特集レポート FX
今週のカナダ中銀政策委員会に注目
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
CADJPY 日足チャートより
・ 4月21日の安値(85円42銭)と5月26日の安値(89円85銭)を結んだライン①
・ 4月2日の高値(88円30銭)と5月12日の高値(90円64銭)を結んだライン②
日足・転換線(90円51銭)を下値支持線としてライン①を回復し、さらにライン②を上抜けることが出来るか注目されます。
カナダの5月雇用統計
先週末4日発表のカナダ5月の雇用統計では就業者数が前月比6.8万人減と市場予想(2.0万人減)を大幅に下回ったほか、4月の20.71万人減に続き、2カ月連続でマイナスとなりました。さらに、失業率も4月(8.1%)から8.2%へ悪化するなど感染第3波に見舞われている地域での経済活動規制の影響が労働市場の悪化につながりました。
カナダ中銀政策委員会の声明にどのような影響を及ぼすか
今回の雇用統計の結果が9日のカナダ中銀政策委員会(政策金利は0.25%の現状維持の予想)の声明にどのような影響を及ぼすか注意が必要かもしれません。昨年12月と今年1月と2カ月連続で就業者数が減少した際はフルタイム雇用がいずれも増加し、パートタイム雇用の大幅な落ち込みが就業者減につながっていたものの、4月、5月の減少はフルタイム雇用がそれぞれ4月(12.94万人減)、5月(1.38万人減)となっており、雇用回復の鈍化に対するカナダ中銀の声明が注目されます。
4月21日の金融政策決定会合で、市場予想通り政策金利を0.25%に据え置く一方、国債の購入額を減額することを表明。週次国債購入額(40億カナダドル)を翌週から30億カナダドルに減額することとしました。カナダ中銀は昨年10月に購入額を週次50億加ドルから40億加ドルに減額しましたが、その際は長期債へ購入をシフトさせており、テクニカルな要因と説明していましたので、4月の減額は実質的なイールドカーブコントロールと受け止められました。さらに今年の成長率見通しを6.5%へ上方修正したほか、インフレ見通しも+2.3%と従来の+1.6%から上方修正。こうした見通しの上方修正により、政策金利引き上げ想定時期が1月時点の23年から22年後半へ前倒しされるとの見方がカナダの上昇につながりました。
雇用統計を受けて
今回の雇用統計の結果を受けてのカナダ中銀政策委員会の声明でカナダ経済の先行きに対し、慎重な見方が聞かれることになればカナダ売りにつながり、カナダ円はライン①を上値抵抗線として日足・基準線(89円80銭)に向けて下押し圧力が強まるかもしれません。一方、4月の政策委員会に続き、カナダ経済の先行きに対し強気な見通しを踏襲されることになればカナダ買いにつながり、対円ではライン②を上抜ける可能性があるかもしれません。いずれにしても9日の政策委員会の声明に対する反応が注目されます。
- ※1 2019年11月末時点 矢野経済研究所調べ(有力FX企業17社の月間データランキング)
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