特集レポート FX

27日のジャクソンホールでのパウエルFRB議長の講演に注目

2021/8/24
提供:SBIリクイディティ・マーケット社

タカ派で知られるダラス連銀カプラン総裁のハト派的発言

今週末27日にカンザスシティ連銀主催によるジャクソンホール経済シンポジウム(オンライン)でパウエルFRB議長の講演(日本時間23時00分)に向けて、今週24日から26日にかけて米2年、5年、7年債入札に対する反応を中心に債券市場の動向が注目されます。今年4月にFRB当局者として最初に資産買い入れの縮小(テーパリング)の開始を呼びかけるなどタカ派の代表格とされ、9月にテーパリングの意思を示した上で、10月から開始すべきとの考えを示していたダラス連銀カプラン総裁が、先週末20日に変異株による感染拡大で景気の回復が遅れることがあれば、テーパリングを速やかに開始すべきとの考えを見直す可能性があるとの見解を示しました。
また、変異株の感染拡大により、金融政策の方向性について先入観を持たなくなったとも発言しました。カプラン総裁は変異株について、将来を見通す上で「巨大で通常の基準では評価できないもの」と表現しています。

インフレは一時的か?

FRBは「物価の安定」と「雇用の最大化」といった二つの使命を担っており、物価に関しては昨年夏に政策の枠組みを見直し、一定期間、インフレ率が平均2.0%となることを目指し、短期的なインフレの上振れに神経質にならないような「平均インフレ率目標」を導入しました。
しかし、物価上昇が一時的か否か、先月7月のFOMC声明文では「インフレ率は主に一時的な要因を反映し、上昇している」との文言が見られました。こうした中、米7月消費者物価指数は前年比+5.4%と2008年8月以来の高水準となっているほか、3月以降5カ月連続でインフレ目標(2.0%)を上回っているほか、食品やエネルギーを除くコア指数も前年比+4.3%といずれもFRBのインフレ目標(+2.0%)を大きく上回っています。2008年にはリーマンショックの影響からインフレ率が急低下しましたが、参考にはなりにくく、高止まりが続く可能性も軽視できない状況かもしれません。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

先々週11日にはバイデン大統領が「FRBは必要に応じて適切に対応すると信頼している」とコメントしていますが、今後、人手不足の深刻化などによって賃金が断続的に上昇することになればインフレが構造的なものになる可能性を指摘する見方も聞かれます。FRBが後手に回るリスクにも注意が必要なだけにパウエル議長の講演が注目されます。

変異株によるインフレ上昇懸念

インフレが一時的か否か・・・コンテナ取扱量で世界3位の大規模ターミナルである中国の寧波・舟山港は家具や家庭用品、おもちゃ、自動車部品など、欧米市場に向けた中国輸出品の大きな玄関口となっている有数の港です。
また、梅山ターミナルは、寧波に7つあるコンテナターミナルの中でも最大級で、年間700万個以上のコンテナを扱っています。ここでの感染者1人の発生で操業を停止してから1週間たっても、なお閉鎖状態にあり、年末商戦を控えた欧米市場向けの荷積みのために、ターミナルには数十隻の船が順番を待っている状態となるなど再開のメドが立たない状況になっています。こうした影響による混乱はアジア・欧州・太平洋横断航路へ波及、雪だるま式に影響が拡大すると、物流の減速が一段と進みかねず、貨物の停滞、配送の遅れ、輸送コストの上昇を招く懸念が指摘されています。
米国行きコンテナ貨物の約3分の1を扱うロサンゼルス港とロングビーチ港、さらにニューヨークやジョージア州サバンナ、欧州最大の港湾であるオランダのロッテルダム、ベルギーのアントワープなどで港湾の混雑が確認されています。また、ベトナムなど東南アジアの多くの国への出荷量も変異株の感染拡大で現地政府が工場の生産能力を制限しているため、ここ数週間で減少しているのが現状です。
こうした原因を背景にした供給の遅れが半導体不足による自動車生産への影響をはじめ、住宅建設に関する資材供給不足を招き、物価上昇につながるなどインフレ懸念の一因となっています。実際、先週19日には自動車大手トヨタが半導体不足の影響により9月の生産を約4割削減すると発表したのに続き、先週末20日にはドイツ自動車大手フォルクスワーゲンが中国での自動車生産の減産を発表。ドイツをはじめ中国向け自動車関連部品等の輸出の減少はドイツ国内製造業にも影を落とす可能性がありECBの金融正常化の遅れに影響を及ぼすことが一段と深刻になればユーロの下落を一段と加速させることにつながるかもしれません。
また、先週公表された7月FOMC議事要旨では、雇用がコロナ禍前の水準を下回っており、緩和的な金融政策継続による支援が労働市場の改善に寄与すると思われ、物価上昇は一部の分野に限定されており、インフレの下方バイアスが根強いとする意見の一方、年内に債券買い入れペース縮小を開始することが適切になることがあり得るとの意見が交錯しました。
インフレが一時的との判断が正しいのか、あるいは恒常的なインフレ上昇を警戒するレベルに達する恐れがあるのか、FRBの中でも意見が割れるほど変異株の影響を見通すことは容易でないのかもしれません。

ドル円は・・・

ジャクソンホールでのパウエルFRB議長の発言でテーパリングの早期開始への期待が高まれば、ドル円は相場の転換点を示唆する日足・雲のねじれに便乗して111円台の回復に向けて一段高となる可能性がある一方、発言の内容次第では109円割れへ押し戻される可能性もあり注目されます。今週末のパウエルFRB議長の講演が大きな転換点になるのか、テーパリング完了時期はその後の利上げのタイミングともリンクすることになるだけに重要視されます。当然のことながら、テーパリングを早いペースで終わらせることになれば、利上げをいつでも行えるといった裁量余地が生じることになり、先々を見越した「フォワードルックキング」的な思考がFRB内の統一的な見方となればドル高が一段と進む可能性もあることも含め、パウエルFRB議長の発言は9月FOMCに向けた大きなヒントを提供する可能性もあるだけに注目されます。

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