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『ココがPOINT!』

≪3月相場の展望≫米金利上昇で株安説は本当に正しいのか

2021/3/2
投資情報部 鈴木英之

2月相場が終わりました。
日経平均株価は月末終値が前月末比1,302円62銭(4.7%)高となり、月足で4ヵ月連続上昇し、一時1990/8以来となる3万円の大台を回復しました。
新型コロナウイルス向けワクチンの先行接種が開始されたことで経済回復期待が強まり、株価も世界的に上昇基調が続きました。
こうした中、月末に米長期金利が急上昇したことで警戒感が高まり、米株式市場で株価が下落。2/26(金)の東京市場では、日経平均株価が前日比1,202円26銭安でおよそ4年半ぶりの下落幅となり、終値は再び3万円台を割り込みました。
3/1(月)は米長期金利の上昇一服で安心感が広がり反発となりましたが、「バブル崩壊」を主張する声もあります。
そこで今回は、波乱の継続が警戒される3月相場について予想します。

ココがPOINT!

1.2月の日経平均株価は一時3万円台回復も、月末に波乱。

2月の日経平均株価は第1週(2/1~2/5)3.9%高、第2週(2/8~2/12)2.6%高と、続伸してスタートしました。
1月下旬に米国でみられた個人投資家の投機的な動きに対する懸念が一巡。さらに、新型コロナウイルス向けワクチンの接種普及や、米追加経済対策への期待などを背景に、世界的な経済回復を織り込もうとする動きが本格化しました。この勢いは2月第3週(2/15~2/19)前半も続き、日経平均株価は2/15(月)に1990/8/2(木)以来となる3万円の大台を回復しました。

1月下旬以降、2020/10~12月期の決算発表が行われてきました。特に2月前半は多くの企業から好決算が続き、そのことも日本株の追い風になりました。日経平均株価は2/16(火)に一時30,714円52銭まで上昇し、終値も30,467円75銭と、1990/8/1(水)以来の高値水準回復となりました。

決算発表が一巡し、好決算というプラス材料が提供されなくなった2/17(水)の日経平均株価は上昇一服に。こうした中、米国株式市場では、米長期金利が上昇スピードの加速とともに同国のグロース銘柄に影響し始め、それらの銘柄構成比が高いナスダック指数は2/12(金)に過去最高値を更新した後、2月後半は上昇一服の展開となりました。

この流れを受け、2月第3週(2/15~2/19)の日経平均株価は1.7%高と、上昇を維持したものの、第4週(2/22~2/26)は4週ぶりの下落(3.5%安)となりました。特に、2/26(金)の日経平均株価は前日比1,202円26銭安となり、終値は28,966円01銭と再び3万円を割り込み、下落幅は英国民投票でBrexitが確実となった2016/6/24(金)の1286円33銭以来の大幅下落となりました。

図表1 日経平均株価の値動きとその背景(2021/2/16~2021/3/2)

  日経平均株価 日米株式市場等の動き
終値 前日比
2/16(火) 30467.75 +383.60 ワクチンによる景気回復期待が続き、大幅に続伸も、値下がり銘柄数が過半。
2/17(水) 30,292.19 -175.56 3日ぶりに反落。値がさ株を中心に売られる。
2/18(木) 30,236.09 -56.10 利益確定売りが優勢となる中、ファーストリテイリングが約170円下支え。
2/19(金) 30,017.92 -218.17 利益確定売りが続き、3日続落。半導体関連が高く、下支え。
2/22(月) 30,156.03 +138.11 早期景気回復に期待感。米半導体高を受け、東京エレクトロンなどが上昇。
2/23(火) - - 休場(天皇誕生日)
2/24(水) 29,671.70 -484.33 7営業日ぶりに3万円割れ。緊急事態宣言の一部解除睨み、インバウンド関連が上昇。
2/25(木) 30,168.27 +496.57 海外株高を追い風に反発。3万円台を回復。
2/26(金) 28,966.01 -1202.26 米長期金利上昇で警戒感強まり、大幅に続落。下落幅は2016年6月24日以来の大きさに。
3/1(月) 29,663.50 +697.49 米長期金利上昇一服で安心感。伊藤忠がバークシャー投資先上位15社に入る。
3/2(火) 29,408.17 -255.33 短期的な過熱感から値がさ株を中心に利益確定売りが優勢。

※日経平均株価データ、各種資料をもとにSBI証券が作成。

図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/3/2取引時間中。

図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/3/2取引時間中。

図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事

※当社チャートツールをもとに作成。データは2021/3/2取引時間中。

図表5 当面の重要スケジュール

月日 国・地域 予定内容 ポイント
3/1(月) 日本 2月自動車販売台数  
  中国 2月Caixin製造業PMI  
  アメリカ 2月ISM製造業景況指数  
    ★決算発表 ズームビデオコミュニケーションズ、ニオ、シースリーエーアイ
  - WTO一般理事会(~2日)  
3/2(火) 日本 1月失業率・有効求人倍率  
    10-12月期法人企業統計  
    2月マネタリーベース  
  アメリカ ★決算発表 ターゲット
3/3(水) アメリカ 2月ADP雇用統計  
    2月ISM非製造業景況指数  
    ベージュブック  
    ★決算発表 ダラーツリー
3/4(木) 日本 ★決算発表 積水ハウス
  アメリカ 1月製造業受注  
    ★決算発表 コストコホールセール
  - OPECプラス閣僚会合  
3/5(金) 中国 全人民代表大会開幕  
  アメリカ 2月雇用統計  
    1月貿易収支  
    1月消費者信用残高  
3/8(月) 日本 2月景気ウオッチャー調査  
  アメリカ ★決算発表 シャオペン
3/9(火) 日本 1月家計調査  
    1月毎月勤労統計調査
    工作機械受注
    10-12月期GDP確報値
3/10(水) 日本 エルニーニョ監視速報  
  中国 2月生産者・消費者物価指数
  アメリカ 2月消費者物価指数
    2月月次財政収支
3/11(木) 日本 2月国内企業物価指数  
    2月都心オフィス空室率
    東日本大震災から10年
  アメリカ 新規失業保険申請件数
    1月求人労働異動調査
    ★決算発表 ドキュサイン、GOODRXホールディングス、アルタビューティ―
  - WHO新型コロナウイルスパンデミック宣言から1年
  - ECB定例理事会  
3/12(金) 日本 1-3月期法人企業景気予測調査
    メジャーSQ算出日
  アメリカ 2月生産者物価指数
    3月ミシガン大学消費者マインド指数
    ★決算発表 オラクル(E)

