225の
『ココがPOINT!』
英国議会選挙、FOMC、米中協議・・・ポイントは?日本株はどうなる?
投資情報部 鈴木英之
師走(12月)相場も中盤に差し掛かろうとしています。世界的に緩和的金融政策が展開される中、米中通商協議で妥協が成立するとの期待も根強く、日経平均株価も高値保ち合いとなっています。
しかし、12月第2週は重要日程が極度に集中しており、この週の東京株式市場では様子見気分が強まりつつあります。そこで今回の「225の『ココがPOINT!』」では、これら重要日程のポイントをチェックし、その後の日経平均株価の動きを占ってみたいと思います。
ココがPOINT!
1.高値保ち合いの展開
日経平均株価は11月末の終値23,293円に対し、12/10(火)終値は23,410円と、ほぼ高値保ち合いの動きになっています。米国をはじめ世界の中央銀行が総じて緩和的金融政策を継続する中、米中通商協議が合意に向かうとの期待も根強く、米国株が市場最高値更新の動きとなりました。日本株もそれを好感し、日経平均株価終値は12/2(月)、23,529円50銭となり、本年高値更新となりました。ただ、11月に付けた取引時間中の高値を抜くことはできないでいます。
図1に示された通り、日経平均株価は10/4(金)の安値21,276円01銭を底に、11/8(金)の取引時間中に一時、23,591円09銭の高値を付けるまで上昇。その後、短期調整した後は11/26(火)に一時23,608円06銭まで上昇し、取引時間中ベースでの本年高値を更新しました。ただ、11/8(金)と11/26(火)の高値の間は「誤差」程度であり、日経平均株価のこの水準は強い上値抵抗ラインになっていると見受けられます。
米国では、製造業の景況感に弱い面がみられ、時折株価の波乱要因になっています。米中協議についても、前進を示唆するニュースが繰り返されている割には、合意に至ることを示す決定的な材料は出ていないように思われます。そうした中、米国が中国に賦課を予定する関税第4弾のうち、スマホやノートPC等の中国からの輸入品1,600億ドル分に関する判断の期限が12/15(日)に迫っており、株価の上値を抑える要因になっています。
表1 日経平均株価の値動きとその背景(2019/12/2~12/10)
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
---|---|---|---|
終値 | 前日比 | ||
12/2(月) | 23,529.50 | +235.50 | 中国の製造業PMI上振れや、円安・ドル高が好感されました。 |
12/3(火) | 23,379.81 | -149.69 | 米国のISM製造業指数が下振れし、NYダウが10/8以来の大幅安でした。 |
12/4(水) | 23,135.23 | -244.58 | 安値で335円安。米大統領が米中協議合意の先送り示唆で前日のNYダウが280ドル安 |
12/5(木) | 23,300.09 | +164.86 | 米中合意への期待が回復。国内大型経済対策への期待も追い風。 |
12/6(金) | 23,354.40 | +54.31 | 日本政府が経済対策を閣議決定。米政府高官が米中協議に前向きな発言。 |
12/9(月) | 23,430.70 | +76.30 | 雇用統計の上振れで12/6のNYダウが337ドル高。ただ、予想外の円高で株価伸びず。 |
12/10(火) | 23,410.19 | -20.51 | 重要日程を控えて様子見気分が強まりました。 |
図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
2.重要日程が目白押し
米国では12/6(金)、日本時間22時30分に雇用統計(11月)が発表されました。中核的指標である非農業部門雇用者数(前月比・増減)は10月には15.6万人増(12.8万人増から上方修正)でしたが、11月は18万人増となる予想(市場コンセンサス)でした。実際には26.6万人増と大きく上振れるとともに、失業率は3.5%(事前予想は3.6%)、時間当たり賃金(前年同月比)は3.1%増(同3.0%増)という実績で、いずれも労働市場の強さを示す結果になりました。
この雇用統計は非常に強い結果であり、素直に米株高やドル高に結びついてもよさそうなものです。確かに、12/6(金)の米国市場ではNYダウが前日比337ドル高となりましたが、図2にある通り、11/27(水)の高値を上抜けるには至っていません。また、図3にもあるように、外為市場では雇用統計発表後、円安・ドル高方向への反応は一瞬で終わり、その後すぐに円高・ドル安方向に戻されています。
こうした一見不可思議な市場の動きの背景には、今後重要日程が目白押しであり、投資家がポジションを取りにくいことが影響していると考えられます。日本時間12/12(木)未明には、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表が、同12/13(金)の昼前にも英国議会選挙の大勢が判明しそうです。ちなみにこの日は、東京株式市場でメジャーSQを迎える上、取引開始前には日銀短観(12月調査)の発表も予定されています。
