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『ココがPOINT!』

「日経平均株価22,000円回復」は通過点になる可能性も!?

2020/6/2
投資情報部 鈴木英之

東京株式市場の上昇基調が継続しています。日経平均株価の5月末終値は21,877円89銭となり、前月末比1,684円20銭(8.3%)の上昇となりました。6/1(月)には終値ベースで2/26(水)以来の22,000円回復となり、6/2(火)には終値が22,325円61銭と続伸しました。

テクニカル的には25日移動平均線からのかい離率は8.3%、RSI(14日)は72.4%、騰落レシオ(日経平均採用銘柄)は133.3%となりました。一般的に、25日移動平均線からのかい離率が7%以上、RSI(14日)が70%以上、騰落レシオ(25日)が130%以上に達すると、株価は過熱圏に達したとみなされます。しかし、実際はどうでしょうか。実は過去のデータを吟味すると、「日経平均株価22,000円回復」は通過点になる可能性もありそうです。

ココがPOINT!

1.日経平均株価が約3ヵ月ぶりに22,000円を回復

東京株式市場の上昇基調が継続しています。日経平均株価の5月末終値は21,877円89銭となり、前月末比1,684円20銭(8.3%)の上昇となりました。主要先進国で新型コロナウイルスの感染拡大がピークアウトの傾向となったことに加え、金融政策や財政政策、都市封鎖の解除など、経済再生への取り組みが本格化してきたことが要因と考えられます。6/1(月)には終値ベースで2/26(水)以来の22,000円回復となり、6/2(火)には終値が22,325円61銭と続伸しました。

我が国でも、5/8(金)に新型コロナウイルスの新規感染者数(日次)が100人未満に「減速」して以降、感染拡大ペースが目立って鈍化し始め、5/14(木)には39県、5/21(木)には関西2府1県、5/25(月)には東京など残る5都道県で緊急事態宣言の解除が決定されました。株式市場では、海外と比べて日本の新型コロナウイルスの感染者数や死亡者数が少ないことに対し、その実態を疑問視する向きも少なくありませんでしたが、図1で明らかなように、全都道府県で緊急事態宣言が解除された5/25(月)以降は、我が国の取り組みを評価する動きが増え、株価上昇が加速する展開になりました。

なお、米国をはじめ主要海外市場でも、経済再開へ向けた動きを好感する動きが続き、株価が上昇する国が目立ちました。4月に「マイナス価格」となるなど、波乱を見せていた原油先物市場も5月は総じて落ち着いた動きとなりました。さらに、外為市場も総じて小さい値動きとなり、外部環境が落ち着きを取り戻したことも、日本株には追い風になりました。

もっとも、世界の新型コロナウイルスの新規感染者数は4月末317万人から5月末は605万人と2倍近くに増えており、落ち着きを取り戻したとは言い難い状態です。ロシアやブラジル、インドなど新興国での感染が加速する傾向をみせており、今後世界経済に深刻な影響を及ぼすことが警戒されます。

さらに、一見、経済再生に向けて順調に見える米国についても、新型コロナウイルスの新規感染者数の減少は緩慢にみえる上、人種問題を背景とした「同時多発デモ」も深刻化しつつあります。また、米国と中国の通商摩擦についても、再び激化する兆しを見せています。6月相場は、波乱含みの展開になる可能性もありそうです。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/5/25~2020/6/2)

   日経平均株価 日米株式市場等の動き 
終値 前日比
5/25(月) 20,741.65 +353.49 東京など5都道県の緊急事態宣言が解除され、全面的な解除が実現。米市場は休場。
5/26(火) 21,271.17 +529.52 緊急事態宣言解除を受けた買いが継続。香港株高で買い安心感も。
5/27(水) 21,419.23 +148.06 米株上昇(前日のNYダウが529ドル高)の流れ。経済再開へ期待。
5/28(木) 21,916.31 +497.08 4営業日続伸。米株続伸(前日のNYダウが553ドル高)の流れ。第2次補正予算決定で。
5/29(金) 21,877.89 -38.42 米トランプ大統領の対中国制裁に関する会見を見極めたいとする動き。
6/1(月) 22,062.39 +184.50 米中対立への警戒感が後退。米国の半導体株高が追い風。
6/2(火) 22,325.61 +263.22 経済活動再開を期待した米国株高の流れを引き継ぐ。

※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/6/2現在。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/6/1現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/6/2取引時間中。

2.見出し削除

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
6/1(月) 日本 1~3月期法人企業統計(発表済み)
  米国 5月ISM製造業景況指数(発表済み) 企業の経常利益(1~3月)は前年同期比32.0%減。
6/3(水) 米国 5月ADP雇用統計
  米国 5月ISM非製造業景況指数 雇用、新規受注等の個別指標にも注意
6/4(木) 欧州 ECB定例理事会/ラガルド総裁会見  
  米国 ☆決算発表~ブロードコム  
6/5(金) 米国 5月雇用統計 市場コンセンサスは雇用者数1,170万人減、失業率20%
6/7(日) 中国 5月貿易収支
6/8(月) 日本 5月景気ウォッチャー調査  
6/9(火) 日本 5月工作機械受注 設備投資の先行指標。中国向け受注に注意。
6/10(水) 日本 4月機械受注
  中国 5月生産者物価/消費者物価
  米国 5月消費者物価
  米国 FOMC結果発表/パウエル議長会見 ※日本時間では6/11(木)未明の発表
6/12(金) 日本 メジャーSQ
  米国 6月ミシガン大学消費者マインド指数  

