特集レポート FX

世界的なインフレ圧力を背景に主要各国中銀の金融引き締めによる資源国通貨への影響

2022/6/21
提供:SBIリクイディティ・マーケット社

先週は、15日にFRBが0.75%の利上げを決定したことに続き、16日に英中銀(0.25%の利上げ)の政策委員会を前に、スイス中銀が予想外の利上げ(0.5%)を決定。こうした主要各国中銀の世界的な金融引き締め強化が世界経済の減速懸念につながり、先週末17日のNY原油先物は一時5月19日以来の安値108.25ドルまで下落。終値も前日比8.02ドル安(-6.82%)の109.56ドルで取引を終了し、週間ベースでは11.11ドル安(-9.21%)となりました。こうした原油価格の下落とともに、鉄鉱石や金価格など商品市況が軒並み下落しました。

BRLJPY

ブラジルレアルが対ドルで1ヵ月ぶりの安値まで下落したほか、ブラジル株式市場でも、ボベスパ指数が一時、98,401.73Ptsへ下落し、2020年11月4日以来の安値となる99,824.94Pts(前日比-2,981.88pt -2.90%)へ大幅に反落して取引を終了しました。こうした中、レアルは対ドルで、一時5月12日以来の安値となる5.1555レアルまで下落したほか、対円でも黒田日銀総裁の会見後の円安進行を受けて、欧州市場序盤の26円51銭まで上昇したものの、NY市場序盤に26円04銭まで下落。しかし、16日のスイス中銀の利上げを受けた日銀政策会合での金融政策の一部修正への思惑による東京市場の朝方に付けた25円97銭を手前に下げ止まり、26円10銭で先週末の取引を終了。

週明けの東京市場でドル円が135円台前半で堅調な値動きを続けていることがレアル円の下値支援につながっているものの、日足・基準線が上値抵抗線として意識されるなど上値の重い値動きを続けています。21日以降、日足転換線が低下する一方、基準線が上昇することから、両線がデッドクロスする可能性のほか、20日にブラジル中銀が公表する「主要市場レポート」、21日に公表される0.5%の利上げを決めた(12.75%⇒13.25%)先週15日の政策委員会議事要旨、23日の「インフレ報告」、さらに24日発表の6月月中の消費者物価指数に対する反応が注目されます。

市場ではボルソナロ大統領が10月の大統領選を控えて進めてきた減税措置の大半が年内に期限切れとなる影響によるインフレ圧力の上昇に対する警戒のほか、国内のみならず世界的なインフレや金融引き締めの影響が懸念されることから、新興国からの資金流出懸念や景気減速に伴う商品市況の一段の下落がレアルの下押し圧力につながる可能性に注意が必要です。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

5月12日の安値(24円52銭)と6月16日の安値(25円84銭)を結んだライン(1)(現状:25円94銭)が下値支持線としてサポートするか注目されます。

ZARJPY

先週末の南ア全株指数も取引開始から強い売り圧力に押され、軟調な値動きに終始し、65,390.88Pts(前日比-2,111.21pt -3.13%)と昨年10月8日以来、およそ8ヶ月ぶりの安値で取引を終えました。一方、ランドは対ドルで先週13日にかけての相場続落が一服した後のポジション調整が続いていたことに加え、世界的なインフレ圧力やリスク資産の下落で、安全資産としての金への需要期待にサポートされ、対ドル、対円で上昇する底堅い値動きとなりました。ランド円は日足・基準線(8円35銭)を下値支持線として転換線(8円50銭)が上値抵抗線として意識され、両線に挟まれたレンジ内での取引を続けています。

しかし、レアル円同様に、週後半にかけて転換線が低下する一方、基準線が上昇し、デッドクロスの可能性もあるだけに、上値の重い値動きが続くことになるかもしれません。こうした中、今週22日に発表される5月消費者物価指数を受けた南ア中銀の追加利上げ観測がスタグフレーションへの警戒を強めることになるか注目されます。また、22-23日のパウエルFRB議長の上下両院での議会証言を受けて対ドルでのランド売りにつながるか、米債券市場の反応とともに注意が必要です。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

ランド円は、日足・転換線を上抜け、6月9日の高値(8円80銭)を目指して一段高となるか、基準線を下回り、5月12日の安値(7円86銭)と5月26日の安値(8円01銭)を結んだライン(1)(現状:8円26銭)を下抜け、雲の上限(8円21銭)や先週16日の安値(8円19銭)を下回るか、パウエルFRB議長の議会証言に対する米株式・債券市場に対するドル円の動向と合わせて注目されます。

AUDJPY

豪中銀政策委員会を巡る7月、8月それぞれ0.5%の利上げ観測や日銀政策会合を受けて、ドル円が再度135円台を回復したことが、豪ドル円の下値支援につながっているものの、FRBの0.75%の利上げやスイス中銀の0.5%の利上げ。さらに、先週16日に0.25%の利上げを決めた英中銀も次回以降、0.5%の利上げが見込まれるなど、豪中銀の金融引き締め継続観測による豪ドルの上昇に限界説も聞かれます。一方、主要各国中銀の金融引き締めによる世界的な景気減速懸念を背景に原油価格や鉄鉱石価格の下落も豪ドル円の上値抑制につながっているほか、中国経済の本格的な回復が遅れるとの見通しも懸念される状況です。

こうした中、タカ派発言が見込まれる今週のパウエルFRB議長の議会証言を受けてもドル円が反落した場合の豪ドル円の下振れに注意が必要です。さらに、米政府が燃料輸出制限に動く可能性や、バイデン大統領のサウジアラビア訪問の予定なども原油価格の下押し圧力につながる可能性があります。加えて、中国の本格的な景気回復の遅れによる鉄鉱石の下落への思惑などが豪ドル売りにつながるか注目されます。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

豪ドル円も、日足・転換線が21日以降、低下する一方、基準線が上昇基調にあり、レアル円やランド円同様にデッドクロスへの警戒も下押し圧力につながるかもしれません。

こうした中、5月12日の安値(87円31銭)と5月24日の安値(89円24銭)を結んだライン(1)(現状:93円74銭)が上値抵抗線となるか、このライン(1)を下値支持線として反発に転じるか注目されます。

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