特集レポート FX
先週末の米雇用統計を終え、今週のECB理事会に注目
提供:SBIリクイディティ・マーケット社
米8月雇用統計について
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
就業者数 | 61.4万人 | 96.2万人 | 105.3万人 | 23.5万人 |
失業率 | 5.8% | 5.9% | 5.4% | 5.2% |
時間給賃金 前月比 | 0.5% | 0.4% | 0.4% | 0.6% |
時間給賃金 前年比 | 2.0% | 3.7% | 4.1% | 4.3% |
5月 | 6月 | 7月 | 8月 | |
製造業 | 1.6万人増 | 4.2万人増 | 6.4万人増 | 4.0万人増 |
サービス業 | 53.9万人増 | 76.6万人増 | 73.5万人増 | 20.3万人増 |
政府系 | 15.4万人増 | 15.4万人増 | 25.5万人増 | 0.8万人減 |
当局者からは多くの学校が対面授業を再開し、失業給付金の上乗せが今週失効することから、夏の終わりまでには雇用統計に明確な方向性が表れると予想されていましたが、ワクチン接種率の低い南部を中心とした州での感染者数や入院患者数が急増したことで、人との接触が必要なサービス業および企業のイベントに食事を提供するビジネスが再び逆風に直面、今回の雇用統計での就業者数の減少につながる要因となりました。
高金利通貨、資源国通貨、クロス円の上昇に期待
パウエルFRB議長は、「ワクチン接種率の上昇や学校再開、失業手当て上乗せ終了により、求職の妨げとなっていたかもしれない要因の一部はなくなるだろう」と指摘しました。変異株による短期的なリスクがあることを認めた一方、「最大雇用に向けて進展が続く見込みは十分にある」と楽観的な見通しを示したこと、さらに、今月のFOMC後にテーパリングを始める準備を整えていることは示唆しなかったものの、年内開始には含みをもたせる発言をしており、テーパリングを開始する場合は「事前通知」を出すと明言しています。今月のFOMCでは、今後の方針についてそのような強いシグナルを出すかどうかが議論されるかもしれません。
しかし、8月27日のジャクソンホールの講演でテーパリングは利上げ時期を示す直接的シグナルではないと発言しました。さらに1,250億ドル規模の債券買い入れを多少縮小したとしても、緩和政策に大きな変更がないと見られることから米10年債利回りが年内に1.5%台に達することはないだろうと見られています。
日本国内では総裁選や衆院選への関心が高まる中、財政出動を伴った景気対策への期待が膨む可能性の一方、社会保障費の削減や年金支給の減額などの、漠然とした将来不安が残り、ドルと円はいずれも売られ易い状況が、当面続くと見られることから109円から111円をコアとする値動きが、少なくとも米9月雇用統計が発表される10月前半まで継続すると予想する見方も少なくありません。それだけに、引き続き、高金利通貨や新興国通貨、さらにリスク選好を背景にしたクロス円の上昇が期待されるかもしれません。
今週のECB理事会に向けたEURUSDの動向に注目
ユーロは先週末3日の米8月雇用統計での就業者数が予想を大きく下回ったことを受けて一時1.1909ドルまで上昇し、1.1879ドルで取引を終え、週明けの東京市場でも1.1880ドル付近で堅調な値動きを続けています。
6 月のECB理事会では「債券買い入れを年初よりも大幅に拡大すると見込んでいる」との文言を維持したことから7‐9月期の最後にあたる今週9日の理事会では10-12月期の買い入れ方針を決める必要があるため、(1)10-12月期のPEPP(パンデミック緊急購入プログラム)の買い入れおよび先行きの資産買い入れ縮小に言及があるか(2)ユーロ圏経済見通しに楽観的な見通しが示されるかの2点が注目点になると思われます。
最近のECB高官の発言を振り返ると
(1)フランス中銀総裁(8/30) 資金調達環境は6月時点から改善。10‐12月期のPEPPの買い入れペースを決定する必要があるが、将来について9月理事会で決定する緊急性はない。
(2)オランダ中銀総裁(8/31) 刺激策の即時減速とPEPPの3月終了と矛盾しない決定を見込んでいる。
(3)オーストリア中銀総裁(8/31) PEPPをどのように縮小するか検討できる状況にあり、感染期 の政策を終わらせ、どのようにインフレに焦点を移行させるか話し合う機会となり得る。
(4)ドイツ連銀総裁(9/1) 物価を押し上げている一時的要因が基調的になり得る可能性があり、PEPPの終了に向けて準備を始める必要がある。
(5)デギンドスECB副総裁(9/1) 4‐6月期のユーロ圏経済の回復は非常に力強く、7‐9月期10-12月期も強い回復が続くと見られる。
・先週末3日に1.1909ドルまで上昇し、7月30日の高値(1.1908ドル)を上抜けしたことから、ECB理事会に向けて(1)1.1909を上抜けできるか (2)5月25日の高値(1.2266ドル)から8月20日の安値(1.1664ドル)までの下落分に対する50%水準にあたる1.1965ドルを回復できるか (3)200日移動平均線(1.2004ドル)や日足・雲の上限(1.2009ドル)を目指して一段高となるか注目されます。
・ECB理事会で前述したようなPEPPの縮小やユーロ圏経済の先行きに楽観的な見通しが示された場合でも、既に織り込み済みとして3日の高値(1.1909ドル)を上抜けることが出来ずに反落した場合、日足・雲の下限(1.1840ドル)や日足・転換線(1.1817ドル)まで下落する可能性に要注意。
- ※1 2019年11月末時点 矢野経済研究所調べ(有力FX企業17社の月間データランキング)
- ※2 2020年5月末時点 SBIグループのうち、約7割がSBI証券のFX口座
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