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年
日銀金融政策決定会合 6/16(火)、7/22(水)、9/17(木)、10/29(木)、12/18(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 6/10(水)、7/29(水)、9/16(水)、11/5(木)、12/16(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 6/4(木)、7/16(木)、9/10(木)、10/29(木)、12/10(木)

※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しました。日付は日本時間(ただし、表3の中央銀行会議の結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

3.【ココがPOINT!】「日経平均株価22,000円回復」は通過点になる可能性も!?

日経平均株価は6/1(月)、22,062円39銭で引け、終値ベースでは2/26(水)以来の22,000円回復となりました。これで3/19(木)に付けた年初来安値16,552円83銭からの上昇率は33.2%に達しました。また、テクニカル的には25日移動平均線からのかい離率は8.3%、RSI(14日)は72.4%、騰落レシオ(日経平均採用銘柄)は133.3%となりました。

一般的に、25日移動平均線からのかい離率が7%以上、RSI(14日)が70%以上、騰落レシオ(25日)が130%以上に達すると、株価は過熱圏に達したとみなされます。したがって、教科書的には次第に利益確定売りが出やすくなり、株価はピークアウトする可能性が大きいと考えられます。

しかし、実際はどうでしょうか。1999年のITバブル以降、日経平均株価の25日移動平均線、RSI、騰落レシオの「3指標」がすべて上記の過熱圏に達した日を基準とし、そこから5営業日後、10営業日後、30営業日後、50営業日後の騰落率、および1年以内の高値までの騰落率を示したのが表4になります。「3指標」すべてが過熱圏入りした事例はこの期間に7回ありましたが、そのうち、5営業日後に値上がりしていた回数は4回、10営業日後も4回、30営業日後では5回、50営業日後は何と7回すべてでした。騰落率では平均で、5営業日後が0.7%、10営業日後が0.0%、30営業日後が2.8%、50営業日後が7.7%と、いずれも横ばいまたは上昇というパフォーマンスになりました。

また、「3指標」すべてが過熱圏入りした後、1年以内に付けた高値までの騰落率は最低で0.8%、最高で56.1%であり、過去7回の平均では23.1%という結果でした。

このように、日経平均株価の25日移動平均線からのかい離率が7%以上、RSI(14日)が70%以上、騰落レシオ(25日)が130%以上に達し、「3指標」すべてが過熱圏に達することは、中期的なスパンでみた場合、株価のピークアウトに接近していると予想するのではなく、上昇する可能性が大きいと考えることが正しいように思われます。すなわち、3指標の過熱圏入りは実は、株式市場のトレンドが大きく変わることを示唆しているのかもしれません。

表4 日経平均株価のテクニカル「3指標」が過熱圏入りした後の騰落率

「3指標」がすべて「過熱」 5営業日後 10営業日後 30営業日後 50営業日後 1年内高値
年月日 日経平均株価
1999/3/16 16,072.82 15,515.47 15,836.59 16,942.24 16,408.50 20,081.67
-3.5% -1.5% 5.4% 2.1% 24.9%
2002/3/8 11,885.79 11,648.01 11,261.09 11,721.64 11,979.85 11,979.85
-2.0% -5.3% -1.4% 0.8% 0.8%
2003/7/2 9,592.24 9,990.95 9,735.97 9,913.47 10,546.33 12,163.89
4.2% 1.5% 3.3% 9.9% 26.8%
2005/12/2 15,421.60 15,404.05 15,173.07 15,696.28 16,043.67 17,563.37
-0.1% -1.6% 1.8% 4.0% 13.9%
2009/3/26 8,636.33 8,719.78 8,916.06 9,340.49 9,991.49 10,996.37
1.0% 3.2% 8.2% 15.7% 27.3%
2012/12/19 10,160.40 10,322.98 10,578.57 11,357.07 12,283.62 15,859.22
1.6% 4.1% 11.8% 20.9% 56.1%
2013/5/10 14,607.54 15,138.12 14,612.45 13,230.13 14,658.04 16,291.31
3.6% 0.0% -9.4% 0.3% 11.5%
2020/6/1 22,062.39 - - - - -
過去7回の平均 0.7% 0.1% 2.8% 7.7% 23.1%

※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。日経平均株価の25日移動平均線からのかい離率、RSI(14日)、騰落レシオ(25日)がすべて過熱圏入りした後、そこから5営業日業、10営業日後、30営業日後、50営業日後の騰落率、および1年以内の高値までの騰落率を示しています。

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