225の
『ココがPOINT!』
≪今の株価はバブルなのか≫日経平均約30年5ヵ月ぶりの高値回復でどう理解すべきか
投資情報部 鈴木英之
日経平均株価の1月第1週(1/4~1/8)終値は前年末(2020/12/30)比で694円86銭(2.5%)高となり、終値ベースでは1990/8/8(水)以来、約30年5ヵ月ぶりの高値水準を回復しました。米上院決選投票で民主党が2勝し、「ブルーウェーブ」となったことから、次期政権での大規模な財政出動への期待が高まった他、ISM製造業指数の上昇や原油価格の上昇も好感され、米国など主要国の株価指数が上昇した流れを引き継ぎました。
1/7(木)に1都3県を対象とする緊急事態宣言が再発令されたことにより、国内需要を中心とする景気の減速・悪化などが懸念され、失業の増加も心配されます。上昇傾向の株価と、不安材料の多い景況感を考えれば「株価はバブルではないのか」という疑問が増えてきても不思議ではないと考えられます。
では、投資家としては日本国内の株式市場の現状をどう理解すべきでしょうか。
ココがPOINT!
1.日経平均株価が28,000円台~約30年5ヵ月ぶりの高値水準を回復
日経平均株価の1月第1週(1/4~1/8)終値は28,139円03銭となり、前年末(2020/12/30)比694円86銭(2.5%)高、週足ベースでは12月第5週(12/28~12/30)が3.0%の上昇でしたので、続伸となりました。なお、1/8(金)の終値ベースでは、1990/8/8(水)以来、約30年5ヵ月ぶりの高値水準を回復しました。
また、東証1部の売買代金は利益確定売りをこなしながら上昇し、1/8(金)には3兆円を超え、11/30(月)以来の高水準となりました。
一方、1月第1週(1/4~1/8)のNYダウは前年末比1.6%高と週足ベースで4週続伸し、終値は史上初めて31,000ドル台に乗せてきました。 ジョージア州で5日実施の上院決選投票を控え、年初の1/4(月)こそ売り優勢(382ドル安)となったものの、1/5(火)~1/8(金)はイベントリスクが通過し、4営業日続伸(累計874ドル高)となりました。
上院決選投票は結局、民主党が2勝し、大統領、議会上院、議会下院でいずれも民主党が支配する「ブルーウェーブ」となり、次期政権への大規模な財政出動への期待が高まりました。また、前日にトランプ大統領支持派による議事堂侵入という暴動があったものの、1/7(木)にはペンス副大統領がバイデン氏の勝利を正式に発表し、混乱収拾に目途がついたことで安心感につながりました。その他、ISM製造業指数の上昇や原油価格の上昇も好感されました。
このように、米国株をはじめ、主要国の株式市場で上昇基調が続いたことや、米債券市場で10年国債利回りが昨年末0.917%から1/8(金)に1.119%へ上昇したことから円安・ドル高が進んだことなどが、日経平均株価に追い風となりました。
世界の新型コロナウイルスの新規感染者数は、1/11(月)には9,000万人を超え、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いています。日本でも新規感染者数が1日当たり平均で4,415人、死亡者数も同57人増加となりました。こうした流れを受け、菅首相は1/7(木)に1都3県への緊急事態宣言の再発令を決定し、1/8(金)から2/7(日)までの1ヵ月間、飲食店を中心に営業時間の短縮などを要請しました。
ただ、こうした新型コロナウイルスの感染拡大が株価下落の直接的な要因になることはなく、むしろ米国での大規模な財政出動や低金利長期化への期待感の高まりなどが、株価上昇につながっています。日経平均株価は、緊急事態宣言発令の1/7(木)に434円19銭高、その翌日の1/8(金)に648円90銭高と上昇し、アク抜けの形になっています。
図表1 日経平均株価の値動きとその背景(2021/1/5~2021/1/12)
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
1/5(火) | 27,158.63 | -99.75 | 国内外の新型コロナ感染拡大に加え、米ジョージア州の上院選決選投票前で警戒感。 |
1/6(水) | 27,055.94 | -102.69 | 日経平均は4日続落。一方、新興株は高く、4日ぶりに反発。 |
1/7(木) | 27,490.13 | +434.19 | 米株高を受け、5日ぶりの反発。米新政権の財政支出に期待感。 |
1/8(金) | 28,139.03 | +648.90 | およそ30年5ヵ月ぶりの高値更新。米新政権へのスムーズな移行に期待高まる。 |
1/12(火) | 28,164.34 | +25.31 | 一進一退の値動きも小幅に続伸。一部では緊急事態宣言の地域拡大で景気減速懸念も。 |
図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表5 当面の重要スケジュール
月日 | 国・地域 | 予定内容 | ポイント |
1/12(火) | 日本 | 12月景気ウォッチャー調査 | |
☆決算発表 | セブン&アイ・ホールディングス、コスモス薬品、安川電機他 | ||
1/13(水) | 日本 | 12月マネーストック | |
12月工作機械受注 | |||
☆決算発表 | イオン、エービーシー・マート、久光製薬他 | ||
アメリカ | 12月消費者物価 | ||