そして何といっても12/15(日)に、米国が中国に賦課を予定する関税第4弾のうち、スマホやノートPC等の中国からの輸入品1,600億ドル分に関する判断の期限が迫っています。万が一、交渉がうまくいかず、関税賦課が決定した場合、株価の波乱も想定されるだけに十分な注意が必要です。
表2 当面の重要スケジュール
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | ポイント |
12/9~12/15 | 中国 | 11月新規人民元建融資、資金調達額、マネーサプライ | カネ回りが中国経済の実力を示す? |
12/11(水) | 米国 | FOMC結果発表/パウエルFRB議長会見(日本時間12日午前4時) | 金利先物市場の利下げ確率はほぼゼロ |
12/12(木) | 日本 | 10月機械受注 | 設備投資の先行指標 |
日本 | 11月オフィス空室率 | 都心部(10月)は1.63%で、過去最低更新中 | |
英国 | 英国議会総選挙(日本時間13日昼前にも大勢判明へ) | 定数650に対し、保守党が過半数の見込み。首相の議席は? | |
欧州 | ECB定例理事会 | 金融政策に変更はないとの見方が優勢 | |
12/13(金) | 日本 | 日銀短観(12月調査) | 大企業・製造業の業況判断指数(市場コンセンサス)は+3 |
日本 | メジャーSQ | ||
米国 | 11月小売売上高 | ||
12/15(日) | 米国 | 対中国追加関税第4弾(携帯電話、ノートPC)等発動期限 | 決裂か、妥協か、先送りか |
12/16(月) | 中国 | 11月都市部固定資産投資 | 市場コンセンサス(前年同月比)は5.2%増 |
中国 | 11月工業生産 | 市場コンセンサス(前年同月比)は5.0%増 | |
中国 | 小売売上高 | 市場コンセンサス(前年同月比)は7.2%増 | |
米国 | 12月NY連銀製造業景況指数 | ||
12/17(火) | 米国 | 11月住宅着工件数 | 市場コンセンサス(前月比)は2.0%増 |
米国 | 11月鉱工業生産・設備稼働率 | ||
12/18(水) | 日本 | 11月貿易統計 | |
日本 | 11月訪日外客数 | 1~10月累計では2,691万人(前年同月比+3.1%) | |
ドイツ | 12月Ifo景況感指数 | 約7千社のドイツ企業に景況感をアンケート | |
12/19(木) | 日本 | 日銀金融政策決定会合/黒田総裁会見 | 金融政策に変更はない見通し |
米国 | 12月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 | ||
米国 | 11月中古住宅販売件数 | 市場コンセンサス(前月比)は0.6%減 | |
12/20(金) | 日本 | 11月消費者物価指数 | |
米国 | 7~9月期GDP確報値 | 市場コンセンサス(前期比・年率)は+2.1% | |
日本/米国 | スターウォーズ最新作が日米同時公開 |
表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2019年 | 2020年 | |
日銀金融政策決定会合 | 12/19(木) | 1/21(火)、3/19(木)、4/28(火)、6/16(火)、7/22(水)、9/17(木)、10/29(木)、12/18(金) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 12/11(水) | 1/29(水)、3/18(水)、4/29(水)、6/10(水)、7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 12/12(木) | 1/23(木)、3/12(木)、4/3(金)、6/4(木)、7/16(木)、9/10(木)、10/29(木)、12/10(木) |
3.【ココがPOINT!】英国議会選挙、FOMC、米中協議のポイントと株価への影響を探る
前項でご説明したように、当面は重要日程が目白押しです。日本時間12/12(木)未明には、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果発表が、同12/13(金)の昼前にも英国議会選挙の大勢が判明しそうです。ちなみにこの日は、東京株式市場でメジャーSQを迎える上、取引開始前には日銀短観(12月調査)の発表も予定されています。
今回の「225の『ココがPOINT!』」では、これら重要日程の主要なものについて、ポイントをチェックし、その後の日経平均株価の動きを占ってみたいと思います。
(1)FOMCの結果発表・・・日本時間12/12(木)未明
短期金融市場からみた確率では、このFOMCで利下げが行われる可能性はゼロに近いようです。ちなみに、同じ方法でみた2020年の利下げ確率は3月で21.0%、6月で42.1%、12月で66.1%になっています。一応、パウエル議長の会見が注目されますが、今回のFOMC後に市場が大きく動く可能性は低いでしょう。
(2)英国議会選挙・・・・12/12(木)実施予定。日本時間12/13(金)の昼前にも大勢判明?