※各種報道、日米欧中銀WEBサイト等をもとにSBI証券が作成。「予想」は市場コンセンサス。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。

図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定日(月日は現地時間)

  2021年
日銀金融政策決定会合 3/19(金)、4/27(火)、6/18(金)、7/16(金)、9/22(水)、10/28(木)、12/17(金)
FOMC(米連邦公開市場委員会) 3/17(水)、4/28(水)、6/16(水)、7/28(水)、9/22(水)、11/3(水)、12/15(水)
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 3/11(木)、4/22(木)、7/22(木)、9/9(木)、10/28(木)、12/16(木)

※日米欧中銀WEBサイトを基にSBI証券が作成。データは当レポート作成日現在。予定は予告なく変更される場合があります。 なお、ECB理事会は金融政策の議論・決定を行う会合の日程のみ掲載しています。日付は日本時間(ただし、ECBの結果発表日程は現地時間)を基準に記載しています。

2.「米金利上昇で株安」の考え方は正しいのか。

株価急落の理由は主に以下の4点であると考えられ、この中でもっとも重要な理由になっているのは、(1)の米長期金利の上昇とされます。
(1)米長期金利の上昇が加速したため。
(2)1/28(木)以降、日銀のETF購入が途絶えたため。
(3)日経平均株価の上昇速度に過熱感が強まっていたため。
(4)月の最終営業日に下げるパターンが昨年9月以降継続していたため。

なお、3/1(月)に反発した主な要因としては、(1)については米長期金利の上昇が一服したこと、(2)については2/26(金)に日銀のETF購入が明らかになったこと、(3)については日経平均株価が25日移動平均を割り込み過熱感が後退してきたこと、(4)については月替わりにより需給が好転したこと等が考えられます。

それでは本当に、米長期金利の上昇は日本株に逆風になるのでしょうか。

図表7は、日経平均株価と米長期金利を代表する10年国債の利回りを月足ベースで約20年にわたり、比較したものです。
米長期金利は低下傾向にあり、2001年2月には4.9%でしたが、2020年7月には0.5%台まで低下しています。米国の長期的な金利低下が同国株価の上昇に寄与し、日本株にも追い風になった可能性はありそうです。

ただ、1年から数年単位の中期的な視点で見た場合は、米長期金利の上昇期に日本株が上昇している傾向が多く、逆に低下局面では、日本株も下げやすい傾向にあるようです。足元でも、新型コロナウイルスの感染拡大と金融緩和期待を背景に、米長期金利は2020年6月に向け急低下し、日本株はそれを先取りするように下落しました。しかし、景気への不安が後退し、米長期金利が上昇に転じる過程で、日本株も上昇しているように見受けられます。

米長期金利の上昇局面はおおむね、米国経済の先行き見通しが強くなっているときであると考えられます。
同国経済が強くなることは、結び付きの強い日本経済にもプラス材料となり、株高要因になりやすいと考えられます。また、米長期金利の上昇期は、日米長期金利差が拡大しやすいため、円安・ドル高となる傾向があります。特に2021年は米長期金利が上昇する中で円安・ドル高基調が強まる傾向にあり、輸出企業への追い風、さらには日本株の上昇にも貢献していると考えられます。

そもそも、世界の株式市場の中で、グロース銘柄の多い米国株と比べ、日本株はバリュー銘柄や景気敏感株が多いと考えられます。米国をはじめ世界の景気が回復・拡大傾向となり、長期金利が拡大している時の方が、相対的にも上昇しやすいと考えられます。

したがって、2/26(金)に日経平均株価が下げた背景には、(2)~(4)の要因により、かく乱された部分が多いのではないでしょうか。また、米長期金利の上昇ピッチが速過ぎたため、混乱した部分もありそうです。

米国の新型コロナウイルスの新規感染者数は大幅に減少し、ワクチン接種者も累計で7,277万人に達しており、経済正常化と共に、基本的には金利上昇が続き、日本株にも追い風になるとみられます。

2012年以降、米長期金利の低下は1.4~1.5%前後の水準が節目になってきましたが、金利上昇局面では逆にここが抵抗ラインとなり、1.5%を超えると、金利上昇が減速しやすい傾向にあると考えられます。また、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する以前である2020年1月末の長期金利は1.50%台であったことや、現在の米消費者物価指数(食品・エネルギーを除く)が1.4%程度であることから、米長期金利がこの水準を超えてくることは時期尚早であると考えられます。

ちなみに、米期待インフレ率は2月末で2.15%程度と考えられ、将来的には米長期金利が2%前後を目指す可能性もありそうです。

図表7 日経平均株価と米10年国債利回り(ともに月足)

※日経平均株価および米10年国債利回りデータをもとにSBI証券が作成。
期間:2001/2/1~2021/2/1

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