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マーケットレポート
金は無制限QEや経済対策で投資資金が戻る
提供:ミンカブ・ジ・インフォノイド
金は米雇用統計などを確認
3月23日の週のニューヨーク金市場は、米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)を発表したことをきっかけに急伸した。新型コロナウイルスの影響による供給ひっ迫も支援要因となり、期近6月限は9日以来の高値1,698.0ドルを付けた。ニューヨーク金に大幅なプレミアムが付いたことから利食い売りが出る場面も見られたが、金ETF(上場投信)にまとまった投資資金が流入するなか、押し目は買われた。
米連邦準備理事会(FRB)は23日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、新型コロナウイルスへの対応として、無制限の量的緩和(QE)を行う方針を決定した。米国の感染者の累計数は中国とイタリアを超えて世界最多になった。米議会が2兆ドルの経済対策法案を可決し、トランプ米大統領はすぐに署名した。20カ国・地域(G20)首脳も26日、各国の新型コロナ対策を通じて世界経済に5兆ドルを供給すると発表し、各国中銀の金融緩和に加え、景気刺激策が相次いで発表された。国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は、世界各国は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)に起因する経済的混乱に対して「非常に大規模な」資金を投じ、力強い回復に向けた基礎を築く必要があると述べた。各国の外出禁止令によるサプライチェーンの寸断ですでに景気後退に陥っているとの見方が強い。欧米での新型コロナウイルスの感染拡大が続いており、当面は終息の兆しがいつ見られるかが焦点である。
米新規失業保険申請件数は前週比300万1,000件増の328万3,000件と過去最多となった。新型コロナウイルスの感染拡大で米国の各州が外出禁止令を発表し、工場が一時的に閉鎖されるなか、レイオフが急増した。また3月の米ミシガン大消費者信頼感指数確報値は89.1と2016年10月以来の低水準となった。今週は3月の全米雇用報告や米雇用統計の発表があり、労働市場の行方を確認したい。事前予想は全米雇用報告で民間部門雇用者数が15万人減、米雇用統計で非農業部門雇用者数が10万人減、失業率が3.8%(前月3.5%)となっている。一方、中国では新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着き、感染源となった武漢市の封鎖が4月8日に解除される。各地での移動制限の緩和を受けて企業活動が再開しており、3月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)は45.0(前月35.7)、財新製造業PMIも45.0(同40.3)に改善すると予想されている。
3月27日のニューヨークの金ETF(上場投信)の現物保有高は前週末比56.47トン増の964.66トンとなった。米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)を発表し、投資資金が戻った。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月24日時点のニューヨーク金の大口投機家の買い越しは28万8,366枚となり、前週の28万1,916枚から拡大した。今回は新規買いが523枚、買い戻しが5,927枚入り、6,450枚買い越し幅を拡大した。
プラチナは無制限QEや経済対策が支援
ニューヨーク・プラチナ期近7月限は米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)を発表したことや経済対策に対する期待感から急伸し、16日以来の高値755.4ドルを付けた。米議会で2兆ドルの経済対策法案を27日に可決され、トランプ米大統領がすぐに署名した。一方、新型コロナウイルスの感染拡大による外出禁止令で各国の自動車メーカーの工場が一時的に閉鎖された。ただ南アの鉱山会社の操業も停止したことから、供給ひっ迫感が強まり、リースレート(貸出金利)が上昇した。リースレート(貸出金利)1カ月物は26日時点で12.54%(前週末1.75%)となった。景気後退の見方が強まるなか、2番底を探りに行く可能性もあるが、供給ひっ迫が続くと、押し目は買われることになりそうだ。
プラチナETF(上場投信)の現物保有高は、3月25日のロンドンで16.17トン(20日16.16トン)、20日のニューヨークで22.97トン、23日の南アで31.22トン(同31.22トン)となった。ニューヨークと南アで外出禁止令が出るなか、更新が止まっている。一方、米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、3月24日時点のニューヨーク・プラチナの大口投機家の買い越しは2万2,296枚となり、前週の2万7,647枚から縮小した。手じまい売り・新規売りが出た。
ニューヨーク金は投資資金流入で急反発
ニューヨーク金6月限は米連邦準備理事会(FRB)が無制限の量的緩和(QE)を発表したことをきっかけに急伸し、9日以来の高値1,698.0ドルを付けた。16日安値1,453.0ドルを維持し、当面の安値が確認されるなか、金ETF(上場投信)に投資資金が戻った。新型コロナウイルスの影響で供給がひっ迫するなか、ニューヨーク金にプレミアムが付き、利食い売りが出る場面も見られたが、各国の経済対策に対する期待感もあり、押し目は買われた。9日に付けた一代高値1,707.8ドルを突破できるかどうかがテクニカル面の焦点である。
3月30日からの週の注目ポイント
30日 | 独消費者物価指数(3月速報) | ☆☆ |
米中古住宅販売仮契約指数(2月) | ☆☆ | |
31日 | 失業率(2月) | ☆☆ |
鉱工業生産指数(2月速報) | ☆☆ | |
中国製造業購買担当者景況指数(3月) | ☆☆ | |
独雇用統計(3月) | ☆☆ | |
英国内総生産(10-12月期確報値) | ☆☆☆ | |
ユーロ圏消費者物価指数(3月速報) | ☆☆☆ | |
米S&Pケース・シラー住宅価格指数(1月) | ☆☆ | |
米シカゴ購買部協会景気指数(3月) | ☆☆ | |
米消費者信頼感指数(3月) | ☆☆ | |
1日 | 日銀短観(3月調査) | ☆☆☆ |
中国財新製造業購買担当者景況指数(3月) | ☆☆ | |
ユーロ圏製造業購買担当者景況指数(3月確報) | ☆☆ | |
全米雇用報告(3月) | ☆☆☆ | |
米ISM製造業景況指数(3月) | ☆☆☆ | |
2日 | 米貿易収支(2月) | ☆☆ |
米製造業新規受注(2月) | ☆☆ | |
3日 | 中国財新サービス業購買担当者景況指数(3月) | ☆☆ |
ユーロ圏サービス業購買担当者景況指数(3月確報) | ☆☆ | |
米雇用統計(3月) | ☆☆☆ | |
米ISM非製造業景況指数(3月) | ☆☆☆ |
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