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『ココがPOINT!』
≪日経平均予想EPSが最高値≫秋相場に向け好材料出揃う!?
投資情報部 鈴木英之
2021/4~6期の決算発表が峠を越えてきました。企業業績の方向感を示唆する日経平均の予想EPS(1株利益)は、過去最高値を更新し、日経平均株価上昇に期待が高まってきました。
一方、新型コロナウイルスの感染拡大や、中国の規制強化、半導体不足などのリスク要因もあります。
そこで今回は秋相場に向け、日経平均株価の方向感について考えてみます。
ココがPOINT!
1.好決算銘柄に買い
日経平均株価は、8月第1週(8/2~8/6)終値が27,820円04銭、前週末(7/30)比で536円45銭(2.0%)高、週足ベースで反発となりました。
8/4(水)は新型コロナウイルスの世界的な感染再拡大により景気鈍化懸念が広がる中、好決算銘柄が相場を下支え。一方、中国政府によるネット企業などへの規制強化に対する警戒感が根強く、中国株安が下落要因の1つとなりました。
8/5(木)は日本郵船など好決算銘柄が買われて上昇基調となった中、米ADP雇用統計が市場予想を下回り、景気回復鈍化懸念から、相場の重荷となりました。
8/6(金)米株高を追い風に上昇。好決算銘柄に物色が向かうも、新型コロナウイルスの変異株拡大や3連休を前にした手控えなどで上値は重い展開になりました。
一方、NYダウは、8月第1週(8/2~8/6)終値が前週末比0.8%高、週足ベースで反発となりました。8 /4(水)はADP雇用統計が市場予想を大幅に下回り、雇用回復鈍化懸念が広まりました。一方、7月ISM非製造業景況感指数は過去最高を記録し、長期金利が急上昇する場面もありました。ただし、ダウは高値圏で推移していたこともあり、持ち高調整など売りが出やすい状況となりました。
8/6(金)はおよそ2週間ぶりに過去最高値を更新。雇用統計で雇用者数が市場予想を上回り、経済回復が続いているとの見方から、ゴールドマン・サックスなど、景気敏感株が買われました。なお、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースの2銘柄でダウを約120ドル押し上げました。
また、S&P500は連日で過去最高値を更新し、米国経済指標の強さが伺える動きとなりました。
図表1 日経平均株価の値動きとその背景
日経平均株価 | 日米株式市場等の動き | ||
終値 | 前日比 | ||
8/3(火) | 27,641.83 | -139.19 | 反落。好業績を発表した三井物産など、好決算銘柄が相場を下支え。 |
8/4(水) | 27,584.08 | -57.75 | 新型コロナウイルスの変異株が世界的に拡大し、景気鈍化懸念が広がる。中国の非製造業購買担当者景気指数が上昇し、アジア株が総じて高い。 |
8/5(木) | 27,728.12 | 144.04 | 3日ぶりに反発。好決算銘柄が相場を下支えも、米ADP雇用統計が市場予想を大幅に下回り、景気回復鈍化懸念から上値は重い。 |
8/6(金) | 27,820.04 | 91.92 | 続伸。米株高を追い風に上昇も、米雇用統計の発表や、3連休を前に上値は重い。 |
8/9(月) | - | - | 振替休日のため国内市場は休場 |
図表2 日経平均株価(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表3 NYダウ(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表4 ドル・円相場(日足)と主要移動平均線・おもな出来事
図表5 当面の主な予定
月日(曜日) | 国・地域 | 予定内容 | 備考 |
8/11(水) | 日本 | 7月マネーストック | |
★決算発表 | 電通G、楽天G、日本郵政、ネクソン | ||
アメリカ | 7月消費者物価指数 | コア指数の市場予想は前年同月比4.3%上昇 | |
★決算発表 | ニオ、ロイヤルティファーマ、イーハンホールディングス | ||
8/12(木) | 日本 | 7月国内企業物価指数 | |
7月都心オフィス空室率 | 6月の都心部空室率は6.19%と7年ぶり高水準 | ||
★決算発表 | 明治HD、サントリーHD、東芝、住友不 | ||
アメリカ | 7月生産者物価指数 | ||
新規失業保険申請件数 | |||
★決算発表 | ウォルトディズニー、パランティアテクノロジーズ | ||
