225の
『ココがPOINT!』
日経平均株価がNYダウに見劣りするのは妥当なのか?
投資情報部 鈴木英之
株式市場は一時期に比べると落ち着きを取り戻しています。米国において、新型コロナウイルスの新規感染者数や日次の死亡者数がピークアウトする兆しをみせる中、同国政府が経済活動を再開させる方針に転じてきたことで、経済回復への期待が高まりつつあるためです。ただ、WTI原油先物市場でマイナス価格が成立するという衝撃的な出来事が起こったことに加え、北朝鮮の金正恩委員長の健康を不安視する報道が影響し、株価の頭が抑えられています。
こうした中、安値からの反発力でみると、日経平均株価よりNYダウの方が大きくなっています。日本政府の対策が米国など諸外国に比較して不十分、かつ遅れている上、今後の見通しが悲観的なものに感じられるためと考える人も多いようです。しかしながら、その考え方は本当に妥当なのでしょうか。
ココがPOINT!
1.株価は世界的に落ち着きつつある
世界的に、株式市場が落ち着きを取り戻してます。NYダウは4月第2週[4/6~4/9(4/10は休日)]に12.7%、第3週(4/13~4/17)に2.2%の上昇となりました。米国において、新型コロナウイルスの新規感染者数や日次の死亡者数がピークアウトする兆しをみせる中、同国政府が経済活動を再開させる方針に転じてきたことで、経済回復への期待が高まりました。ただ、第4週(4/20~4/24)に入ると、利益確定売りに押される場面が増えました。WTI原油先物市場でマイナス価格が成立するという衝撃的な出来事が起こったことに加え、北朝鮮の金正恩委員長の健康を不安視する報道が影響しました。
こうした米国市場の動向を受け、4月第2週(4/6~4/10)末の日経平均株価は前週末比1,678円31銭(9.4%)の上昇、第3週末は398円76銭(2.0%)の上昇となりました。我が国では、米国のように経済活動再開を模索する動きは出てきていませんが、日次の新規感染者数は今のところ、4/12(日)がピークで、その後は徐々に減少傾向をたどっています。新型コロナウイルスに対する市場の不安は後退しつつあります。米国同様4月第4週(4/20~4/24)は反落し、前週末比635円26銭(3.2%)の下落となりました。
4月第5週のスタートとなる4/27(月)の日経平均株価は大幅反発となり、終値は4/17(金)の小天井以来の高値水準を回復しました。原油続伸を背景とした米国株高(4/24)、ファナックやアドテストなど、決算発表(4/24)銘柄が総じて高かったこと、日銀金融政策決定会合(4/27)で金融緩和策が強化されたこと等が追い風になりました。4/26(日)に東京都の新型コロナウイルス新規感染者数が4/13(月)以来の100人割れまで減少したことも追い風になりました。ただ、4/28(火)は利益確定売りが先行する展開になっています。
表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/4/20~2020/4/27)
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
4/20(月) | 19,669.12 | -228.14 | 先週末に大幅高した反動。米株先物が下落。 |
4/21(火) | 19,280.78 | -388.34 | WTI原油先物市場で「マイナス」の取引が成立。北朝鮮金委員長が重病との報道も。 |
4/22(水) | 19,137.95 | -142.83 | 原油先物価格およびNYダウ下落(4/21に631ドル安)を嫌気。エネルギー等が安い。 |
4/23(木) | 19,429.44 | +291.49 | WTI原油先物価格が反発。米テキサス等での経済活動再開プランも好感。 |
4/24(金) | 19,262.00 | -167.44 | 5/6(水)を期限とする外出等自粛が延期となる可能性 |
4/27(月) | 19,783.22 | +521.22 | WTI原油先物価格続伸や日銀の金融緩和強化を好感。決算発表終了で上がる株も。 |
4/28(火) | 19,771.19 | -12.03 | 4/17(金)の小天井に接近し、利益確定売りが増えやすくなりました。 |
図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
表2 当面の重要スケジュール
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | ポイント |
4/28(火) | 日本 | 3月失業率・有効求人倍率(発表済み) | 有効求人倍率は前月比0.06ポイント低下の1.39倍。 |
日本 | ★決算発表~信越化、NEC、富士通、JR東、ヤマトHD、NTTドコモ | 半導体、5Gの先行きは? | |
米国 | ☆決算発表~キャタピラー、フォード、スターバックス | ||
4/29(水) | 日本 | ◎東京市場は休場(昭和の日) | |
米国 | 1~3月期GDP(速報) | 市場コンセンサスは-8%前後か? | |