英国議会の定数は650議席で、ジョンソン首相率いる保守党が過半数を獲得する勢いと伝えられています。そのまま保守党が勝利すれば、1月末にEU離脱、2020年内にEUとの通商協定交渉とりまとめというスケジュールになります。重要なのは選挙後とみられ、選挙結果いかんで市場が直ちに大きく動く可能性は薄いかもしれません。なお、日本の輸出総額に占める英国の比率は1.9%に過ぎず、その意味でもBrexitの影響は過大評価しない方がよいかもしれません。
なお、仮に何か予想外の出来事でこの選挙後に市場が大きく動いても、以下の米中通商協議の関税決定期限を控えているため、ポジションを取りにくい状態が続きそうです。
(3)米中通商協議における関税第4弾(その2)の賦課決定判断期限・・・・米国時間12/15(日)
米中通商協議について、この12/15(日)の期限をめぐる動きについては、基本的には以下の3つのシナリオが想定されます。
(A)知財問題を含む高度の合意が成立し、新たな関税は回避され、既存の関税も一部またはすべてが撤廃される。
(B)中国の輸入拡大など、限定的な妥協が成立し、新たな関税は回避または延期される。または交渉期限が延長される。
(C)米中両国の間でほとんど何も合意が成立せず、予定通り、中国からの輸入品すべてに関税が賦課される。
市場が想定するメインシナリオは(B)であり、12/15(日)を通過後はリスクが取りやすくなると予想されます。(A)の場合、株価は上昇し、円安・ドル高が進展、(C)の場合はその逆になることが予想されます。ただ、ここまで、報道ベースでかなり市場は「一部合意」を織り込んできたとみられます。そのため、(B)のシナリオでも、株価が軟調になる可能性は大きくなってきたと考えられます。市場は米中通商協議に対し楽観的に過ぎるとの見方も出ており、注意が必要です。
図4 米国による中国からの輸入額と追加関税
相場が大きく動いたら?
SBI証券なら多彩な商品群で取引チャンスを逃がしません!
- 国内株式
レパレッジ型ETFを活用すれば、日経平均の急な動きにも対応可能!
- 外国株式
米国株式、中国株式を含めた9ヵ国に投資!海外ETFで分散投資も可能です!
- 投資信託
日本の株式市場の動きを予測して短期でハイリターンを狙えるファンドがあります!
- FX
約5,000円から取引できる!ほぼ24時間取引&手数料はもちろん0円!
- 先物・オプション
日経平均に少ない資金で投資できる!レバレッジを効かせて、大きな利益を狙え!
- CFD
先進諸国の株価指数がほぼ24時間取引可能!特徴を理解することが勝利への道!
- ワラント
ダイナミックな値動きがeワラントの特徴!商品の魅力を知るなら必見!
- 金・プラチナ
有事の際の金・プラチナでリスクヘッジも!ほぼ24時間リアルタイムで取引可能!
先物・オプション取引
先物・オプション取引を
はじめるには
先物・オプションのお取引には、先物・オプション取引口座の開設が必要になります。
※PCでのお手続きを推奨しております
当社の総合口座をお持ちでないお客さま
先物・オプション取引関連ページ
信用取引のご注意事項
-
-
・信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。 -
・信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。 - もっと見る 閉じる
-
・信用取引に関するリスク
先物・オプション取引の免責事項・注意事項
-
- ・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。
-
・必要証拠金額は当社SPAN証拠金(発注済の注文等を加味したSPAN証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。
・当社SPAN証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。
・SPAN証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、、またはお客さまごとに変更することがあります。
・「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は新規建てしたセッションに限定されます。必要証拠金額はSPAN証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・先物・オプションのSPAN証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
・日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
・日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は取次ぎ手数料をSBIジャパンネクスト証券から受取ます。
・J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。 - もっと見る 閉じる