金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は米中の通商協議の行方などを確認

2019/9/24
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は世界経済の先行き懸念が強まると一段高の可能性

9月16日の週のニューヨーク金市場は、原油急騰が支援要因になる場面も見られたが、米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高に上値を抑えられた。ただパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が追加利下げの可能性を残したことや、米中の通商協議に対する不透明感から押し目を買われて地合いを引き締めた。期近12月限は8月13日以来の安値1,490.7ドルを付けたのち、金ETF(上場投信)に投資資金が戻ったことなどを受けて地合いを引き締め、6日以来の高値1,534.4ドルを付けた。

米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を1.75~2.00%に25ベーシスポイント(bp)引き下げることを7対3で決定した。ただ米連邦準備理事会(FRB)当局者の金利見通しで、新たなレンジ内にとどまると予想された。今後の追加利下げに対する見方が後退し、ドル高に振れた。一方、パウエル米FRB議長は、世界的な経済成長の鈍化や通商問題を巡る緊張の高まりなど「現在見られているリスクに対する保険」として、利下げを決定した、と述べた。追加利下げの可能性も残したことから、ドル高は一服し、金の押し目を買われる要因となった。米経済指標は好調であり、米FRB内で今後の利下げについて意見が分かれている。ただ米経済の行方は米中の貿易戦争の行方次第であり、当面は10月第2週に予定されている米中の閣僚級の通商協議に向けた動きを確認したい。前週の次官級の通商協議では知的財産権や強制的な技術移転についても話し合われたが、農業問題が重点的に話し合われた。中国は13日に米国産の大豆や豚肉を追加関税の対象から除外、米国産大豆の購入を再開し、歩み寄りの動きを示した。中国が予定していた米農家の視察を中止し、先行き懸念が出たが、協議難航が理由ではないとした。ただトランプ米大統領が、中国との「全面的な」通商合意を望んでいるとし、不透明感が出ている。また米大統領選前に合意する必要はないと述べた。一方、9月のユーロ圏の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は50.4となり、前月の51.9から低下し、2013年半ば以来の低水準となった。ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁は製造業の長引く低迷を指摘し、世界経済の先行き懸念が残っている。

サウジアラビアの石油施設が攻撃されたことを受けて原油が急騰したが、早期の復旧が予想されたことから上げ一服となった。ただサウジアラビアが無人機(ドローン)や巡航ミサイルの残骸を公表し、イランの関与を示す証拠だとした。また米国は、イラン中央銀行などを対象に制裁強化を発表した。中東情勢の行方やサウジアラビアの石油施設の復旧が順調に進むかどうかを確認したい。

9月23日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は13日比34.01トン増の908.52トンとなった。安値拾いの買いが入った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月17日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは28万2,599枚となり、前週の26万9,725枚から拡大した。今回は新規買いが7,397枚、買い戻しが5,477枚入り、1万2,874枚買い越し幅を拡大した。

プラチナはドル高一服などが支援要因に

ニューヨーク・プラチナ期近10月限は、ドル高一服などを受けて安値拾いの買いが入って下げ一服となった。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高を受けて8月30日以来の安値922.1ドルを付けたのち、下げ一服となった。パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が追加利下げの可能性を残したことや、金堅調、パラジウムの史上最高値更新などが支援要因になった。当面は10月第2週に予定されている米中の閣僚級の通商協議に向けた動きや、各国の経済指標で景気見通しを確認したい。買い意欲が強まるようなら、再び1,000ドルの節目を試す可能性が出てくる。

プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、11日のロンドンで17.36トン、23日のニューヨークで24.06トン(13日23.47トン)、南アで30.98トン(同31.08トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、9月17日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは3万3,648枚(前週3万4,919枚)に縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。

ニューヨーク金は1,500ドル割れの押し目を買われる

ニューヨーク金12月限は8月13日以来の安値1,490.7ドルを付けたのち、押し目を買われて地合いを引き締めた。米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル高が圧迫要因になったが、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が追加緩和の可能性を残したことや、米中の通商協議に対する不透明感などが下支え要因になった。12日の戻り高値1,532.2ドルを上回り、6日以来の高値1,534.4ドルを付けており、買い意欲が強まるようなら、一代高値1,566.2ドルを試す可能性が出てくる。10月第2週に予定された米中の閣僚級の通商協議に向けた動きや、米国のイラン制裁強化による中東情勢、英国の欧州連合(EU)離脱交渉の行方と投資資金の動向が当面の焦点である。

9月23日からの週の注目ポイント

23日 秋分の日
24日 南ア休場 ☆☆
独ifo景況感指数(9月)
米住宅価格指数(7月) ☆☆
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(7月) ☆☆
米消費者信頼感指数(9月) ☆☆☆
25日 NZ準備銀行政策金利公表 ☆☆☆
日銀金融政策決定会合議事要旨公表(7月29-30日分) ☆☆☆
米新築住宅販売(8月) ☆☆☆
26日 米国内総生産(4-6月期確報値) ☆☆
米中古住宅販売仮契約指数(8月) ☆☆
27日 米個人所得・支出(8月) ☆☆
米耐久財受注(8月) ☆☆☆
米ミシガン大消費者信頼感指数(9月確報値) ☆☆

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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