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『ココがPOINT!』

【米大統領選と新型コロナウイルス】投資家はどのようなリスクに注意すべきか?

2020/10/27
投資情報部 鈴木英之

日経平均株価は一進一退を繰り返す展開となり、10月第3週の終値は前週末比105円96銭(0.5%)高と週足ベースでは小幅反発になりました。10/12(月)以降、東証1部の売買代金は連日で2兆円を下回っており、基本的には様子見気分の強い展開になっています。また、米国株式市場も方向感に乏しい展開となっている上、外為市場では10/21(水)以降、ドル・円相場が推移する領域が1ドル105円台から104円台にシフトした形になり、企業業績の改善に冷や水をあびせる様な状況になっています。

そうした中、米大統領選挙まで約1週間と迫ってきました。支持率では、引き続きバイデン氏が優位とみられており、株式市場は、バイデン氏優位を織り込む動きもみられ、このままバイデン氏が勝利すれば、波乱は少ないように思われます。

しかし、予想通りに事態がすすまない可能性もあるでしょう。
米大統領選挙や新型コロナウイルスの感染拡大など、今投資家はどのようなリスクに注意すべきなのでしょうか。

ココがPOINT!

1.様子見気分強く、売買代金が8月以来の低水準

10月の東京株式市場では、日経平均株価が第1週(10/5~10/9)に前週末比589円79銭(2.6%)高と、3週間ぶりの反発となった後、第2週(10/12~16)の終値は前週末比209円6銭(0.9%)安と小幅に下落しました。そして続く10月第3週(10/19~23)の日経平均株価は買い先行となり、10/19(月)は前週末比260円50銭高の23,671円13銭で大引けを迎えました。終値としては2019年終値である23,656円62銭を上回り、2/14(金)以来の高値水準となりました。

その後、日経平均株価は一進一退を繰り返す展開となり、10月第3週の終値は前週末比105円96銭(0.5%)高と、週足ベースでは小幅反発になりました。10/12(月)以降、東証1部の売買代金は連日2兆円を下回り、10/26(月)には1兆5,929億円と8/24(月)以来の低水準になり、様子見気分の強い展開になっています。また、米国株式市場も方向感に乏しい展開になっている上、外為市場で10/21(水)以降、ドル・円相場が推移する領域が1ドル105円台から104円台にシフトした形になり、企業業績の改善に冷や水をあびせる様な状況になっています。

米国時間10/22(木)夜(日本時間10/23午前)には米大統領選挙に向けた最後のテレビ討論会が行われました。初回のテレビ討論会と比較し、終始抑制のとれた議論になった様に見受けられましたが、内容に目新しいものはなく、体制に大きな変化もありませんでした。引き続き支持率ではバイデン氏優位となっていますが、トランプ氏が逆転する可能性や、大統領決定まで時間を要する可能性などが意識され、市場関係者は様子見気分を強めています。

新型コロナウイルスの感染拡大も、気がかりな材料です。10/23(金)には、米国で1日当たりの新規感染者数が83,757人となり、過去最高を記録した他、欧州でも感染者数が増加し、経済活動を制限する国も出てきています。また、世界の新型コロナウイルス新規感染者数も10/23(金)に48.2万人増え、こちらも過去最高記録になっています。

こうした中、米国や日本では2020/7~9期の決算発表が本格化しています。日本時間10/22(木)朝に決算発表を行ったインテルについては、データセンター向けの売上高が予想外に減少する展開となり、内外の半導体関連株に不透明感を与える展開となっています。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/10/19~2020/10/27)

日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
10/19(月) 23671.13 260.50 NY株高を好感。中国経済指標上振れも追い風。2019年末終値を上回る大引け。
10/20(火) 23,567.04 -104.09 米与野党協議への期待が剥落。売買代金は7日連続2兆円割れ。
10/21(水) 23,639.46 +72.42 米追加経済対策の合意に期待感。東証33業種中、31業種が上昇。
10/22(木) 23,474.27 -165.19 マザーズ先物取引一時中断。マザーズ市場が大幅安。
10/23(金) 23,516.59 +42.32 米経済指標改善や金利上昇を追い風に反発。
10/26(月) 23,494.34 -22.25 売買代金およそ2ヵ月ぶりの低水準。村田製が営業利益増加見込みで20年半ぶり高値。
10/27(火) 23,485.80 -8.54 米1日あたりのコロナ新規感染者数が過去最高に。米株安が重荷。

