特集レポート
【マーケット・フラッシュ】波乱のスタートとなった2020年~この下げは「買い場」になり得るのか?
投資情報部 鈴木 英之
2020年最初の取引となった1/6(月)の東京株式市場では、日経平均株価が大幅安となりました。米軍がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したため、今後は米国とイランの対立が激化すると懸念されたことが要因と考えられます。こうした事態を受けて、1/3(金)の米国市場ではNYダウが233ドル安と大幅安になり、外為市場ではドル・円相場が一時1ドル107円台後半まで、円高・ドルとなりました。東京市場は米国市場や外為市場の波乱を受けて動揺する形になりました。
軍人とはいえ、人間が殺され、戦争の懸念が強まることは、株式市場にとってリスク要因であると考えられます。今後も事態の推移を注意深く見守るべきでしょう。ただ、ソレイマニ司令官は一部で、イラクやシリアでのイラン勢力の拡大を目指す「破壊工作のプロ」と伝えられ、その攻撃等により、シリアなどで多くの人々が死んだとの報道もあります。米国の主張通りであれば、今回の米国による攻撃は、(同司令官による)外交官や軍人への攻撃を防ぐことが目的とされています。同司令官の死亡で、イランの破壊工作活動が影響を受ける可能性もありそうです。
したがって、報道や米国が伝える通りであれば、今後米国とイランの間の対立が深まるとは限らないとみられます。今回の攻撃は、すでに激化している両国の対立の一場面をみているに過ぎないという可能性があります。また、北朝鮮までも念頭に置いた威嚇行為といった面もありそうです。その通りであれば、北朝鮮の行動に一定のブレーキがかかる可能性もありそうです。
皮肉にも、東京株式市場は2019年、2020年と2年連続で波乱の大発会となりました。ただ、2019年はその波乱が結果的に買い場となり、その後は上昇場面となりました。今後米国とイランの対立が激化するとの市場の見方に誤解が含まれ、結果的に今回の下げも買い場になる可能性は十分あると考えられます。
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