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『ココがPOINT!』

2021年1月相場は"買い場"となる可能性も?

2021/1/5
投資情報部 鈴木英之

2020年の日経平均株価は、年間で16.0%上昇して終わりました。
2019年は年間18.2%の上昇でしたので、2年連続で10%超の上昇となりました。年間を通じ、新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われましたが、逆に世界的な金融緩和や財政出動の実施につながり、過剰流動性が一層強化される展開になりました。

2021年1月5日(火)の日経平均株価終値は続落し、冴えないスタートとなっていますが、下落局面は“買い場”になる可能性もあるため、株価の動向に注目が高まります。
はたして、2021年1月相場は“買い場”となるのでしょうか。

ココがPOINT!

1.2020年の日経平均株価は年間で16.0%上昇

日経平均株価は2019年末23,656円62銭から2020年末は27,444円17銭となり、年間で16.0%上昇して終わりました。
2019年は18.2%の上昇だったため、2年連続で10%超の上昇となりました。

2020年は年間を通じ、新型コロナウイルスの感染拡大に見舞われましたが、逆に世界的な金融緩和や財政出動の実施につながり、過剰流動性が一層強化される展開になりました。米国市場でも年間でNYダウが7.2%、ナスダックが43.6%上昇するなど、株価が上昇基調となり、日本株にも好影響を及ぼしました。

ただし、年間を四半期毎に分けて考えた場合、第1四半期(1~3月)は新型コロナウイルスの感染が中国から、日本を含むアジアそして欧米へと広がり始めた中、未知の感染症に株式市場も振り回される展開となり、大きな波乱になりました。
特に3月は、WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言する中、米国でも急速に新型コロナウイルスの感染が拡大し、3/16(月)にはNYダウが過去最大の下げ幅(-2,997ドル10セント)を記録しました。日経平均株価は3/19(木)の取引時間中に16,358円19銭まで下げ、ここが年間の安値となり、結局第1四半期は前年末比20.0%下落して終わりました。

第2四半期(4~6月)は、新型コロナウイルス感染拡大防止への対応が各国で進み、株価は世界的に反発に転じました。日本でも4/27(月)に日銀が国債買い入れ枠を無制限に拡大したこともあり、株価は反発に転じ、この四半期の日経平均株価の上昇率は17.8%に達しました。

その後も日経平均株価は上昇基調となり、第3四半期(7~9月)は4.0%上昇、第4四半期(10~12月)は18.4%上昇となりました。過剰流動性を背景に、株式市場の需給が好転したことに加え、新型コロナウイルス向けのワクチン開発に関し、良好なニュースが続いたことから、市場関係者は経済回復への期待を強めました。この間、8/28(金)に安倍前首相の辞意表明など国内政治では波乱の局面もありましたが、菅首相への継投がスムーズに完了したこともあり、株価波乱は回避されました。

一方、米国では11/3(火)に大統領選挙が行われ、大接戦の結果、民主党のバイデン氏が新大統領に就任する予定となっています。トランプ大統領が明確な敗北宣言を行わず、モヤモヤとした状態が続く中、米株式市場は選挙終了後から上昇基調を強めました。そうした中、日経平均株価は11/6(金)に29年ぶりの高値水準を回復し、跳ね返され続けてきた24,000円前半の上値抵抗ラインを突破し、その後の日経平均株価は「保ち合い放れ」から急騰する展開になりました。

図表1 日経平均株価の値動きとその背景(2020/12/29~2021/1/5)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
12/29(火) 27,568.15 +714.12 米追加経済対策の成立を追い風におよそ30年4ヵ月ぶりの高値水準を回復。
12/30(水) 27,444.17 -123.98 利益確定売りが優勢で3日ぶりに反落。年終値は1989年以来の高値。
1/4(月) 27,258.38 -185.79 首都圏で緊急事態宣言の再発令を検討で、景気回復鈍化懸念。
1/5(火) 27,158.63 -99.75 国内外の新型コロナ感染拡大に加え、米ジョージア州の上院選決選投票前で警戒感。

※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとにSBI証券が作成。データは2021/1/5取引時間中。