※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/10/27取引時間中。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/10/27現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/10/27取引時間中。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
10/28(水) 日本 日銀金融政策決定会合  
  ★決算発表 ソニー、日立製作所、花王、小松製作、野村総研
米国 ☆決算発表 ビザ、ボーイング、ギリアドサイエンシズ、ビヨンドミート(E)
10/29(木) 日本 黒田日銀総裁会見
  消費動向調査(10月)  
  ★決算発表 NTTドコモ、東京エレク、武田薬、パナソニック、三菱電機
米国 ECB定例理事会(ラガルド総裁会見)  
  7-9月期GDP  
  米新規失業保険申請件数  
  米中古住宅販売仮契約(9月)  
  ☆決算発表 アマゾンドットコム、アップル、フェイスブック、アルファベット
10/30(金) 日本 失業率・有効求人倍率(9月)  
  鉱工業生産  
  ★決算発表 アステラス、村田製作所、塩野義、中部電力、SGホールディングス
米国 米個人所得・個人支出(9月)  
  ☆決算発表 シェブロン、アンダーアーマー、エクソンモービル
11/1(日) 日本 東証、第一部への上場・昇格基準の統一を実施  
  「大阪都構想」の是非を問う2度目の住民投票実施
米国 冬時間入り
11/2(月) 日本 10月自動車販売台数  
  ★決算発表 NTTデータ、伊藤忠テクノソリューションズ、帝人、日本ハム、オリックス
中国 10月Caixin製造業PMI
米国 10月ISM製造業景況指数
  ☆決算発表 エスティローダー、ペイパル・ホールディングス、アリスタネットワークス
11/3(火) 米国 大統領選挙・上下両院選挙
  9月製造業受注
11/4(水) 日本 10月マネタリーベース  
  9 月16・17日開催の日銀金融政策決定会合議事録要旨
  ★決算発表 三菱ケミ、SUBARU、ケーズHD、ニチレイ、横川電、伊藤忠、ソフトバンク
米国 FOMC(~5日)
  10月ADP雇用統計
  9月貿易収支
  ISM非製造業景況指数
  米連邦地裁「TikTok」利用全面禁止を審理
  ☆決算発表 アルベマール、アンシス、クアルコム
11/5(木) 日本 ★決算発表 任天堂、ダイキン、三井不、クボタ、アサヒ、アコム、エーザイ
11/6(金) 日本 9月家計調査  
  9月毎月勤労統計調査
  ★決算発表 NTT、トヨタ、本田技研、国際帝石、キリン、ユニ・チャーム、シャープ
米国 ☆決算発表 AIG、ボール、3Dシステムズ、GM、スクエア、ウーバー・テクノロジーズ

※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年 2021年
日銀金融政策決定会合 10/29(木)、12/18(金) 1/21(木)、3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 11/5(木)、12/16(水) 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水)

ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合

10/29(木)、12/10(木) 1/21(木)、3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木)

※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。
なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2.投資家が注意すべきリスク要因は?

米大統領選挙まで約1週間と迫ってきました。現在の支持率をブルームバーグの特集サイトからみると、バイデン氏50.8%、トランプ氏43.0%となっており、バイデン氏優位の構図に変化はないように見受けられます。なお、前回の大統領選挙での選挙直前の支持率はクリントン氏46.8%、トランプ氏43.8%で、今回の支持率の方が差が大きいことは確かです。こうした中、米株式市場は、バイデン氏優位を織り込む動きもみられ、このままバイデン氏が勝利すれば波乱は少ないように思われます。

バイデン氏が勝利した場合は、環境・クリーンエネルギー関連銘柄が買われる可能性がありそうです。その理由は同氏が気候変動などに対して、発電所などのインフラ整備費用を4年間で計2兆ドル投資する環境政策を発表しているためです。我が国でも菅首相が「2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロ」とする目標を提唱しており、関連銘柄のテーマとして“環境”が再び注目される可能性は小さくありません。

ただ、米大統領選挙は支持率だけではあてにならないのが現実です。前回も、支持率ではクリントン氏が優位でしたが、最後にはトランプ氏が勝利しました。米大統領選挙では、州ごとに勝者が選挙人を総取りするため、激戦州で勝利を収めるかどうかが鍵を握ることになるため、トランプ氏が巻き返す可能性も残ります。

仮にバイデン氏が当選しても、トランプ氏が結果を不当として認めず、抵抗を試みる可能性があり、この場合、株価が世界的に大きく下落する可能性が膨らんできます。

なお、トランプ氏が勝利した場合は、株式市場はイベントリスク後退を受けて、買い先行になる可能性が大きいと思われます。ただ、大統領選挙を経て、民主主義への信認がひどく痛手を受ける可能性があり、長期的には課題が残されるかもしれません。

トランプ政権での新型コロナウイルス感染症対策について、対応が不十分との批判もある中、注意しなければならないことは
同国での感染が再加速する可能性です。図4は世界の新型コロナウイルスの新規感染者数、死亡者数をグラフ化したものです。10/23(金)には新規感染者数が1日で83,700人と過去最高を記録し、死亡者数も増加の兆しをみせており、注意が必要です。

新型コロナウイルスについては、欧州などで感染が再拡大し、死亡者数も急速に増えています。当面は世界的に低金利の長期化と、経済活動の制限などが長期化するメインシナリオになりそうです。米大統領選挙でどちらが大統領になるにせよ、年後半にかけてはこうした新型コロナウイルスや、景気回復の息切れに対する対応が必要になり、引き続き予断は許さない状況が続くように思われます。

図4 新型コロナウイルスの感染状況

※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。「欧州他」は「欧州・中東・アフリカ」を指しています。

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