米国 | ☆決算発表~GE、マイクロソフト、クアルコム | ||
米国 | FOMC結果発表(日本時間30日未明) | ||
4/30(木) | 日本 | 3月鉱工業生産 | |
日本 | ★決算発表~日電産、デンソー、村田製、東エレク | ||
中国 | 4月製造業PMI | ||
欧州 | ECB理事会 | 3/12(木)の会合では、国債等の買い入れ枠を1,200億ユーロ追加。 | |
米国 | ☆決算発表~アップル、マクドナルド | ||
5/1(金) | 中国 | ◎労働節で休暇 | 世界の多くの市場も休場 |
米国 | 4月ISM製造業景況指数 | ||
5/2(土) | 日本 | 連休(~5/6) | |
5/5(火) | 米国 | ISM非製造業景況指数 | 雇用など個別指標にも注目 |
米国 | ☆決算発表~ディズニー、EA | ||
5/6(水) | 日本 | 新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言の期限 | |
米国 | 4月ADP雇用統計 | ||
5/7(木) | 日本 | 日銀金融政策決定会合(3/16)議事要旨 | |
日本 | 4月東京都心オフィス空室率 | ||
日本 | ★決算発表~任天堂、丸紅 | ||
中国 | 4月貿易収支 | ||
5/8(金) | 日本 | 3月毎月勤労統計および家計調査 | |
日本 | ★決算発表~日本製鉄、三菱商、住友商事、大和、野村 | ||
米国 | 4月雇用統計 | 市場コンセンサスは非農業部門雇用者数で1,000万人減少か |
表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2020年 | |
日銀金融政策決定会合 | 6/16(火)、7/22(水)、9/17(木)、10/29(木)、12/18(金) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 4/29(水)、6/10(水)、7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 4/30(木)、6/4(木)、7/16(木)、9/10(木)、10/29(木)、12/10(木) |
2.【ココがPOINT!】日経平均株価の出遅れは妥当なのか?
ネットや雑誌・新聞・テレビなど、各種メディアをみて感じる印象としては、日本において、新型コロナウイルスの感染が拡大し続けており、日本政府の対策は諸外国に比較して不十分かつ遅れているため、今後の見通しは悲観的なものに思われます。それに対し、米国などでは一部の州で経済活動再開が模索されるなど、見通しは楽観的なものに変わりつつあるように思われます。スウェーデンなどは、厳しい都市封鎖等の対策を取らなかったにもかかわらず、集団免疫(人口の一定比率がウイルスに感染することで、それ以上感染が進みにくくなるとの考え方)の獲得に近づいているとされ、それはそれで、羨ましく感じてしまうという人も多いのではないでしょうか。
日経平均株価は4/27(月)現在、3月に付けた安値から21%反発した水準にありますが、NYダウは安値から32%も上昇しています。このパフォーマンスの差は、こうした見通しの明暗の差によるものとの見方もあります。一方中国については、すでに、新型コロナウイルスの感染拡大が一巡したと伝えられています。やはり、世界経済および株式市場は米国と中国という2大経済大国により、けん引され、我が国は両大国の間に埋没してしまうのでしょうか。
そうとは限らないと考えられます。少なくとも、我が国は新型コロナウイルスの世界的感染の中で、随分と健闘しているという考え方も可能です。
確かに、4月に関していえば、図5にもあるように、日本の新型コロナウイルスの感染者の伸び率は世界の中でも、高い方でした。これをみる限りでは、日本政府の対策が諸外国に比較して遅れている上、不十分であると非難されても、反論はしにくいように思われます。しかし、図6をみてもおわかりいただける通り、我が国の新型コロナウイルス感染者数および、死亡者数は、人口補正して他の国と比べると相当の低水準にとどまっていることがご理解頂けると思います。欧米の多くの国で、新規感染者数が3月に大きく伸び、その分4月の増加率が落ち着き、それと比較して日本の伸びが大きくみえたという側面もありそうです。
我が国の新規感染者数の数字については、「PCR検査数を絞っているため少なく見えるに過ぎず、実数はさらに多いはずだ」と批判されることも多いようです。しかし、「どこの国の数字がもっとも正しい」という意見もほとんど聞いたことがありません。新規感染者数の数字はPCR検査等、その国の諸制度によって異なり、どこの国も問題を含んでおり、「数字は参考程度」と考えた方が良いかもしれません。今後、抗体検査等の増加により、国と国のより正確な比較もできるようになるかもしれません。