12月財政収支 | |||
☆決算発表 | |||
1/14(木) | 日本 | 11月機械受注 | |
12月国内企業物価指数 | |||
12月都心オフィス空室率 | |||
☆決算発表 | ファーストリテイリング、ベイカレント・コンサルティング他 | ||
アメリカ | 12月輸出入物価 | ||
中国 | 12月貿易収支 | ||
1/15(金) | 日本 | 11月第三次産業活動指数 | |
アメリカ | 12月生産者物価 | ||
1月NY連銀製造業景気指数 | |||
12月鉱工業生産・設備稼働率 | |||
1月ミシガン大学消費者マインド指数 | |||
★決算発表 | シティグループ、JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー他 | ||
1/16(土) | 日本 | 大学入学共通テスト実施(~17日) | |
ドイツ | ドイツ与党のキリスト教民主同盟(CDU)党大会。新党首選出。 | ||
1/17(日) | 日本 | 阪神・淡路大震災から26年 | |
1/18(月) | 日本 | 通常国会召集の予定 | |
アメリカ | 休場(キング牧師生誕日) | ||
中国 | 10-12月期GDP | ||
12月工業生産 | |||
12月小売売上高 | |||
12月都市部固定資産投資 | |||
1/19(火) | アメリカ | 11月対米証券投資 | |
★決算発表 | バンク・オブ・アメリカ、ネットフリックス他 | ||
ドイツ | 1月ZEW景況感指数 |
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)
2021年 | |
日銀金融政策決定会合 | 1/21(木)、3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 1/27(水)、3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 1/21(木)、3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木) |
2.今の株価はバブルなのか?
株価は景気の現状を反映するだけのものではなく、上場企業の資産や業績見通しも反映するものと考えられます。
図表7は、日経平均株価とその純資産を比較したものです。
2011年1月末の終値10,237円から、約10年後となる直近1/8(金)の終値28,139円で比較すると、日経平均株価は2.75倍になりましたが、それは同期間にBPSが2.66倍になったことと、大きなかい離はないと考えられます。日経平均株価はBPSの1.3倍程度、すなわちPBR1.3倍程度は許容範囲であり、現状では22,692円(BPS)の1.3倍に相当する29,499円は許容範囲であると考えられ、多少の誤差も考えれば、日経平均株価30,000円も許容範囲内であると考えられます。
同様に、現在約1,000円の日経平均予想EPS(1株利益)が来期4割程度増えると仮定すると、日経平均株価30,000円の時の予想PERは21.4倍程度と計算されます。こちらも割安とは考えにくいものの、「バブル」とは表現しにくい水準と考えられます。すなわち、日経平均株価はPBRやPER等の指標でみる限り、極端に割高とはいえないと考えられます。
米国株をけん引しているのがGAFAM(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)と称される巨大IT企業ですが、来期の予想EPS(Bloomberg集計・調整後)をベースとした予想PERの単純平均は約32倍(1/11現在)と計算され、かなり評価が進んでいるようにみられます。時価総額面でこの一角に入ってきたテスラの予想PERは200倍を超えてきており、これらが株価を維持できるか否かも課題になってきそうです。
また、買収する企業が決定していない中、その資金枠だけを確保するに等しいSPAC(特別買収目的会社)が、先進的な金融工学のたまものなのか、株式市場の「行き過ぎ」なのかという点も注目したいところです。
このように、日本株を全般としてみれば、必ずしも「バブル」とは言い難いのですが、銘柄間の比較を行うと、すでに割高な水準まで買われた銘柄と、割安なまま放置されている銘柄が混在しているのが日本の株式市場であると言えそうです。したがって、個別にみれば「バブル」がはじけてしまう銘柄も出てくる可能性があるでしょう。
図表7 日経平均株価(月足)とBPS、PBR1.2倍・PBR1.3倍水準
相場が大きく動いたら?
SBI証券なら多彩な商品群で取引チャンスを逃がしません!
- 国内株式
レパレッジ型ETFを活用すれば、日経平均の急な動きにも対応可能!
- 外国株式
米国株式、中国株式を含めた9ヵ国に投資!海外ETFで分散投資も可能です!
- 投資信託
日本の株式市場の動きを予測して短期でハイリターンを狙えるファンドがあります!
- FX
約5,000円から取引できる!ほぼ24時間取引&手数料はもちろん0円!
- 先物・オプション
日経平均に少ない資金で投資できる!レバレッジを効かせて、大きな利益を狙え!
- CFD
先進諸国の株価指数がほぼ24時間取引可能!特徴を理解することが勝利への道!
- ワラント
ダイナミックな値動きがeワラントの特徴!商品の魅力を知るなら必見!
