した。今回は手じまい売りが2万9,820枚、買い戻しが6,496枚入り、2万3,324枚買い越し幅を縮小した。
プラチナも調整局面を継続
ニューヨーク・プラチナ1月限は米大統領選後のドル高を受けて調整局面を継続し、10月10日以来の安値971.8ドルを付けた。米主要株価3指数の最高値更新や米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げが下支え要因になったが、中国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会で財政刺激策の規模が温存されたことから戻りを売られた。トランプ次期政権の政策を確認してから支援策を発表する見通しとなった。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、7日のロンドンで17.11トン(前週末17.01トン)、8日のニューヨークで33.43トン(同33.45トン)、7日の南アで11.38トン(同11.38トン)となった。一方、11月5日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万9,041枚となり、前週の3万5,543枚から縮小した。
ニューヨーク金は調整局面を継続
ニューヨーク金12月限は、米大統領選後のドル高を受けて調整局面を継続した。米大統領選で共和党候補の トランプ前大統領が勝利し、インフレ懸念から米国債の利回りが上昇し、ドル高に振れた。米連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げが決定され、12月も利下げを続ける見通しであることが下支えになったが、ドル高が再開すると戻りを売られた。7日安値2,650.3ドルが目先の支持線である。今週は10月の米消費者物価指数(CPI)や米小売売上高の発表がある。
11月11日からの週の注目ポイント
11日 | フランス、カナダ休場 | ☆ |
国際収支・経常収支(9月) | ☆☆ | |
12日 | 英雇用統計(10月) | ☆☆ |
独消費者物価指数(10月確報) | ☆☆ | |
独ZEW景況感指数(11月) | ☆☆ | |
13日 | 企業物価指数(10月) | ☆☆ |
ユーロ圏鉱工業生産(9月) | ☆☆ | |
米消費者物価指数(10月) | ☆☆☆ | |
米財政収支(10月) | ☆☆ | |
14日 | 英国内総生産(7-9月期速報値) | ☆☆☆ |
英鉱工業生産指数(9月) | ☆☆ | |
ユーロ圏域内総生産(7-9月期改定) | ☆☆☆ | |
米新規失業保険申請件数 | ☆☆ | |
米生産者物価指数(10月) | ☆☆ | |
15日 | 国内総生産(7-9月期1次速報) | ☆☆☆ |
中国住宅価格指数(10月) | ☆☆ | |
中国小売売上高(10月) | ☆☆ | |
中国鉱工業生産(10月) | ☆☆ | |
米小売売上高(10月) | ☆☆☆ | |
米輸出入物価指数(10月) | ☆☆ | |
米ニューヨーク連銀製造業景況指数(11月) | ☆☆ | |
米鉱工業生産・設備稼働率(10月) | ☆☆ | |
米企業在庫(9月) | ☆☆ |
金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月
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