225の
『ココがPOINT!』

歴史に学ぶ「大相場のパターン」~今後の上昇余地について探る~

2020/11/17
投資情報部 鈴木英之

11月の東京株式市場は強い展開となっています。
日経平均株価は11月に入り、11/17(火)までの11営業日で「10勝1敗」と上昇基調となり、2018年以降3回トライして跳ね返されてきた24,000円前半の壁を突破し、一時26,000円を超える水準まで上昇してきました。これは1991/5/14(火)以来、およそ29年6ヵ月ぶりの水準となります。

日経平均株価はもう十分上昇し、今後は反落に注意すべきなのでしょうか。
それとも、今後の上昇余地は大きいのでしょうか。
今回の225の『ココがPOINT!』では、“大相場”の歴史に学び、今回も同様の状況が起きるのか、考えてみます。

ココがPOINT!

1.日経平均株価は29年半ぶりに26,000円台

11月の東京株式市場は強い展開となっています。
日経平均株価は11月に入り11/17(火)まで、11営業日で「10勝1敗」と上昇基調となり、2018年以降3回トライして跳ね返されてきた24,000円前半の壁を突破し、一時26,000円を超える水準まで上昇してきました。これは1991/5/14(火)以来29年6ヵ月ぶりの水準となります。

米大統領選挙は11/3(火)に投票が行われ、日本時間11/4(水)より各州で続々と開票が行われましたが、株価はそれに先立ち、11/2(月)から国内外で上昇を始め、トランプ氏優位の局面でもバイデン氏優位の局面でも、変わらず上昇基調となりました。過去の株価のパフォーマンスをみても、民主党大統領と共和党大統領に差は少なく、要は米大統領選挙というイベントリスクの通過を待って、株式市場は動き始めたことになります。

東証1部の売買代金は10/12(月)から10/27(火)まで、12営業日連続で2兆円を下回る「閑散商状」となり、多くの市場参加者は様子見を決め込む状況となっていました。しかし、その後はすべての営業日おいて、売買代金は2兆円を超える展開になり、11/10(火)には5ヵ月ぶりに4兆円まで膨らみました。投資家のスタンスの変化が、選挙前と後では大きく異なってきたことを売買代金の推移は示しています。

この間、新型コロナウイルスの感染拡大はいっそう加速することになりました。世界の新規感染者数は10月、1日当たり40万人弱(死亡者数は同6千人)のペースで増えましたが、11月の新規感染者数は11/15現在で同55.6万人(死亡者数は8千人超)ペースの増加に加速しています。米国は大統領選挙での大規模集会実施や、その後の政権移行に伴う権力の空白状態の長期化もあり、目先の感染加速は避けられないような状態です。ただ、株式市場がこれらを嫌気して下げた場面はそれほど多くみられませんでした。

米国のファイザー社が新型コロナウイルスワクチンの治験で90%を超える有効性を発表した他、モデルナ社も新型コロナウイルスワクチンの治験で94.5%の有効性があることを発表するなど、ここにきてワクチン接種の実現につながるような材料が相次いでいます。このため、新型コロナウイルスの感染拡大やそれによる経済の悪化懸念を、ワクチン実用化の期待が上回る形となり、株価の上昇キープにつながっています。

もっとも、日経平均株価のテクニカル指標には過熱感を示唆するものも出始めました。慎重な運用を求められるワクチン治験に対し、株式市場の反応はやや前のめりになっているような印象も強まっています。株価が乱高下となる可能性にも注意が必要です。

表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/11/9~2020/11/17)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
11/9(月) 24,839.84 +514.61 米国時間11/7(土)にバイデン氏が勝利宣言を発し、さらにリスクオンが進展。
11/10(火) 24,905.59 +65.75 新型コロナ向けワクチンが治験で90%の有効性を示し、米国株高。日経平均も買い先行。
11/11(水) 25,349.60 +444.01 米でイーライ・リリーのコロナ抗体薬緊急使用許可を承認など、好材料で景気回復期待高まる。
11/12(木) 25,520.88 +171.28 日経平均が年初来高値連日更新。一方、景気敏感株などの一角が新型コロナ第3波懸念で下落。
11/13(金) 25,385.87 -135.01 9日ぶりに反落。米新型コロナ感染者増加で景気回復鈍化懸念強まる。
11/16(月) 25,906.93 +521.06 米株高を追い風に日経平均株価は2020年6月16日以来の上げ幅に。
11/17(火) 26,014.62 +107.69 日経平均が1991年5月以来、およそ29年6ヵ月ぶりに2万6,000円台回復。

※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図1 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2020/11/17取引時間中。