- 金・プラチナ
有事の際の金・プラチナでリスクヘッジも!ほぼ24時間リアルタイムで取引可能!
先物・オプション取引
先物・オプション取引を
はじめるには
先物・オプションのお取引には、先物・オプション取引口座の開設が必要になります。
※PCでのお手続きを推奨しております
当社の総合口座をお持ちでないお客さま
先物・オプション取引関連ページ
信用取引のご注意事項
-
-
・信用取引に関するリスク
信用取引は、差し入れた委託保証金額の約3倍の取引を行うことができます。そのため、現物取引と比べて大きなリターンが期待できる反面、時として多額の損失が発生する可能性も含んでいます。また、信用取引の対象となっている株価の変動等により、その損失の額が、差し入れた委託保証金額を上回るおそれがあります。この場合は「追加保証金」を差し入れる必要があり状況が好転するか、あるいは建玉を決済しない限り損失が更に膨らむリスクを内包しています。
追加保証金等自動振替サービスは追加保証金が発生した際に便利なサービスです。 -
・信用取引の「二階建て」に関するご注意
委託保証金として差し入れられている代用有価証券と同一銘柄の信用買建を行うことを「二階建て」と呼びます。当該銘柄の株価が下落しますと信用建玉の評価損と代用有価証券の評価額の減少が同時に発生し、急激に委託保証金率が低下します。また、このような状況下でお客さま自らの担保処分による売却や、場合によっては「追加保証金」の未入金によって強制決済による売却が行われるような事態になりますと、当該株式の価格下落に拍車をかけ、思わぬ損失を被ることも考えられます。よって、二階建てのお取引については、十分ご注意ください。 - もっと見る 閉じる
-
・信用取引に関するリスク
先物・オプション取引の免責事項・注意事項
-
- ・本資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本資料に基づいてお客さまが損害を被ったとしても当社、および情報発信元は一切その責任を負うものではありません。本資料は著作権によって保護されており、無断で転用、複製、または販売等を行うことは固く禁じます。
-
・必要証拠金額は当社SPAN証拠金(発注済の注文等を加味したSPAN証拠金×100%)-ネット・オプション価値(Net Option Value)の総額となります。
・当社SPAN証拠金、およびネット・オプション価値(Net Option Value)の総額は発注・約定ごとに再計算されます。
・SPAN証拠金に対する掛け目は、指数・有価証券価格の変動状況などを考慮のうえ、与信管理の観点から、当社の独自の判断により一律、、またはお客さまごとに変更することがあります。
・「HYPER先物コース」選択時の取引における建玉保有期限は新規建てしたセッションに限定されます。必要証拠金額はSPAN証拠金×50%~90%の範囲で任意に設定が可能であり、また、自動的に決済を行う「ロスカット」機能が働く取引となります。
・先物・オプションのSPAN証拠金についてはこちら(日本証券クリアリング機構のWEBサイト)
・指数先物の価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。市場価格が予想とは反対の方向に変化したときには、比較的短期間のうちに証拠金の大部分、またはそのすべてを失うこともあります。その損失は証拠金の額だけに限定されません。また、指数先物取引は、少額の証拠金で多額の取引を行うことができることから、時として多額の損失を被る危険性を有しています。
・日経平均VI先物取引は、一般的な先物取引のリスクに加え、以下のような日経平均VIの変動の特性上、日経平均VI先物取引の売方には特有のリスクが存在し、その損失は株価指数先物取引と比較して非常に大きくなる可能性があります。資産・経験が十分でないお客さまが日経平均VI先物取引を行う際には、売建てを避けてください。
・日経平均VIは、相場の下落時に急上昇するという特徴があります。
・日経平均VIは、急上昇した後に数値が一定のレンジ(20~30程度)に回帰するという特徴を持っています。
・日経平均VIは、短期間で急激に数値が変動するため、リアルタイムで価格情報を入手できない環境での取引は推奨されません。
・指数オプションの価格は、対象とする指数の変動等により上下しますので、これにより損失を被ることがあります。なお、オプションを行使できる期間には制限がありますので留意が必要です。買方が期日までに権利行使又は転売を行わない場合には、権利は消滅します。この場合、買方は投資資金の全額を失うことになります。売方は、市場価格が予想とは反対の方向に変化したときの損失が限定されていません。また、指数オプション取引は、市場価格が現実の指数に応じて変動しますので、その変動率は現実の指数に比べて大きくなる傾向があり、場合によっては大きな損失を被る危険性を有しています。
・未成年口座のお客さまは先物・オプション取引口座の開設は受付いたしておりません。
・「J-NETクロス取引」で取引所 立会市場の最良気配と同値でマッチングする場合、本サービスをご利用いただくお客さまには金銭的利益は生じないものの、SBI証券は取次ぎ手数料をSBIジャパンネクスト証券から受取ます。
・J-NETクロス取引の詳細は適宜修正される可能性がありますのでご留意ください。 - もっと見る 閉じる