特集レポート FX

【米月雇用統計】あらめてドル堅調地合いを確認することになるか?

2024/4/2
提供:SBIリクイディティ・マーケット社

3/31に発表された中国3月製造業PMIは50.8と、2月(49.1)から改善し好不況の節目とされる50.0を昨年9月以来6ヵ月ぶりに上回り、昨年3月(51.9)以来の水準となりました。また、サービス業と建設業を含めた非製造業PMIも53.0と2月(51.4)から上昇し、昨年6月(53.2)以来9ヵ月ぶりの高い伸びとなりました。中国政府による一連の景気刺激策の効果が徐々に表れ、中国経済が底入れから安定に向かうか注目されます。

先週はウォラーFRB理事やパウエルFRB議長から早期利下げに消極的な見解が示されただけに、4/1に発表される米3月ISM製造業景気指数や週末5日発表の3月雇用統計がこうした見解を裏付ける結果となるか注目されます。一方、3/27に日銀の田村審議委員が金融政策の先行きについてハト派的見解を示しており、市場では日米金利差は容易に縮小しづらいとの見方があり、ドル円の下値支援につながっています。一方、本邦通貨当局による円買い介入への警戒感が上値を抑制するなど151円台前半から後半での神経質な値動きが続いているほか、ユーロドルも複数のECB要人から早期利下げを容認する発言が相次いだことから、欧米の利下げ開始時期はFRBがECBを先行することはないとの観測が高まるとともに、1.0800ドル台前半からの上値の重さが意識されています。さらに、日足・雲の下限(1.0801ドル)を下抜けて先週末の取引を終えるなど三役逆転となりました。そのため、4/2-3に発表されるドイツおよびユーロ圏3月消費者物価指数や4日に公表される3月ECB理事会議事要旨のほか、米経済指標の結果次第ではドルが全面高になる可能性もあるだけに注目されます。

4/1発表 米3月ISM製造業景気指数

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

IMS製造業景気指数の先行指標の一つとされる3/21に発表された3月のフィラデルフィア連銀製造業景気指数は3.2と2月(5.2)から低下したものの、昨年9月から1月まで5ヵ月連続でマイナスを続けた後、2月に続いてプラスを維持したほか、設備投資が23.6と22年3月(25.8)以来、2年ぶりの高水準となったことから2月からの改善予想の裏付けになっています。

4/2‐3発表 ドイツ/ユーロ圏3月消費者物価指数(CPI)

2/29に発表されたドイツ2月CPIはEU基準のHICPで前年比2.7%と1月(3.1%)から鈍化するなど、エネルギー価格が2.4%下落したほか、食料品価格の上昇率も0.9%に留まったことが指数を押し下げる要因となりました。そのため、エネルギーと食料品を除いたコア指数は3.4%と1月から横這いとなりました。2日に発表されるドイツ3月HICPは前年比2.5%と2月から一段と鈍化すると見込まれ、昨年11月(2.3%)以来の低い伸びに留まると見込まれています。また、3日発表のユーロ圏3月CPIも前年比+2.5%と2月(2.6%)から鈍化すると予想されており、ECBによる6月の利下げ開始観測を一段と高める結果となれば先週末の安値(1.0768ドル)を下回り、2/14の安値(1.0695ドル)を目指して一段安となるか注目されます。

4/5発表 米3月雇用統計

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

3/8に発表された2月雇用統計では就業者数が27.5万人増と市場予想(20.0万人増)を上回ったものの、1月、12月分合わせて16.7万人下方修正されました。仮に予想通りとなった場合、当月を含めた直近3ヵ月平均は以下の通りとなり、労働市場の堅調が確認されることになると思われます。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

また、2月の失業率は3.9%と昨年10月以来の水準へ悪化しました。昨年10月には9月(3.8%)から3.9%へ悪化しましたが、11月以降1月まで3ヵ月連続で3.7%で推移しただけに、3月の失業率が改善するのか、一段と悪化するか注目されます。米労働市場が完全雇用の状態にあると見込まれる失業率(概ね4.0~4.1%)を下回っていれば、FRBの早期利下げ観測を早めることにはつながらないと思われます。さらに、2月の時間給賃金も前月比0.1%と1月(0.5%)から鈍化したほか、前年比でも4.3%と1月(4.4%)から鈍化しました。しかし、週労働時間が1月から増加したため、総賃金は増加しただけに、今回も時間給のほか、総労働時間を含めた週間賃金の高止まりが続いているか注目されます。

※出所:SBIリクイディティ・マーケット

ドル堅調は継続?

昨年3月に一部の米地銀の経営破綻などにより、米債やドルに対する信用が一時的に揺らいだ場面が見られたものの、昨年5月に格付け機関ムーディーズは「ドルは基軸通貨として幾つかの新たな課題に直面しているが、その地位は今後何十年にもわたって維持されるだろう」「準備資産に占めるドルの比率はこの先一段と低下すると予想されるものの、ライバル的存在であるユーロや人民元は、ドルを支える米経済の規模や開放性、さらに米債券市場の厚みと安全性といった中核的な特質について、急に備えるのは難しい」としてドル優位は変わらないとの見解を示しています。

また、米経済学者バーグステン氏は「基軸通貨」の条件として1)貿易・投資力を含む大きな経済力 2)政府の介入や規制が抑制された資本・投資市場 3)資源エネルギーや安全保障での優位 4)基軸通貨を守る強い軍事力などを挙げています。こうした条件に照らし合わせて見てもドルの優勢が一段と高まる環境にあると見られます。こうした中、今週の米経済指標が欧州経済との景況感格差をあらためて確認することになれば、ドル堅調地合いをサポートすることになると思われます。

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