図2 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは米国時間2020/11/17現在。

図3 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2020/11/17取引時間中。

表2 当面の重要スケジュール

月日(曜日) 国・地域 予定内容 ポイント
11/18(水) 日本 10月貿易統計  
    10月訪日外客数
  米国 10月住宅着工件数
    10月建設許可件数
11/19(木) 日本 10月首都圏新築マンション発売  
    ★決算発表 SOMPO HD、MS&AD、東京海上
  米国 11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数
    10月中古住宅販売件数
11/20(金) 日本 10月消費者物価  
  - APEC首脳会議(オンライン形式)
11/21(土) - G20サミット(~22日オンライン形式)  
11/24(火) 日本 10月全国百貨店売上高
  ドイツ 11 月Ifo景況感指数
  米国 9月FHFA住宅価格指数
    9月S&PコアロジックCS住宅価格指数
    11月CB消費者信頼感指数
11/25(水) 日本 10月企業向けサービス価格指数  
  米国 10月個人取得・個人支出
    10月耐久受注
    7-9月期GDP改定値
    10月新築住宅販売件数
    11月4・5日開催のFOMC議事録
11/26(木) 米国 休場(感謝祭)  

※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

表3 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2020年 2021年
日銀金融政策決定会合 12/18(金) 1/21(木)、3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 12/16(水) 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 12/10(木) 1/21(木)、3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木)

※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。 なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2.日本経済の「ピンチ」の後に「チャンス」(大幅上昇)あり!?

過去、平成バブル以降の日本経済と日経平均株価の動きを振り返ったとき、大きな上昇相場が発生するときにはひとつのパターンが観測されているようです。
それは、「日本経済の“ピンチ”の後に“チャンス(大幅上昇)”あり」となるパターンが多いことです。

平成バブルはその入り口で、「プラザ合意」(1985/9)があり、同会議後に急速な円高が進み、日本の輸出産業は壊滅するのではないかという恐怖に襲われました。そうした変化から日本経済を守るべく、日銀が未曽有の金融緩和を進め、株式のみならず土地や絵画など、多くの資産価値が上昇に転じました。これが「平成バブル(前期)」です。[図4の(1)]

その後、日銀を含め、世界の中央銀行は金利の正常化を指向し始めましたが、株価が大暴落となった「ブラックマンデー」(1987/10)が起きたため、金融引き締めは中途半端に終わらざるを得ませんでした。これを受け、日経平均株価は再び上昇し、日経平均株価は史上最高値(89年末 38,915円)を記録しました。これが「平成バブル(後期)」です。[図4の(2)]

こうして、日本経済は「失われた20年」(この年数にはさまざまな呼び方があります)に突入します。金融部門に“不良債権”という形でひずみが起き、97/4の消費税引き上げや同年7月から本格化したアジア通貨危機に襲われ、ついに耐え切れなくなりました。97年秋および98年秋には大手銀行・証券が立て続けに破綻する「金融危機」へと発展し、“ITバブル”はそうした金融危機からの回復局面と、インターネットの勃興という技術革新が重なって展開しました。[図4の(3)]

ITバブルの崩壊は、日経平均株価や指数でみると少し緩やかにみえますが、個別銘柄での下落ピッチの酷さは、平成バブルの崩壊を超えるものがありました。その後、企業同士の株の持ち合いや、厚生年金の株式保有が忌避される状態の中で、民間の厚生年金の運用にかかる代行部分を国に返上するという動きがあり、株式市場の需給関係は大幅に悪化しました。しかし、2003/4頃にはそうした需給の悪化も一巡し、日経平均株価は反発に転じました。日経平均株価は、これをもってようやくバブル崩壊の後遺症を克服できたように思われます。[図4の(4)]

2018年以降、日経平均株価は24,000円台前半まで何回か上昇したものの、その壁を破れませんでした。
米中貿易戦争を契機に日本が拠り所としてきた自由貿易体制が動揺を極めた他、2020年には新型コロナウイルスの感染拡大が脅威となりました。しかし、2020/11となり、米大統領選挙の終了や、新型コロナウイルスに対するワクチンの開発が進展し、日経平均株価はこの壁を突破してきました。米国のFRB(米連邦準備制度理事会)は2023年までは現在の低金利政策を続ける方針です。過剰流動性を背景とする相場は「ここからが本番」となるのかもしれません。

図4 日本経済の「ピンチ」の後に「チャンス」(大幅上昇)あり!?

(1)「円高不況」から平成バブル(前期)へ

※期間:1985/6/3~1986/5/30
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

(2)「ブラックマンデー」から平成バブル(後期)へ

※期間:1987/1/5~1989/12/29
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

(3)「金融危機」からITバブル(ドットコム・バブル)へ

※期間:1997/9/1~2000/3/31
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

(4)「持合解消・代行返上」からの回復

※期間:2003/1/6~2007/10/31
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

図5 「新型コロナウイルスの脅威」から回復?

※期間:1983/1/4~2020/11/13
※BloombergデータをもとにSBI証券が作成。

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