一方、死亡者数の方は誤差が相対的に少ないようです。「肺炎で亡くなっている人の中に、新型コロナウイルスに感染した人も多いのではないか」とする疑問を投げかける人も少なくないようですが、遺体の搬送作業や火葬作業を担当する人達に感染するリスクがあるため、感染の疑いがあるか否かをはっきりさせことが医療従事者に要請されています(厚生労働省)。すなわち、我が国の新型コロナウイルスを原因とする死亡者数は、あまり実態と乖離していないとみられ、人口補正した場合、実際に世界的に相当低水準とみてよさそうです。
我が国において、新型コロナウイルスで死亡する人が少ないのは、(1)マスク装着の普及、(2)手洗い・うがい等の習慣の浸透、(3)BCG接種による免疫の確保(ひとつの見方)、(4)靴を脱いで家に入る習慣、(5)外出自粛を求める国の政策の効果、他多くの要因が大なり小なり影響しているとみられます。これらを総合し、海外の投資家が日本に対して高い評価を与える可能性は十分あるのではないでしょうか。日経平均株価がNYダウのパフォーマンスを後追いする可能性も十分ありそうです。
無論、3月下旬に外出自粛に緩みが生じたことで、4月に新型コロナウイルスの感染が拡大した可能性が十分あるため、今後は油断してよいということにはならないでしょう。
残念ながら、新型コロナウイルスの感染が深刻化している方が、記事を読む人が増えるという側面があることは否めません。このため、メディアから、我が国の新型コロナウイルス感染一巡を指摘する報道が出てくることは当面、少ないかもしれません。しかし、図4をみても明らかなとおり、我が国においても新型コロナウイルスの感染は一巡しつつあるようです。あまり、悲壮感に流されると、投資チャンスを失う可能性もありそうです。
図4 我が国の新型コロナウイルスの新規感染者数および日次死亡者数の推移(日次・世界)
図5 4月の新型コロナウイルス感染者国別増加率
(3月末~4/27)
図6 新型コロナウイルス累計感染者数・死亡者数
(人口100万人当たり)
相場が大きく動いたら?
SBI証券なら多彩な商品群で取引チャンスを逃がしません!
- 国内株式
レパレッジ型ETFを活用すれば、日経平均の急な動きにも対応可能!
- 外国株式
米国株式、中国株式を含めた9ヵ国に投資!海外ETFで分散投資も可能です!
- 投資信託
日本の株式市場の動きを予測して短期でハイリターンを狙えるファンドがあります!
- FX
約5,000円から取引できる!ほぼ24時間取引&手数料はもちろん0円!
- 先物・オプション
日経平均に少ない資金で投資できる!レバレッジを効かせて、大きな利益を狙え!
- CFD
先進諸国の株価指数がほぼ24時間取引可能!特徴を理解することが勝利への道!
- ワラント
ダイナミックな値動きがeワラントの特徴!商品の魅力を知るなら必見!
- 金・プラチナ
有事の際の金・プラチナでリスクヘッジも!ほぼ24時間リアルタイムで取引可能!
先物・オプション取引
先物・オプション取引を
はじめるには
先物・オプションのお取引には、先物・オプション取引口座の開設が必要になります。
※PCでのお手続きを推奨しております
当社の総合口座をお持ちでないお客さま
先物・オプション取引関連ページ
信用取引のご注意事項
-
-
・信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。 -
・信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。 - もっと見る 閉じる
-
・信用取引に関するリスク
先物・オプション取引の免責事項・注意事項
-
- ・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。
-
・必要証拠金額は当社SPAN証拠金(発注済の注文等を加味したSPAN証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。
・当社SPAN証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。
・SPAN証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、、またはお客さまごとに変更することがあります。
・「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は新規建てしたセッションに限定されます。必要証拠金額はSPAN証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・先物・オプションのSPAN証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
・日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
・日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は取次ぎ手数料をSBIジャパンネクスト証券から受取ます。
・J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。 - もっと見る 閉じる