金・銀・プラチナ
マーケットレポート

金は換金売りで調整もドル安が下支え

2020/3/2
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド

金は米国の金利見通しも確認

2月24日の週のニューヨーク金市場は、新型コロナウイルスの感染拡大や米国債の利回り低下を受けて堅調となったが、株価急落で換金売りが出たことを受けて急落した。期近4月限は一代高値1,691.7ドルを付けたのち、上げ一服となり、2月6日以来の安値1,564.0ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染が韓国、イタリア、中東、ブラジルに加え、米国で確認され、パンデミック(世界的な大流行)の見方から株価が急落した。金ETF(上場投信)に換金売りが出ており、引き続き投資資金が流出すると、金の圧迫要因になるとみられる。ただ景気の先行き懸念の強まりから米10年債利回りが過去最低を更新し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測が高まった。CMEのフェドウォッチによると、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は3月に0.50%利下げの1.00~1.25%の確率が94.9%(前週0.0%)、4月に0.75~1.00%の確率が73.2%(同0.0%)となった。29日に発表された2月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は35.7と、前月の50から大幅に低下し、過去最低を記録した。新型ウイルス対策で国内外の移動制限が背景にある。事前予想の46.0も下回り、景気減速懸念から米FRBの利下げ観測とドル安が続くと、金の下支え要因になるとみられる。ただ25日時点でPMI調査の中・大規模企業の業務再開率は78.9%となった。感染源である武漢市の封鎖は続いているが、他の地域では移動制限が緩和され、工場の操業が再開している。
米国とアフガニスタンの反政府勢力タリバンは29日、和平合意に調印した。米国はタリバンが合意内容を順守すれば、和平調印から135日以内に米軍のアフガン駐留規模を現在の1万3,000人から8,600人に削減するとしている。トランプ米大統領はタリバンが合意内容を守れば戦争は「終結する」と述べた。米国は米軍攻撃を計画していたイランの司令官を年初に殺害し、中東情勢の緊張が高まったが、イランの報復は形式上のものとなり、緊張は一服した。2月に入ると、米大統領は国際テロ組織「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)のカシム・アル・リミ指導者を反テロ作戦で殺害したことを明らかにしており、中東情勢の行方を確認したい。
2月28日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比0.29トン増の934.23トンとなった。新型コロナウイルスの感染拡大に対する懸念を受けて940.09トンまで増加したのち、株安による換金売りを受けて増加が一服した。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月25日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは33万5,865枚となり、前週の35万3,649枚から縮小した。今回は手じまい売りが1万9,010枚、買い戻しが1,226枚入り、1万7,784枚買い越し幅を縮小した。

プラチナは株価急落が圧迫

ニューヨーク・プラチナ期近4月限は株価急落を受けて昨年8月16日以来の安値846.2ドルを付けた。新型コロナウイルスの感染拡大によるリスク回避の動きを受けてレンジ下限を割り込むと、900ドルの節目も下回って一段安となった。中国の工場の稼働が再開するとなか、上海プラチナの出来高が急増し、安値拾いの買いが入ったが、先物市場での手じまい売りが一巡するまでは軟調に推移するとみられる。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、2月27日のロンドンで18.02トン(21日18.37トン)、のニューヨークで23.56トン(同23.56トン)、28日の南アで30.78ン(同30.81トン)となった。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、2月25日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは5万0,201枚となり、前週の6万1,615枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。

ニューヨーク金は株価急落で換金売りもドル安が下支え

ニューヨーク金4月限は、新型コロナウイルスの感染拡大で株価が急落したが、換金売りなどが出て急落し、2月6日以来の安値1,564.0ドルを付けた。米国でも感染経路不明の感染が確認され、株価が急落した。金ETF(上場投信)から投資資金が流出し、損失補填のための換金売りが出た。ただ米連邦準備理事会(FRB)の利下げ観測からドル安に振れたことが下支え要因である。手じまい売りが一巡すると、急反発する可能性が出てくる。

3月2日からの週の注目ポイント

2日 中国財新製造業購買担当者景況指数(2月) ☆☆
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(2月確報) ☆☆
米ISM製造業景況指数(2月) ☆☆☆
米建設支出(1月) 
3日 豪準備銀行政策金利発表 ☆☆☆
ユーロ圏消費者物価指数(2月速報) ☆☆☆
ユーロ圏生産者物価指数(1月) ☆☆
ユーロ圏雇用統計(1月) ☆☆
4日 中国財新サービス業購買担当者景況指数(2月) ☆☆
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(2月確報) ☆☆
ユーロ圏小売売上高(1月) ☆☆
ADP全米雇用報告(2月) ☆☆☆
米ISM非製造業景況指数(2月) ☆☆☆
米地区連銀経済報告(ベージュブック) ☆☆
カナダ銀行政策金利発表 ☆☆☆
5日 米製造業新規受注(1月)  ☆☆
6日 独製造業受注(1月) ☆☆
米貿易収支(1月) ☆☆
米雇用統計(2月) ☆☆☆
米卸売在庫(1月)

※重要度を3段階で表示

金(現物1oz.あたり)日足 6ヵ月

参照:SBI証券 > マーケットデータより

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