8/13(金) | 日本 | オプションSQ | |
★決算発表 | 富士フイルム、ENEOS | ||
アメリカ | 8月ミシガン大学消費者マインド指数 | 個人消費の方向感は?予想インフレ率も注目 | |
8/16(月) | 日本 | 4-6月期実質GDP速報値 | 市場コンセンサスは前期比・年率+0.6% |
★決算発表 | 東京エレクトロン | ||
中国 | 7月鉱工業生産・固定資産投資 | ||
アメリカ | 8月ニューヨーク連銀製造業景気指数 | ||
8/17(火) | 日本 | 6月第三次産業活動指数 | |
アメリカ | 7月小売売上高 | ||
7月鉱工業生産・設備稼働率 | |||
8月NAHB住宅市場指数 | |||
★決算発表 | ホームデポ、ウォルマート | ||
8/18(水) | 日本 | 6月機械受注 | 民間設備投資の先行指標 |
7月貿易統計 | |||
アメリカ | FOMC議事要旨(7/27・28開催分) | ||
7月住宅着工・建設許可件数 | |||
★決算発表 | エヌビディア、シスコシステムズ、ターゲット、ロウズ | ||
8/19(木) | 日本 | 7月首都圏新規マンション発売 | |
アメリカ | 8月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数 | ||
★決算発表 | アプライドマテリアルズ、エスティローダー | ||
8/20(金) | 日本 | 7月消費者物価 | |
アメリカ | ★決算発表 | ディア |
図表6 日米欧中央銀行会議の結果発表予定
2021年 | 2022年 | |
日銀金融政策決定会合 | 9/22(水)、10/28(木)、12/17(金) | 1/18(火)、3/18(金)、4/28(木)、6/17(金)、7/21(木)、9/22(木)、10/28(金)、12/20(火) |
FOMC(米連邦公開市場委員会) | 9/22(水)、11/3(水)、12/15(水) | 1/26(水)、3/16(水)、5/4(水)、6/15(水)、7/27(水)、9/21(水)、11/2(水)、12/14(水) |
ECB(欧州中銀)理事会・金融政策会合 | 9/9(木)、10/28(木)、12/16(木) | 1/20(木)、3/10(木)、4/14(木)、6/9(木)、7/21(木)、9/8(木)、10/27(木)、12/15(木) |
2.日経平均予想EPSが最高値で強い援軍に?
東京市場では8/4(水)にトヨタ自動車(7203)、ソニーグループ(6758)といった時価総額上位企業の決算発表が行われました。また、8/6(金)には500社を超える上場企業の決算発表が終了し、決算発表シーズンはほぼ一巡しました。
日本経済新聞社の報道では、3月決算企業の第1四半期は市場の期待を上回り、大幅増収・増益となった銘柄が多く、2022/3期・予想純利益は、期初の前期比30%増から、8/6(金)時点で同35%増に上方修正されています。これを反映して、日経平均の予想EPS(1株利益)は8/6(金)に2,120円まで上昇し、過去最高水準を更新しました。
図表7は、日経平均株価とその予想EPSを1枚のグラフにまとめたものです。
日経平均株価の予想EPSの推移は、日本の企業業績の方向感を示唆しているとされます。日経平均株価の予想EPSが上昇傾向となり、過去最高を更新したということは、日経平均株価もその分、上昇しやすくなっていると考えられます。
また、図表8の日経平均株価の予想PERは過去5年間の平均を大きく下回っており、割安感が強くなっています。
決算発表を経て、企業業績の回復傾向が確認されたことで、今後、日経平均株価は反発に転じ、出遅れの解消を目指す可能性も出てきました。
なお、リスク要因としては新型コロナウイルスの感染拡大がさらに深刻化し、企業業績の回復鈍化や、中国政府によるネット企業などへの規制強化、半導体不足の影響などが、予想EPSの低下につながると考えられます。
このうち、中国政府によるネット企業などへの規制強化については、ソフトバンクグループ(9984)の動向に注目が集まります。同社傘下のグループ会社を通じて巨額投資を行っていることから、ソフトバンクグループ(9984)が大きく下落した場合、日経平均株価の予想EPSの上昇を抑える要因になると考えられます。
図表7 過去最高値を更新した日経平均予想EPS(1株利益)
図表8 引き続き低水準で推移する日経平均株価予想PER
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