図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2021/1/5現在。

図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。データは2021/1/5取引時間中。

図表5 当面の重要スケジュール

月日 国・地域 予定内容 ポイント
1/5(火) 日本 マネタリーベース  
  アメリカ 12月ISM製造業景況指数 米製造業のマインドは?
    米連邦議会上院選挙、ジョージア州の決戦投票 結果により、上院の多数党が決定?
1/6(水) 日本 12月消費動向調査  
  アメリカ 12月ADP雇用統計
    11月製造業受注
    12月15・16日開催のFOMC議事録
    12月J.P.モルガン・グローバルコンポジットPMI  
1/7(木) 日本 11月毎月勤労統計調査  
  アメリカ 11月貿易収支
    12月ISM非製造業景況指数 雇用や新規受注等の指標にも注意か
1/8(金) 日本 11月家計調査
    11月景気動向指数
    オプションSQ
  アメリカ 12月雇用統計 市場コンセンサスは非農業部門雇用者数80千人増
    11月消費者信用残高  
1/11(月) 日本 成人の日  
1/12(火) 日本 12月景気ウォッチャー調査  
1/13(水) 日本 12月マネーストック  
1/14(木) 日本 11月機械受注  
    12月国内企業物価指数  
    12月都心オフィス空室率  
  アメリカ 12月輸出入物価  
1/15(金) 日本 11月第三次産業活動指数  
  アメリカ 12月生産者物価  
    1月NY連銀製造業景気指数  
    12月鉱工業生産・設備稼働率  
    1月ミシガン大学消費者マインド指数  
1/16(土) 日本 大学入学共通テスト実施(~17日)  

※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2021年
日銀金融政策決定会合 1/21(木)、3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 1/21(木)、3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木)

※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。 なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2.1月は「買い場」になる可能性も?

1/4(月)の東京株式市場は午前10時に、昨年末比で401円超の水準まで下げるなど「波乱の前兆」を意識させる展開となりました。その後は下げ渋る展開となりましたが、1/5(火)も続落するなど、2021年は冴えないスタートとなっています。

1/4(月)の東京株式市場が売り先行となった背景には菅首相が、新型コロナウイルスの感染拡大に対し、緊急事態宣言の再発令の検討を表明したことなどがあげられます。詳細な実施内容については明らかにされていませんが、外での飲食の制限や、「Go To トラベル」の一時停止措置解除の延長などが中心になると考えられます。こうしたことから、短期的な経済への影響は避けられないとみられ、それを警戒した売りが広がった形になりました。
また、現地時間1/5(火)に米ジョージア州で実施される上院決選投票での2議席の帰趨等もイベントリスクになり、これらの動きに合わせ、外為市場で円高・ドル安が進んだことも、投資家の不安をあおった可能性がありそうです。

なお、1/4(月)の東京株式市場の変動率の大きさに気を取られがちですが、過大評価すべきではないように思われます。
その理由としては、過去の大発会の日経平均株価の変動幅は2020年が451円安、2019年が452円安、2018年が741円高、2017年が479円高、2015年が582円安と、比較的大きく動く傾向にあり、2021年の大発会の動きは特異とは言い切れないと思います。

株価は1月に上がりやすいという印象を持っている投資家は多いかもしれません。
株式市場には「1月効果」という言葉があり、年末は税金対策としての売りが出やすいが、年が替わると機関投資家に新規資金が入ってきやすいといった解説も見られます。米主要株価指数であるS&P500でみた場合、過去10年の1月の騰落率は平均で1.5%あり、データ的にも上がりやすい傾向にあります。

ただ、月次別の騰落率を比較した場合、1月の上昇率が特に大きいという訳ではありません。1月の平均騰落率は過去10年間で第5位となっています。単純に平均上昇率が大きい月で表現するならば、むしろ「4月効果」や「11月効果」という表現を採用すべきかもしれません。

さらに、日経平均株価の場合、1月の月間騰落率については、2016年の8.0%下落、2014年の8.5%下落、2009年の9.8%下落、2008年の11.2%下落など大幅安の記録が目立ち、過去10年間で平均0.1%下落、過去30年間でも平均0.2%下落と冴えない傾向にあります。1月は株価が上昇しやすいことを示唆する「1月効果」という表現があるものの、日本株には当てはまりにくいかもしれません。このため、短期的には波乱の展開に注意が必要と思われます。

緊急事態宣言の再発令によって、東京でのオリンピックやパラリンピックの開催の可能性が上昇するのであれば、株式市場にとってはむしろ好材料になる可能性がありそうです。昨年の緊急事態宣言では、発令日以降の株価は上昇基調となっており、株式市場は同宣言を売り材料とは捉えていない可能性が大きいように思われます。

少なくとも年前半は、緩和的金融政策の下で過剰流動性が強まり、日本株の上昇基調は続くことが予想されます。
12/22付の当レポートで示した様に、2021年の日経平均の高値は30,000円程度と考えており、予想に変化はありません。したがって、波乱含みの1月のアノマリーや緊急事態宣言発令などに絡み、株価が下げるようであれば、そこが買い場になる可能性が大きいと思います。

図表7 過去30年の日経平均株価が月別平均騰落率

※日経平均株価データをもとにSBI証券が作成。日経平均の月間騰落率を過去30年分集計し、月ごとに単純平均を計算したものです。あくまでも過去の騰落データであり、将来の騰落を示唆するものではありません。

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