特集レポート FX
米6月雇用統計に向けて為替市場の反応は?
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
米6月雇用統計予想
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月予想 | |
非農業部門 雇用者数(万人) | 23.3万人 | 53.6万人 | 78.5万人 | 27.8万人 | 59.9万人 | 70.0万人 |
失業率(%) | 6.3 | 6.2 | 6.0 | 6.1 | 5.8 | 5.7 |
時間給賃金 前月比(%) | 0.1 | 0.3 | -0.1 | 0.7 | 0.5 | 0.3 |
時間給賃金 前年比(%) | 5.3 | 5.2 | 4.2 | 0.4 | 2.0 |
3.6 |
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | |
製造業 | 0.7万人減 | 2.0万人減 | 15.9万人増 | 3.6万人減 | 0.3万人減 |
サービス業 | 12.9万人減 | 64.2万人減 | 56.5万人増 | 25.5万人減 | 48.9万人減 |
政府系 | 11.1万人減 | 8.6万人減 | 6.1万人増 | 5.9万人減 | 6.7万人減 |
米6月雇用統計の注目点
(1)企業向けソフトウエアを手掛けるホームベースのデータによると、非農業部門就業者数は約150.0万人増の予想を発表するなど、現状の市場予想70.0万人増をはるかに上回っています。こうした予想も聞かれるだけに市場のリスクは4月以降3ヵ月連続で事前の市場予想を下回る見方も出来ます。実際、経済活動の正常化が進む中、労働市場の回復が遅れているとの指摘もあるだけに注目されます。背景にあるのが今年9月6日まで継続される政府の失業保険給付の上乗せ措置の恩恵が指摘されており、実際失業保険を受給する方が、就業するより収入が多いというケースも多く、トラクターなどの運搬業務など一部業種で人手不足が生じていることも就業者数の伸び悩みの一因とされています。こうした状況を踏まえ従業員確保のために時間給賃金の上乗せがどの程度進んでいるか就業者数の回復、さらには時間給賃金のポイントとして注目されます。
(2)今月のFOMCを経て市場では量的緩和解除やその先の金融政策正常化に向けた早期利上げの見方が根付いているだけに、今回の雇用統計がこうした思惑を一段と加速させることにつながるか注目されます。パウエルFRB議長は22日の議会証言で、労働市場の改善に対する自信を示しました。一方、インフレ高が持続する可能性に触れつつもワクチン接種ペースの鈍化や変異株拡大リスクなど先行きへの慎重な姿勢も示した上でインフレについても一時的との従来からの見方を踏襲し予防的利上げの可能性を否定しています。それだけに雇用統計が予想を上回り、米長期金利の上昇が一段と進んだ場合のNY株式市場の反応にも注意が必要かもしれません。また、来週5日の米独立記念日の休場を前にしたポジション調整の動きも警戒されることから、こうした点も踏まえた対応が必要になると思われます。
為替市場の反応は?
(1)USDJPY
先週24日に111円11銭まで上昇したものの、25日に発表された米5月の個人消費支出価格指数(コア)が前年比+3.4%と上昇し、市場予想と一致したことからインフレ加速への懸念は広がっていないとの見方につながり、米10年債利回りの低下に伴い110円48銭まで下落しました。しかし、日足・転換線(110円41銭)が下値サポートとなり下げ止まる中、米6月ミシガン大学の1年先の期待インフレ率(確報値)が4.2%と速報値(4.0%)から上方修正されたことから米10年債利回りが上昇しました。加えて、今週のOPECプラス会合で増産を決めたとしても、景気回復に伴う需要拡大には追いつかないとの見方から先週末の原油価格は3日続伸しました。
(2)EURUSD
先週21日、ラガルドECB総裁は欧州議会の議会証言で「景気見通しは明るさを増しているものの、利上げは回復のリスク要因となりうる」「必要に応じてECBはさらなる利下げを行う余地がある」と発言しました。ECBの金融政策正常化はかなり先になることが確認され、米FRBとECBとの金融政策の方向性の違いが意識され、ユーロが下落しました。しかし、24日に米政府と議会上院の超党派議員グループがインフラ投資計画で合意したと伝わったことや、日本を除くG7諸国の金融政策の正常化観測を誘発している景気好調と物価上昇など、リスク資金のユーロへの流入期待が下値サポートとなりました。先週末25日には一時1.1975ドルまで反発したものの、日足・雲の下限(1.1974ドル)が上値抵抗線として意識され反落しました。
一方、週足・雲の上限(1.1935ドル)が下値支持線として意識される状況が続いています。それだけに、今週末の米雇用統計を受けて日足・雲の下限を上抜け、週足・雲の上限とともにこれらを下値支持線として反発に転じるか、あるいは週足・雲の上限を下抜け、日足・雲の下限とともにこれらを上値抵抗線として一段と下落するなどドル高が進行するか注目されます。
- ※1 2019年11月末時点 矢野経済研究所調べ(有力FX企業17社の月間データランキング)
- ※2 2020年5月末時点 SBIグループのうち、約7割がSBI証券のFX口座
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